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# 72 新しい仲間 その2

シェリーにこれまでの経緯を話した

テンパりながら説明する私に質問を混ぜつつ天ちゃんにも話を聞いている

「分かりました」シェリーが静かに言った

……何が分かったんだろう?

……いや……なんか……怒って……る?


「天ちゃん、報・連・相(ほうれんそう)が大事だと話した事を覚えていますか?」

《うん……覚えてる……ごめんなさい……》

「シェ、シェリー?!天ちゃんも分かってるみたいだし謝ってるし……」

「サクラ様、少しお待ち頂けますでしょうか?」

思わず天ちゃんを庇おうとした私だったが、有無を言わせないシェリーの静かな声に反射的に「はい……」と答えた……うっ……いや、怯んではいけない……

「シェリー? その……『おひたし』でお願いします」そう頭を下げた私に「はい。承知致しました」少しだけ柔らかくなった気がするトーンで返事が返って来た


「自分で考えて行動する事は大切な事です。あなたは沢山考えたのでしょう?」

《うん……》

「猫さんに「話してはダメ」と言われてあなたはその言葉に従った訳ですが……どうしてダメなのか理由を聞きましたか?」

《うん……今はまだ力が弱いから……って》

「その理由であなたは納得したのですか?」

《うん……もう少し待ってって言われたから……》

「そうですか……あなたがその猫さんを疑わなかった……信じた理由は何ですか?」

《えっと……サクラさまが猫さんの事を大事にしてたから……》

天ちゃんはずっとしょんぼりしたトーンでシェリーの質問に答えていた。私は口を挟みたい衝動に駆られながらも、ここはシェリーに任せるべきだとふたりのやり取りを聞いていた


「天ちゃん? 大事に思っている相手が同じ様にこちらを大事に思ってくれるかは分からないのではないでしょうか? サクラ様は魔物とでも仲良くなりたいと……大事に思うお方ですよ? 猫さんはサクラ様を大事に思っていると言いましたか?」

《……言ってない……でも……サクラさまの事大事に思ってるよ》


あの子猫さんが何なのか……どこから来たどんな存在なのかまだ分からないけど……天ちゃんにとってはあの子猫さんは大切な存在になったのかな? 私はそんな事をぼんやり考えていた


「天ちゃん……精霊の森での戦いを覚えていますか?」

《えっ?!精霊の……うん、覚えてるよ……》

「森に住む魔物は『闇の魔法』に操られ凶暴化して村を襲いました。自身の意志とは関係なくです。闇魔法の恐ろしい部分です」

《…………》天ちゃんは困惑している様な素振りをして言葉が出てこない様だった


「もし……あなたが信頼した猫さんが……闇」

「もうやめてっ!」

シェリーに言葉を大きな声……子供の声? が遮った……声が聞こえた場所に反射的に視線を移す

そこにはさっき突然消えた子猫さんが居た……今の声はこの子?


ふぅ~とシェリーが息を吐いた……気がした……

「やっと出て来てくださいましたね、闇の魔石さん」

シェリーが静かに子猫さんに話し掛けた……

えっ? 今闇の魔石って言った? 闇の魔石って()()

シェリーの言葉に、枕元に置いてある闇の魔石を見た……

「えっ?!ないっ! なんで?!」

子猫さんをまじまじと見つめ「あなたは闇の魔石……さんなの?」子猫さんに問いかけた


「……違うわっ……ち、違うくはないけど……あたしは魔石じゃない……あたしは『闇の使い魔』よ」

見た目の愛らしさとは反して、ふんっ! と少し高飛車(たかびー)な物言いで子猫さんが答えた


「闇の使い魔? ……って何?」

「サクラ様っ! 危険です! 離れて下さい」

シェリーが私の前に立ち塞がる……って言ってもシェリーは携帯電話なので……でもその気持ちが嬉しくてホロリと来そうになった

「っ! バッカじゃないのっ! 主従関係にあるサクラにあたしが危害を加えたりする訳ないじゃない!」

可愛い子猫さんのはずなのだけど……その子猫さんは小生意気な少女の様な雰囲気を醸し出していた


「主従関係? あなたの主はサクラ様だと言うのですかっ! ……有り得ません……サクラ様が……サクラ様が使い魔を……闇の使い魔を召喚するなど……」

「使い魔であるあたしがそう言ってるんだから……」

ん? なんか自信なさげな子猫さんの言葉……

「あ、あたしは闇の使い魔で、ここにこうして存在している! それが全てよ」ふんっ!とそっぽを向く子猫さん……

態度はアレなんだけど見た目の可愛さがあるからか、何だか微笑ましくて笑っちゃいそうになる


「えっと……とりあえずふたりとも落ち着こう?」私は笑っちゃダメだと気持ちを切り替える様にふたりの間に割って入った

「シェリー? 落ち着いて? この子に邪悪な感じとか敵意とか感じられないから……シェリーも分かるでしょう? まずは話をしよう? ねっ?」

珍しく取り乱している様子のシェリーに声を掛ける


「申し訳ございません。闇の魔石の正体が闇の使い魔だったなど受け入れ難く……お恥ずかしい限りです」

「うん……確かにびっくりだね。だけど子猫さんが闇の魔石――だって気付いてたんでしょう? 凄いねシェリー。私なんて微塵も思わなかったよ。うん、やっぱりシェリーは凄いね」

「いえ……ワタクシはただサクラ様と天ちゃんの話から推測しただけですし……闇の魔石が無くなっておりましたので……」

「ふふっ、この状況で闇の魔石に意識を向ける事が凄いのよ。うんうん」シェリーはやっぱり頼りになるな〜なんて思いながら頷いた


――つづく――


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