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# 32 隣国への旅立ち

出発当日、集合場所のお社へ向かった

到着すると既に皆さんお揃いだった

「おはようございます。遅くなってすみません」

皆様にご挨拶する

「いえ、遅くなどありませんよ」

神官殿……じゃなくてペターソンさんがそう言いながら出迎えてくれた

「「「おはようございます」」」ご挨拶の嵐だ


アレクとアレス、それに村の方々が数名お見送りに来てくれた


騎士(ナイト)の様な出で立ちの精鋭さん方に

2頭立ての立派な馬車に……荷馬車もある……


クラーク国王を始め皆さん……

それは正装……なのでしょうか?

皆様とってもご立派で私は気後れしてしまう

なんか……気軽にご挨拶気分だった私は恥ずかしくなった……

……だよね……言っても隣国の国王に謁見なんだから……

でも……道中ずっとその格好なの?

疲れないのかな……


「皆さん、道中はうちの……この天ちゃんが王都まで運んでくれます

馬車よりも早く王都まで着く事が出来ると思いますので」と、神官殿には話したが改めて皆さんにお伝えした


「サクラ様、ありがとうございます

ペターソンから聞きましたが、サクラ様の従魔……天ちゃん殿は空を飛ぶ事が出来るそうですね」

皆さん、少し不安そうな顔で私達を見ている

「はい、私達は何度も天ちゃんに乗せて貰って移動してますので大丈夫ですよ」


「天ちゃん、馬車と荷馬車を乗せる飛行船出しくれるかな?」そう天ちゃんち優しく語りかける

《うん、ちょっと待ってね》

天ちゃんの身体が波打って、昨日作ってくれた飛行船が2つ出てくる

「皆さん、少し離れてスペースを作って下さい」

声を掛けるとみんな端に寄ってくれる

ミニチュアの飛行船がムクムクと大きくなり馬車や荷馬車が馬も一緒に乗れる大きさになる

「おぉ〜」と感嘆の声が上がる


「天ちゃん、今度は私達が乗る飛行船ね」

再び天ちゃんの身体が波打ってミニチュア飛行船が出てくる

同じ様にムクムク大きくなるが人間だけなので少し小さめだ

「ありがとう天ちゃん」天ちゃんを抱きしめる


「では皆さん、飛行船に馬車と荷馬車を乗せて下さい」飛行船に触れると入口がポッカリと出来る

お馬さん達も驚いて暴れたりしないかな? と少し不安もあったが、大人しく飛行船の中へ入って行った

御者さんも一緒に乗り込む

「揺れたりはほとんどないと思いますが、お馬さん達のお世話、よろしくお願いします」

「はい、かしこまりました、お任せ下さい」と頼もしい返事が返って来る


「では私達はこちらの飛行船へ」と皆さんに先に乗って貰う

最後に残った神官殿に「ペターソンさんもどうぞ」と声を掛けると

「サクラ様、私は村に残らなければなりません……」

神官殿は悲しそうな顔をしてそう言った

「えっ?」私は驚いて神官殿を見つめる……

「村での世話役としての仕事がありますのでっ!」慌てた様に神官殿が言葉を続けた


「そう……なのですか……

そうですよね……全員が居なくなる訳には行かないですよね……」ちょっとしんみりしてしまったが

「分かりました、村でのお仕事頑張って下さい」と、明るく告げた


「私はご一緒出来ませんが、アレクとアレスを護衛としてお連れ下さい」そう神官殿が言うと、アレクとアレスが前に進み出て来た

「サクラ様、俺たちがサクラさまをお守りします!」

「サクラ様、よろしくお願いいたします」

アレクとアレスが言って頭を下げる


「サクラ様のお付には女性をと考えたのですが、このふたりがどうしてもと聞かず……

他の者に変える事も出来ますがいかが致しましょうか」神官殿が困った様に説明してくれる


「大丈夫です。私もアレクとアレスが一緒にいてくれたら心強いですから」神官殿にそう言い

「アレク、アレス、よろしくね」と2人に笑顔を向けた

「「はい」」と元気な返事が返って来る

神官殿が居ないのはちょっと心細いが2人が居てくれるのは心強い


村には新旧神官殿のハイドさんとペターソンさんが残って、お社の完成や新しい住居の建設と仕事は山ほどあるらしい……

確かにそうだよね……

新しい町、いや国を造るんだから


ペターソンさんと少しお話をして私も飛行船に乗り込む

「では行ってきます!」とみんなで手を振り入口を閉じた


「天ちゃん、最初ははゆっくり上昇してね」と天ちゃんに声を掛けると飛行船が空へと舞い上がる

「そのままゆっくり進んでくれるかな?」

《うん分かった》と飛行船が動き出す

ゆったりとしたスピードで進みながら、

まずは目的地の確認だ

「シェリー、地図をお願い」そう言うと

「かしこまりました」とシェリーの声と共に地図が出現する

皆さんにもよくみえる様に少し大き目のスクリーンだ


隣国の王都まではいくつかの町があるらしい

それぞれの町を観光したいが、それは我慢して……とにかく王都を目指したいと思う


シェリーが「王都はこちらで間違いないですか?」と赤い点滅を地図上に出す

「こちらが現在地です」と現在地白く光が点滅する

間に黒い点があるが、それが町の様だ

シェリーが黒い点を点滅させて「こちらが町になります」と説明した

「凄いな……こんな事が……」

と、クラーク王を始め皆さん驚いている


実は数日前、ペタの村から先はどうなっているのか気になってシェリーに聞いてみた

この地は精霊様の護りの影響からか村の先の様子が良く見えないらしかった


なので、天ちゃんに乗って村の北へ向かい、空高く舞い上がった

遠くまで見通せる高さへ到達してシェリーにこの世界の細かな地形を把握して貰ったのだ

広い世界の隅々までは無理だったがある程度の地図が出来たとシェリーが言っていた


とりあえず皆さんには隣国の地図を見て貰っている

場所が間違いなければシェリーにナビゲートして貰って天ちゃんに移動して貰う


そうそう天ちゃんは天ちゃんが作った飛行船を思った通りに動かす……操縦する事が出来るのだ!

今は飛行船のパイロットって感じだ


昨夜、神官殿から馬車と荷馬車で移動すると聞いた時は、馬車とか荷馬車とかも天ちゃんに乗れるのかな? ちょっと焦った

「天ちゃん、お馬さんとか馬車とかも運べる?」

と聞いてみると

《うん、出来るよ!

全部一緒に乗るの? 他の雲作る?》

おぉ〜1度にいくつも出せるんだ!

凄いな天ちゃん!

「凄いね天ちゃん、他にも雲を出せて動かせるの?」

《うん、出来るよ〜ボク凄い?》

天ちゃんが嬉しそうに私にまとわりつく

「うんうん、凄いよ天ちゃん、ありがとう

じゃあ明日は馬車と荷馬車と私達が乗る飛行船を3つ作ってね」

そう天ちゃんにお願いしたのだった


いやぁ〜シェリーも優秀だけど天ちゃんも凄いわ〜

私はなんだか誇らしくて、自慢しまくりたい気分だった


騎士(ナイト)さんたちが自前の地図を出してシェリーの地図と比べていた

おぉ〜やっぱりちゃんとした地図もあるのね

私も今後の為にも欲しいな……地図

後で聞いてみよう、と心に誓った


「間違いございません、ここがユーラシアン国の王都です」

「ありがとうございます。では王都へ向けて出発します

天ちゃん、スピード上げてくれるかな?

シェリーは天ちゃんのサポートお願いね」


ゆっくり進んでいた飛行船がスピードを上げる

あっという間に村が見えなくなり、北の大きな森を通り過ぎる


この森は別名『迷いの森』と言うのだそうだ

精霊様の森を守るべく、ここから先へは進めないように森自体が侵入者を拒む

安易に足を踏み入れると出て来れなくなる……

もしくは何度チャレンジしても元の場所へ戻って来てしまう……そんな森なのだそうだ


ペタの村出身者は森に守られる為すんなりと通り抜けられるのだとか……

『精霊様の力』恐るべし……


すぐに1つ目の町が見えて来た

空高く……飛行機よりは低いがかなりの高さで飛んでいるので町もミニチュアの様に小さく見える

町の人からは大きな雲が流れている様にしか見えないはずだ


町と町の間には草原や林・森が広がっている

街道とおぼしき道が小さく見える

町の広さより草原や森の方が圧倒的に広い

町から町へ移動するのも大変なんだろうな〜。なんて事を考えながら眼下に広がる町並みを眺めた


町を通過する時にその町の特徴について軽く教えてもらう

そしてついでにどの様な町があるのかも教えて貰った


それぞれの土地の特性を活かした町になっている様だ

鉱山のそばの町は鍛治工房が多く

様々な土の掘れる山のそばには焼き物の町

糸が取れる魔物が多く住む森の近くには紡績工房

海や湖の近くは新鮮な魚が食べられる

そして、ダンジョンのある町は冒険者はもちろん、多種多様な商人も集まらり繁栄するのだそうだ

もちろん、それぞれの町には生活に必要なお店も揃っている


……あちこちに魔物がいるのは大変そうですが……

でもその魔物を狩って生活してるんだよね……

肉は食料だし、皮や牙などはもちろん魔物によってあらゆる部位が様々に素材として利用出来るのだそうだ

逞しいな〜


そんな話を聞きながら旅は続いた


――つづく――


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