↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/107

#29 お社の工事と村の秘密

「トンテンカン、トンテンカン」と何やらリズミカルな音で目が覚めた

「おはよ〜」シェリーと天ちゃんに挨拶してから「この音は何なの?」とシェリーに尋ねてみた

「おはようございます、サクラ様

この音は、精霊様のお社の工事が始まった音の様です」

《うん、ボクも見てきたよ〜いっぱい人が居た〜》と天ちゃんも教えてくれた

「そうなんだ、早いね、もう始まったんだ」


身支度を整えてお社建築予定地へと向かった

まるで村総出? って思う位の人数で工事が始められていた

そしてその中心を成すのは……

「あの方々はもしかしてドワーフ?」

小柄で屈強そうで……そして髭を貯えた……

ファンタジー世界のイメージ通りのおじ様方が居た


「サクラ様、おはようございます」アレスが私に気付き走って来た

「おはようアレス。お社の工事が始まったの?」

アレスに確認すると「はい、今朝始まりました」と、私を神官殿の元へ案内してくれた


神官殿を見つけて「おはようございます」と挨拶を交わす

「サクラ様、昨夜お社や町の建築を請け負ってくれる職人さんが到着されました。

早速工事に取り掛かって貰ってます」

と、神官殿は嬉しそうに言った

「昨夜到着されてすぐに着工ですか?

早いですね……」

「はい、ドワーフの方々はこの道の専門家ですからね、我々の作った大まかな設計図でもすぐ取り掛かってくれました」

……おぉ〜やっぱりあのおじ様方はドワーフなんだ〜! と、私はテンションが少し上がった


「見学させて貰っても良いですか?

邪魔にならない様に気をつけますので……」

そう聞いてみた

「もちろんです! ご案内致しますよ」

と、神官殿自らが案内を申し出てくれた


……有難いけど神官殿のお仕事は?

と、少し心配になった


そんな私の心配をよそに、神官殿が案内してくれる

まず最初に紹介されたのがこの現場の棟梁でもあるドワーフの親方だ

「おはようございます、初めまして、サクラです」と挨拶すると

「おぉ〜貴女がサクラ様か。精霊様から話は聞いておる。森を救って下さりありがとう!」と大きな声で言われた

親方のその声を聞きつけてか? ドワーフの皆さんが集まって来た

小さいが屈強なおじ様方に囲まれてタジタジになる私……

あちこちから私への挨拶? が飛んで来てもう何が何やら……


「お前らっ! 静かにせんかっ! サクラ様がお困りだっ!」と親方のカツが入る


親方の一声でドワーフの皆さんが静かになる

凄いな……まさに鶴の一声……


「皆様……サクラです、どうぞよろしくお願いします」と集まって来た皆さんにご挨拶する

「お仕事、中断させてしまってすみません……」と頭を下げる

するとまたあちこちから声が飛ぶ……

親方が代表して「我々が勝手に集まって来てるだけじゃからサクラ様はなんも悪くない!」とガハガハ豪快に笑った


「サクラ様はお社の後に建てる『温泉』とか言うもんに詳しいそうで?」と親方に聞かれた

「はい、精霊様のお力をお借りして、この地に『温泉』……皆さんの癒しと憩いの場所になってくれると良いと思ってます。どうか皆様のお力をお貸し下さい」そう言って微笑んだ


「あっ、精霊様の森の精霊様の祠の近くに『露天風呂』がありますので、皆さんもお仕事が終わったら是非お試し下さい」そう言うと

「ほぉ〜それは行ってみたいのぉ〜」

「これから作る物がどんなものなのかも知っておきたいの」と賛成の声が上がった

温泉……ドワーフの皆さんにも気に入って貰えると良いな〜


お社の建築は急ピッチで進められた

このペースだったらあっという間に完成してしまいそうだ

『スーパー銭湯もどき』の詳細も早く仕上げて行かないと……と少し焦ったが、神官殿には「温泉に関しては慎重に進めて行きたいから大丈夫ですよ」と言われた


『温泉』の建築も重要だが、村の人口がこれから増えるので皆の住む家の建築も同時に進行していかなければならない


まずは『お社』を完成させて『精霊様の森』を守る拠点を作る事が最優先で、何よりも重要なのだそうだ


そして、ダンジョンが生まれる場所の確認……

ダンジョンの周りに建てる商業施設や宿、冒険者ギルド……

新しい町を丸ごと作る為の調査も始まっているらしい

町の開発の為にそれぞれの専門家が続々と到着するし、方々に散っているこの村の出身者の多くが戻る準備も進めているのだそうだ

そしてその専門家のほとんどがこの村の出身者だと言うから驚きだ


アレスから聞いていた今は村を離れている村人達が新しい町の住人……町を支える施設を担っていく事になるのかな〜なんて事を考えた


「楽しみですね、村を離れてた人達が帰って来て新しい町づくりをするって事ですね」

なんだか嬉しくなって神官殿にそう声を掛けていた


「はい、皆の力で良き町づくりを目指します」

と、神官殿も希望に満ちた瞳をしていた


そして神官殿は意を決した様な真剣な眼差し

「サクラ様……ご案内したい場所がございます、お時間頂いて宜しいですか?」と私に尋ねて来た

「はい、大丈夫です」神官殿の真剣な様子に緊張しながら答えた


神官殿に案内されたのは村の外れの精霊の森にほど近い開けた場所だった

村の死角になっているのか、こんな広い場所がある事に少し驚いた


「この場所は精霊様の結界に守られています。ここへ入れるのも限られた人間です」神官殿がそう言う

改めて意識を集中し、何も無い空間に手をかざす……

わずかだが空間の歪みの様な物を見つけ結界を感じる事が出来た

そっと手を先へ伸ばすと指先が空間へと消えて行く

「さすがですね、サクラ様……」

私の様子を静かに見ていた神官殿が呟く


「精霊様に言われました

サクラ様の力を借りたいのなら、この村の全てを知って貰わなければならない。と

サクラ様……ご案内致します」

そう言って神官殿は空間へ消えて行った

私も慌てて後を追う


結界に守られた場所は倉庫の様な造りだった

ただ、ものすごく広い……

ここは多分、シェリーが作った我が家と同じ『亜空間』なんだろうと考えた


「ここには長い年月を掛けてこの村の出身者が持ち寄ったあらゆる物が保管されています

『いつか来るかもしれないその日』の為に」


「いつか来る? それはなんですか?」

私の問いに神官殿は首を振りながら

「分かりません……」と答えた


「私たちは『未曾有の災害』を想定し、その時に必要とされる物を中心に様々な物をここへ保管して来ました

中には貴重な品や珍しい品などもございます」

そう言って神官殿は辺りを見回した


「私たちは災害……この世の終わりがいつか来るのではないかと想像していました……

しかし……今回サクラ様と共に広大な大地が現れた……

私たちは……長い間の悲願だったこの村の者たちと離れて暮らさずとも共に生きて行く事が出来る……

この広大な大地とサクラ様は私たちの希望なのです……

サクラ様、どうか私たちにお力をお貸し下さい」

そう言って神官殿は私の前に膝まづいた……


「おやめください、

本当に、私は何もしていませんから……」

慌てて神官殿を立たせる……

……もう〜ホントそう言うの勘弁してよね……


「精霊様が仰っていました

サクラ様には更なる発展への導べが見えている。と

そして、それを伝授して貰うにはこの村を知って貰う事が必要だと」


「ここにある物だけでもひとつの町として機能すると言っても過言ではありません

それだけの品が揃っています」


コンテナの様に区分けされた場所は、まるで商店街の店並みの様だった


ざっと見ただけでも、『武器』『防具』『魔道具』『マジックアイテム』から『陶磁器』『金物』に『衣類』『鞄』『靴』などの生活用品も並んでいる


「凄い……お店が一通り揃ってる感じですね

これに野菜や果物、お肉やお魚……それから飲食店があれば町そのものじゃないですか!」


「はい、生活に必要なあらゆる物が揃っています、こちらの空間は精霊様の護りにより劣化を防いでくれています」

「……劣化を防ぐ……ってアイテムボックスの時間停止機能と同じという事ですか?」

それってアイテムボックスの中に人が入れてるって状態?!

「いえ、そうではありません

この中は外部の様に温度変化などがありません、ある程度の手入れは必要ですが、錆びたりする事はないのです」

「あ〜なるほど、分かりました。

空調管理……温度や湿度が適度に保たれているんですね」

「はい、それぞれの素材に適した環境がここにあります」


「それから……アイテムボックスはこちらにございます」と更に奥の部屋へ案内された

「こちらは魔道具で食品を保冷する事が出来ます、魔力や魔石が必要になりますので今は何も入れておりませんが」と、業務用から家庭用まで様々なサイズの冷蔵庫の様なものを見せられた


「そしてこちらが『アイテム袋』『アイテムバック』になります、先程サクラ様が仰られた『時間停止』の物もございます」


「冒険者になった者がダンジョン等で手に入れた大変貴重な物になります」


「時間停止のアイテム袋には食料が入っております」


「そしてこちらには……」と

『宝箱』って感じの大きな箱を開けた


思わず息を飲む……

中には『金銀財宝』って感じのきらびやかな宝石……指輪やアクセサリー装飾品や金塊が沢山入っていた


「あの……今更ですが……こんな重要な……機密情報を私に見せたりして……」


「はい、必要な物や人材、全て準備させて頂きます、どうか私たちに力をお貸し下さい」

神官殿が深々と頭を下げた


――つづく――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。