# 49 ユグドラシルの実
「さて、どうしよう? このままノーム様の所へ行く? ノーム様には決まったら3人で来る様に言われたの」
「そうですね……答えは出ているのですから早い方が宜しいのではないでしょうか?」
「うん、そうだね。私もそう思う。じゃぁみんなでノーム様の所へ行こう」
私たちはノーム様の祠へ向かった
☆☆☆☆☆☆
《これを……》
ノーム様の前に球体が現れる
「半分のユグドラシルの実?」
球体の中には、ユグドラシルの実を真ん中からふたつに割った片方の様な半分になった実が入っていた
《これは儂のユグドラシルの実じゃ》
「ノーム様の? 半分食べたって事ですか?
半分食べて不老不死になる……って事なのですか?」
《そうじゃ、口にするのは半分……残りは……》
「ひとつの実で2人分って事なのですか?」
《いや……そうではないぞぉ……》
ノーム様は困った様に苦笑する
「……すみません……」
《そしてこれがサクラに授けるユグドラシルの実じゃ》
緑の球体に入ったユグドラシルの実が私の前に現れる
《その実を半分に割って口にするが良いぞ》
「半分……ですね?」
《うむ。そうじゃ。この儂の持つユグドラシルと同じ様にじゃ。簡単に割れるから心配するでないぞ》
私はユグドラシルの実を手に取りそっと力を込めた。
実は簡単に半分に分かれ、私はそのひとつを口に入れた
味は……何も感じなかった……存在すらも……
口の中に入れた途端、消えてしまった……そんな感覚だった
身体には特に変化はない。これで不老不死になったの?
正直実感は全くなかった
手にしていたユグドラシルの実の片割れが再び緑の球体に包まれる
もうひとつのユグドラシルの実……
私はノーム様を見つめる
《サクラよ。これでお主は不老不死となった。
シェリー・天よ。そなたらもサクラに依存するが故、不老不死の存在となるじゃろう》
「はい。承知致しました」シェリーが答える
《サクラさまとシェリーとずーっと一緒に居られるんだよね!》天ちゃんは嬉しそうだ
《残りのユグドラシルの実についての説明じゃが……》
私は食い入る様にノーム様を見つめた
《そう早るでない……》再びの苦笑……
《残りの半分は……サクラがこの世で成すべき事を全て成したと思った時に口にするユグドラシルの実じゃ》
「成すべきことを成し終えた時……」
《そうじゃ。その時が来るまで大事に保管しておれ……
その実に触れる事が出来る者はサクラ以外にはおらんし、その存在もサクラとそこの2人にしか見えんから心配は不要じゃ》
「ノーム様! あの……成すべき事を成さずにこの実を口にした場合はどうなるのでしょう?」
《……それは口にした者のみが知る事になろう……じゃが……不老不死を受け入れた者にのみ『残りの実』も授かる事が出来るのじゃ……
残りの実を口にする事……それは『終焉』を意味する
天寿を全うするが良い……儂からはそれだけじゃ》
「天寿を全う……」おじいちゃんの様に穏やかな顔で眠る……それが天寿?
《儂がこの実を口にするは次なる土の精霊王が育ち交代する時じゃ……それまで儂は土の精霊王としてこの世界を護らねばならん。サクラは……お主の思うままに生きるが良いと思うぞぉ》
「はい……私の成すべき事が何なのかは分かりませんが……私に出来る事を精一杯……生きてみます」
《うむ。気負う事はないぞぉ。無理はするでない……
儂は……サクラが倖せである事を望んでおるからのぉ。
残りの実を口にする時も倖せである事を……》
「っ!? ありがとうございます……ノーム様……」
私は胸が温かくなるのを感じた……
そうだよね……私ってばまた何だか自分ひとりで何でも出来るつもりになってた……
私は……ひとりじゃない。みんなで……みんなの倖せの為に……そしてその中には私自身も含まれてなきゃね……
でも……私って死なないのよね?
だったら少しくらい無茶しても……大丈夫じゃない?
《ふぅ……サクラよ……不老不死は無敵と言う意味ではではないぞぉ。たとえ死なずとも攻撃を受ければ痛みもあるし、相手によっては大怪我を負う事もあるじゃろうて……もし意識を失う様な自体に陥ったらどうするのじゃ?》
グッ……確かに……
「サクラ様! また無茶をしよう等とお考えだったのですか? いけません! サクラ様の身にもしもの事があったら……ワタクシは……」
「ご、ごめん……私が間違ってた……ホントごめん……軽はずみな事は絶対にしないから!」
《ふぉっふぉっふぉっ……》
ううっ……思いっきり笑われた……
《世界樹の葉を用意したからのぉ。これでエリクサーを作るが良いぞぉ。使わん事が1番じゃろうが……他にも役に立つ事はあるじゃろうてのぉ》
……きっと大丈夫です……思い出しました……私は最後までエリクサーを残してエンディングを迎えるタイプです……
なんなら『各種たね』も勿体なくて使えないタイプだったりもしますから……
多分エリクサーが必要になる様な危険は犯さないと思います……
《????》ノーム様が不思議そうなお顔をなさってる……
気にしないで下さい……私にしか分からない話ですので。
そして、てんこ盛りの世界樹の葉を頂いて私たちは家に戻った
エリクサーの作り方は簡単ではあったが、少し時間も掛かりそうだったので作るのはまた今度……という事にしてアイテムボックスにしまった
エリクサーかぁ〜でもそうそう出して良い物じゃないよね? 多分……
エリクサーの前にポーションとかエーテルとか……万能薬とか作ってみたいな〜なんて事を思った
今度『薬草』とか詳しく教えて貰おう
さてさて……夕刻の宴までにはまだ時間があるけど、何しよう……ちょっとお腹空いたかな……
「あ〜なんか焼肉食べたい〜」
「サクラ様、もうしばらくすれば夕飯の時間ですので……」
「うん。だよね……でもなんかお腹空いたの……」
「では、おやつに致しますか?」
「賛成っ。それが良い。何が良いかな〜」
甘いものが良いな……洋菓子? 和菓子?
「タルトなど如何でしょう?」
「タルト? うん。良いね! 任せたシェリー。私は紅茶の用意をするね」そう言ってキッチンでお湯を沸かす。
ん〜っと。レモンティーにしよう! お湯を注ぐだけの粉末レモンティーなんだけどね
天ちゃんには冷たいミルクティーを用意した
シェリーの注文してくれたタルトが届く
「タルトと言えばやっぱりここのタルトだよね〜」
フルーツが沢山乗っていて美味しそうだ
お皿に取り分けて天ちゃんと一緒に食べる
「はぁ〜美味しい〜幸せ〜」
まったりとおやつタイムを過ごした
美味しいものを食べられるのは倖せだけど、やっぱり後片付けは面倒だな……
後回しにしたいけど……ちゃっちゃとやっつけよう!
おやつを食べた後、私は天ちゃんから雲を貰ってフィギア作りで遊んでいた
天ちゃんが何が出来るのか興味津々って感じで見つめている
美味しい物食べたいなぁ〜なんて思いながら私が作っていたのは……『理想のコックさん』だった
う〜ん、あちこち変更してたらモデルとは別人ぽくなってしまったけどまぁいっか……同じなのは髪型と服装位?
でも超一流のコックさんで……この世界の魔物も美味しく調理してくれそう。
しかも超強いから頼りになるよね〜
そして何より……優しいフェミニスト。
「よし! 出来た!」
《サクラさま〜これは誰?》
「んっ? この人はね。コックさん。と〜って美味しい料理を作ってくれるのよ〜」天ちゃんに説明する
《わぁ〜い! かっこいいコックさんだね。ちっちゃいシェリーのお友達にしても良い?》
「もちろん! 仲良くしてあげてね」
《うん。分かった〜。ねぇ、サクラさま。ボクちっちゃいサクラさまもちっちゃいシェリーのお友達にしたい。作って欲しいなっ》
天ちゃんにそう言われて……自分のフィギアなんて……と思いながらもリクエストに答えた
服はどうしようかな?と考えて……
ゴスロリにした……ド定番の黒のゴスロリワンピ。
靴も可愛い厚底の黒にした。
シェリーもコックさんも衣装は黒系なので私もお揃いって意味合いも兼ねて。
そして……肩にちっちゃな天ちゃんを乗せる
くっ……衣装は可愛い〜。ただ自分じゃない子に着せたい……やっぱこれは恥ずかしい……
「て、天ちゃん……やっぱり私のお人形は……」と隠そうとしたが《わぁ〜ちっちゃいサクラさま〜。ありがと〜サクラさま〜》と持って行かれてしまった……
他の人には見られない様にしなければ……
《シェリー見て見て〜ちっちゃいサクラさまだよ〜》と無邪気にシェリーに見せている天ちゃん……う〜恥ずい……
「良かったですね」シェリーがにこやかに返事をしているのが聞こえる
《うん。ちっちゃいシェリーにお友達が増えたんだよ》と天ちゃんは得意そうだった
天ちゃんとももっと遊んであげないとな……
ボール遊びなんて良いかもしれないな~なんて事を考えた
天ちゃんから貰った雲はまだ残っていたのでもう一体作る事にした
ノーム様……お住いに居らした『仙人様バージョン』
全体的に白っぽくなっちゃったけど……
杖をアクセントに持って貰った
「天ちゃ〜ん、もうひとりお友達増えたよ〜」と声を掛ける
《だれっ?》不思議そうに首を傾げる
「これはね、ノーム様よ」
《ノームさま……精霊さま?》
「そう。素敵でしょう?」
《うん。おじいちゃんだ〜》嬉しそうに天ちゃんはシェリーの元へ飛んで行った
おじいちゃん……
――つづく――




