あれもこれもそれだって不可抗力ですからぁ
李々子は逃れられない罠にかかったのだ…とサスペンス風にいってもラブコメなんだけどね。
うーあーどうするよ
店内でため息ついたり青くなったりグルグルしている李々子を松岡が心配そうに見ている。
リーコさん何があったんですか?いつも以上に支離滅裂じゃないですか。気になって仕事に集中出来ません。
「あれは絶対この間の合コンで何かあったんだろうな」
と松岡の横で女性の声が
うわぁ
驚いてみるとひかる店長がいた。
「店長、何してるんですか」
と松岡が言うとひかる店長はケロッとして
「何って松岡が仕事をほったらかして熊みたいにウロウロしてるからイジリに来た」
イジリってひどくないですか
「て言うか松岡さぁ気になるならウロウロしてないでリーコに聞けば良いじゃん」
と言われ
そんなこと出来るわけないじゃないですか
「まあ出来るわけないかぁフラれてるもんね」
うわぁそうやって人の傷口に塩を塗り込むんですね
松岡はひかる店長を恨めしく見ていた。ひかる店長はそんな事は気にもせず
「このまんまじゃ、ただの同僚でおわちゃうよぉ良いの」
と松岡を煽ってくる。松岡はウッとなったあと
「それはもう良いんですリーコさんの傍にいられるだけで」
と言うとひかる店長は不適に笑い
「それはまた控えめな松岡らしい答えね。でもさぁ松岡、好きな人が悩んでいるなら何かしてあげたくない?それがきっかけで意識してくれるかもよ、ね~伊織」
と言うといつの間にかそばにいた伊織が
「そうね松岡にとってはチャンスね。絶対なんかあったはずなのになかなか口を割らないところをみると相当のことがね」
と瞳を輝かせて言う。
伊織さん、またいつの間にいたんですかあなた忍者ですか
それに聞けって言うけど自分達が知りたいだけじゃないですか
松岡がこの人達には敵わないという顔をしていると伊織が
「松岡さぁここで頑張ったら敗者復活よ、せっかくのチャンスを生かせないなんて…」
と言い去っていく伊織に松岡は焦って
…の後なんなんですか
「チャンスを生かせないと何なんですか敗者復活って本当にあるんですか」
と聞くと伊織はニヤリと笑いながら
「あったり無かったり、どうかなったり」
と笑いながら言い去った。
だから…の後何なんですか。
まあ良い敗者復活戦か、よしリーコさん待っていてください必ず敗者復活戦に勝ちます。
なんだか分からない宣言をして盛り上がる松岡を、ひかる店長が腹を抱えて笑いながら
…の後は私もわからん
と見ていた。
そんな二人に美緒が気付き
松岡さんたら今日も安定のいじられ役だね
と去って行った。
バックヤードに戻ったひかると沙代子と伊織は何とかして李々子から合コンのことを聞き出そうと作戦を練っていた。
「何かあったってバレバレなのにリーコさんは口が固いし、それもこれも松岡がぐずぐずしてるからよ見ててイライラする」
とプリプリ怒っている沙代子。
「沙代ちゃん気持ちはわかるけど肝心の内容がねえ」
とひかる店長が言うと伊織が腕をくみ
「でもさぁあれは完全に何かあったでしょもしかしたら素敵な出会いがあったかもってひかる店長もわかるよね」
あんたそんな所まで推理していたとは
ヤッパリ伊織さんて怖い
2人はそれぞれ思っていた。
「伊織の言うことは当たってるね」
とひかる店長は頷き
「でもさ何でリーコの事に伊織が参戦してくるのよ」
と聞くと伊織が
「私はみんなのことに参戦してるけど」
…そうだったこの人は何でもかんでも首を突っ込む人でした
とひかる店長と沙代子は顔を見合わせた。
「何よ何が言いたいのよ」
と伊織が言うとひかる店長が
「もうとっとと松岡何とかしなさいよ」
と言うと伊織が
「本当だアホ松岡」
「伊織さんアホは余計です」
と沙代子が突っ込むので
「すまない松岡」
と伊織は謝った。そして3人は松岡を思いながら大きなため息をついた。
その頃店内にいた李々子はふと巧馬の言葉を思い出した。
バイトの件頼みます
バイトの件ってなんなんだ?
と頭を抱えている李々子に美緒が
「李々子さん、この間の合コンで何かあったんですか?」
と聞いてきた。李々子はあせって
「べっ別に何もないし何を聞くかなぁ美緒ちゃんたら」
まさかこの年になって若い子をお持ち帰りしたなんて言えない
明らかに動揺しまくる李々子を見て美緒は
李々子さんバレバレです
その挙動不審がみんなの楽しみにされてるのに…
と見ている美緒に
バレてないよね上手くごまかせたわよね
「ほら美緒ちゃんもボーッとしてないで仕事よ仕事」
と言い李々子はレジに向かった。
本当に李々子さんたら嘘がつけないんだから
とため息をつき見ていると
「美緒ちゃん、ちょっといらっしゃい」
ひかる店長がむんずと美緒の首根っこをつかんでバックヤードにつれていった。
「助けて~鬼に食われる」
「お黙り、今から松岡のターンなのよ」
松岡のターンて?
と思っている美緒を引きずりひかる店長は去っていった。
そんな騒動をなんとなく見ていた李々子は
なんだかみんな楽しそうだなぁ私だけ仲間外れで寂しいな
李々子がみんなが自分の事で楽しんでいると知るのは、ほんのちょっと後の話である。
気が付くと後ろに松岡が
「あのリーコさん大丈夫ですか?」
いつもぽへ~っとしている松岡がじっと見つめてくる。
「えっ大丈夫だよ」
「あの心配事とかあったら言ってください、この間と昨日変わってもらったお礼です」
と真剣に言ってくるので李々子はキョドリながら
「ああ急に連休とるためにシフト替わったやつね、そんなの気にしないでいいのに松岡ったらあんた良いヤツだね」
と微笑むと
リーコさんその笑顔は反則ですドキドキします
と思いながら
「いやそんな…でも本当に大丈夫ですか?やっぱり合コンで何かあったんですよね」
と言うと
何、珍しく松岡がりりしい…でもでも
「ない、なんもないから」
と焦って言う李々子に
「本当ですか?」
と聞くと
「いいから松岡も仕事しなさい」
と話をそらす李々子に松岡はすごすごと去っていった。
ちっ松岡のやつ使えねーな
と隠れて見ていた沙代子が舌打ちをした。
そこに爽やかにやつが現れた。
そして、すみにかくれている沙代子に
「お取り込み中すいませんけどちょっと良いですか?」
と声をかけた。驚き振り返る沙代子は見たとたん
やだぁイケメンじゃん
と顔を覗き込んだ。彼は少しひるみながら
「あの大学の掲示板で金池書店のバイトを見つけて、電話連絡してないんですけど面接してもらえますか?」
と言うと
こんなイケメン捕まえないでどうするのよ
「バイトね、ちょっと待っててすぐ呼んで来るから絶対にそこにいてね、店長ー店長ー」
と一目散に事務所にひかる店長を呼びに行った。
彼は辺りを見回していると奥にいる李々子に気付いた。
見つけた…
彼は嬉しそうに近寄って行きそして
「李々子さんこんにちは約束通り来たよ」
と声をかけた。
あれこの声…
何処かで聞いた事のある声に李々子は振り向き見て目を見開いた。
…いっいやぁぁぁぁあ!
と叫んだ李々子の声に驚き飛び出て来た皆を背にして微笑む巧馬がいた。




