# 42 みんなでお出かけ
天ちゃんの可愛さに見蕩れていたら部屋をノックする音が響いた
「サクラ様、おはようございます。ダイアナです」
おっと! いつの間にやらもうそんな時間?
「どうぞ〜」と声を掛けるとダイアナが入ってくる
「おはようございます」頭を下げて再びあいさつするダイアナ
「おはようダイアナ。今日もよろしくね」
「はい! こちらこそどうぞよろしくお願い致します」と丁寧にお辞儀をする
ダイアナの髪は綺麗に結って纏められている
「ねぇダイアナ? ダイアナの髪って綺麗な編み込みだよね。自分でやってるの?」
「はい。纏めると邪魔になりませんので。
サクラ様もいつもお綺麗な巻き髪ですよね?
緩めのふんわり感がとてもお似合いです」
「えっ? あ〜ありがとう……これは不器用な私でも手櫛でこうなる髪型だから……」
そう私の髪は所謂デジタルパーマなので指でクルクル巻くだけでウェーブが作れるお手軽な髪型なのです……
「私、三つ編みすら綺麗にできない不器用者だから自分で編み込み出来る人って尊敬しちゃうのよね。」ちょっと恥ずかしいけど打ち明けておこう……
「良かったら今度、私の髪も結って貰えないかな?」
そう遠慮がちに言ってみると、ダイアナは両手を合わせて
「宜しいのですか? 是非やらせて下さい」と嬉しそうに言ってくれた
「ホント? 嬉しい! お願いね、ダイアナ」
私はダイアナの手を取ってお願いした
ダイアナはこっちの世界に来て初めて仲良くなれた女の子だ
もちろんペタの村にも女の子は居たけど、私は最初から『精霊様の御使い様』って扱いで女の子に限らず村の人達からは若干の距離感を感じていた
アレクとアレスとは仲良くなれたと思っているけど、同性のお友達はやっぱり嬉しいものだ
ダイアナとはもっと仲良くなれると良いな……なんて思ってしまうけど……この国にはそう長くは居られないのよね……
今日も町を案内してもらう
出かける前にアレクやアレス、ジャックさんを初めとする騎士の皆さんに朝の決心を伝える
天ちゃんもカバンの中ではなく一緒に町の中を歩きたいと。
そして皆さんにも賛成して貰えてホッとした
この国の治安は良いので襲われたりする可能性は低い事と、もし何かあれば全力で守ると口々に言って貰えた
本当に有難い事だ……私は皆さんに心からの感謝の気持ちを伝えた
天ちゃんも一緒に居られる事をとても喜んでくれた
少し小さくなって貰い、シェリーは天ちゃんの中に入って貰った
丸っこい雲がふわふわ浮いている感じはやっぱりちょっと注目を集めそうな気はするけれど……
ドキドキしながらのお出掛けとなったが、思ったほど注目もされずに逆に少し拍子抜けだった
王都は従魔連れの冒険者さんも珍しくはないので……とダイアナが言ってくれた
『案ずるより産むが易し』だった
町の中や王宮内を案内して貰ったりしながら王都での数日を楽しんだ
クラーク王やアルデルト殿はあれこれ忙しそうにしておりあまり一緒に過ごす時間はなかったが、警護に付いて居る騎士の皆さんに伝言を託したり託されたり……と間接的ではあるけれど連絡は取り合えていた
私にも……貴族の方々からのパーティーやお茶会等の誘いが多々あったが、全て丁重にお断りしてもらっていた
少しは貴族の方々とも交流を持った方が良いのではないか……それがただの形式的な角が立たない様な振る舞いの意味合いも含めてだとしても……とも思わなくもなかったが……
有難い事にユーラシアン王国のアルフレッド王もフォレストグラン王国のクラーク王も私の希望を全て聞き入れて下さった
もしかしたら……あちこちへの面倒な対応でご苦労を掛けてしまったのではないかと後から思った
申し訳ない気持ちも無くはないけれど……
やっぱり社交界的な関わりはホント勘弁して……って言うのが先に立ってしまったのだ
アルデルト殿からフォレストグランへ帰国する際に、この町に居る村の出身者達も一緒に連れて帰って貰えないかと打診された
天ちゃんに確認ししてみると全く問題は無い様で帰りは大所帯になりそうだった
それにしても天ちゃんのスペックの高さには驚かされる……
「サクラ様! 私も村へ一緒に帰れる事になりました。ありがとうございます」とダイアナに報告を受けた時はびっくりした
「ダイアナもあの村の出身なの?」と驚いて尋ねた
「はいっ! あっ……すみません……お話してなかったですね……アレク達からもお聞きではなかったのですね……すみません……」ダイアナは恐縮しまくっていた
「ううん、確かにみんなとすぐに打ち解けて仲良くなってるな〜とは思ったけど、同郷なら不思議じゃないよね。私の方が気付いて聞いてみれば良かった」と笑った
「私の事、サクラ様に話してくれなかったの?」
「え〜っ! ダイアナが自分で話してると思ってたよ〜」
なんてやり取りをするダイアナとアレクだった
ふふっ、なんか姉弟みたいな感じで微笑ましいなぁ〜
仲良くなれたダイアナとまた一緒に居られると分かって私もとても嬉しかった
連日の外出で少し疲れた事もあり王宮の部屋でまったり過ごした日の事……
私はノーム様へお願いをしていた
「ノーム様、村へ戻ったら私を『精霊様の森』に住まわせ頂けませんか? ノーム様に授けて頂いた能力で家を持つ事が出来たので……」
《うむ、もちろん構わんぞぃ。好きにするが良いぞ〜》ノーム様も快諾して下さった
「ありがとうございます。戻ったら早速お引越ししますね」
私は森の中に住める事にワクワクした
「シェリー、家の入口に防犯カメラとか設置出来るかしら? インターフォン的な物でも良いけど……ダイアナやアレク・アレスが訪ねて来てくれた時にすぐに分かる様にしたいの」
「はい。承知しました。すぐに取り付けられる様に準備しておきます」
露天風呂に通い、ノーム様とたわいのない話をする……
それが私の日課になっていた
森に通うにつれて、ここに住みたいなぁ〜って思い始めていたのだった
実はもう場所も決めてある
あとは、私が住みたいと思って居る場所……
あの木が私を受け入れてくれたら……なんだけどね
王都での生活も町を探索するだけで楽しかった
この町は活気に溢れ、人々も良い方ばかりだ
フォレストグランの町も、ここの様に素敵な町になるんだろうな〜って想像すると、早く戻ってその様子を見ていたいと期待が高まった
『冒険者ギルド』にもテンションが上がった
『酒場』的な店内? に沢山の猛者……冒険者さん達……
受付には綺麗なお姉さん。ギルド長は強面でちょっと怖かったけど……オーラは半端なかった
「登録したい」って言ったのだけど「お待ち下さい」と何故か全力で止められてしまった
その後、「フォレストグランにも冒険者ギルドは作りますのでどうかそちらで……」と言われてしまった
……なるほど……すぐに冒険に出る訳じゃないから良いか……ととりあえず納得したのだった
神官殿……ペターソンさんに協力して貰っていた『転移魔法』も上手く行っていて安心した
神官殿からもこちらから送った食べ物や飲み物……最初に送った神官殿が食べちゃったので……あの時はホントに肝を冷やしたなぁ〜……なので改めてパンも送っていた
天ちゃん特製の箱やビンは思っ通り超優秀な代物で最初の鮮度を保ち続けて居てくれた
私が村……フォレストグランを離れる日が来ても……
物資を離れた場所から送る事が出来る……
――この時私はまだ重大な事に気付いていなかった――
――当たり前の事を失念していたのだった――
――つづく――




