仲間
ショウ「強ッ!」
カズト「ったりめぇだろうが。」
イスパード(ダイスケ)「弱音を吐いてる場合か。やるぞ。」
ショウ「...。言われなくても!!」
ムーナの剣、ルーラの拳がイスパードを襲う。彼にいずれかが当たれば大ダメージを食らってしまう。
「その程度?」
「...ぐッ...!!」
避け続けるのもリスクがある。体力を消耗しきる前に何とかしなければならないが、考える暇などない。とにかく必死に隙を探ってそこを突くしかない。
「アハハ! 踊れ踊れぇ!」
ルーラの拳や足が次々と迫る。それが絶えたと思ったら今度はムーナの剣が襲ってくる。
今だ。
その剣をマチェットで防ぎ、がら空きになった胴体に弾丸を撃ち込んだ。さすがのショットガンで、その勢いと桁違いのダメージを受けて後退した。力が弱った刹那、相手の手が握りしめていた剣を奪い、それで斬ってダメージを与えた。今度はルーラだ。ムーナがやられたのを見て表情が一変し、拳を打ち込もうとした、が、それを避けた彼は直ぐに剣を逆手持ちし、斬った。ムーナもルーラも自分がやられることを予想していなかったため、怯え始めていた。
「なぜ私たちが...お前みたいな旧型に...!?」
「ふん...本気を出させやがって...。」
一方のジクティアはカズトと格闘を繰り広げており、お互いに1歩も譲らないハイレベルな戦いだった。それにしても驚きなのは、ジクティアのスペックに相手がついていけている所だ。
「オラッ!!」
ジクティアに渾身の握りこぶしを顔面に叩きつける。が、直ぐに避けてボディーブローをかましてやった。もろに食らったカズトは後退し、それを食らった部分をおさえていた。ジクティアは自分用の剣を取り出し、畳み掛ける。彼に斬りかかり、鎧に複数の傷をつけた。
「やるじゃねぇか...。」
そう言ってニッと楽しそうにほくそ笑んだ。
しかし、その瞬間見慣れた男と女が現れた。
「よぉ諸君! ごきげんいかがー?」
ルーグだ。何があったかは不明だが、どこか上機嫌に見える。そしてその隣には、滑らかな青い髪の毛の...キドラだ。
「こいつの名は...お前が1番よく分かってるかぁ...。」
「ふざけんな...お前...なんで...?」
「お前の家で寝てたキドラを連れてきたんだよ。そして、こうして覚醒させてやったってわーけ。」
ルーグはそう言って小瓶をちらつかせた。
「ふざけんなよ...!!」
「おっと! お前の相手は俺じゃない!」
ルーグに殴りかかるジクティアを横からカズトが止めた。
「てめぇの相手は俺だァ!!」
「くっ! この野郎...!!」
ルーグがキドラの肩を抱き、余裕ぶる。そんな彼をイスパードが睨む。剣を他所に投げ飛ばし、マチェットを構えた。
「おや? イスパードがなんでジクティアと一緒に戦ってんだー?」
「黙れ...。貴様は油断していたな。テオスの基地には通信内容を記録する機器がある。電波傍受しているからどんな通信機を使おうが無意味だ。」
イスパードのコアをマチェットにはめると、紫色の光が刀身となった。
「内容すら筒抜けだったか。ふん。俺としたことが。」
ジクティアはそう言うルーグが怪しく見えた。まるで...計画通りのような...?
「俺を利用としても無駄だ!!」
紫色の斬撃をルーグに飛ばした。ジクティアは近くにいたキドラの身を案じてそれを__
「てめぇの相手は俺だっつったろうが!!」
だがカズトがそれを阻止した。
「ラータ!!」
アームドを解除してラータが現れ、バリアを張って防いだ。
「ジクティア貴様ァ!!」
「キドラのことも考えろよ!!」
弱体化したジクティアをこれでもかと言うほどボコボコにした。
「なんだよ...あれ...!?」
家に突然ルーグが現れたと思ったらキドラを連れ去っていった。エージはそれを追っていくうちに戦場に迷いこんだのだ。バカにも程があるだろう、ショウならそう言う。いつ死んでもおかしくない状況だが、何よりも自分の目の前で戦っているジクティアたちに驚きを隠せずにいた。エージはすぐに彼らのもとへと走った。
「ショウ!」
あまりにも多くダメージを受けたジクティアは強制変身解除されてしまい、地面に転がっていた。突然聞こえてきたエージの声に振り向く。
「あのばか...ッ!」
「キドラ...か? あれ...!?」
ルーグがそばに立っていたキドラに指をさし、彼に問いかけた。
「どうやらそのようだ...。多分エキスに手を加えたんだろ...。でなきゃ、ああはならないし、竜の力だけを持っていった説明もつかない...。」
ボロボロになった状態で立ち上がり、エージに答えた。するとルーグが手を叩いて乾いた拍手をして見せた。
「その通り。さすが天才くんだ。」
顎をつきだし、見下すようにした。片足に体重を乗せるようなだらしのない姿勢で二人を見た。
「...ざけんなよ...。」
「エージ...?」
「ざけんじゃねぇぞ...!! この...コーヒー不味い奴がよぉ!!」
「...練習したつもりだったんだがなぁ。」
ルーグがキドラの背中をポンッと叩くと、彼女は一直線にエージを襲った。生身でキドラの攻撃を受けても大したダメージには__
「あぁ、今のそいつはアーマーロイドの強化形態、その名もチャージロイドだ。どれくらいのものかは戦えば分かるが...。まぁ...普通なら死ぬわなぁ。」
赤黒をコートをなびかせ、奴は言った。だが今は彼女を止めることはできない。変身もアームドも解除してしまった今、自分も死ぬからだ。でもそうしないと...。
「目ぇ覚ませよキドラぁ!!」
彼女による攻撃をかわしながら呼び掛ける。何度も何度も呼び掛けるが、特に変化はない。このままではエージの体力が削られ、攻撃が当たってしまう。
「ジクティア...。俺にかけろ。」
イスパードが彼のもとに近づき、そう言った。ルーグとの間に何があったかは分からないが、完全にこっちについているようだ。彼はイスパードを許す気はないが、今はそう言ってる場合ではない。こっちについているのが一時的で、それは罠であったとしても、撤退して再起を計ることはできる。そうすれば少なくとも今よりかは戦えるはずだ、と思ったショウは、一か八か信用してかけてみることにした。
「...どうするんだ?」
「...お前の武器を寄越せ。」
「は...? なにすんだよ...?」
「いいからよこせ!」
彼は変身パッドにあるキーを押して武器を召喚させた。銃モードにしたそれをイスパードに渡すと、彼の手が青紫色に発光し、そして引き金を引いた。青紫の弾丸がキドラに飛んでいった。
「な、おい!!」
ショウがイスパードの肩を掴み、前後に揺らす。
弾丸はキドラの足に当たり、バランスを崩して倒れそうになったが、エージはすかさず彼女を受け止めた。
「キドラ!」
エージは彼女の名前を叫ぶ。一向に反応を示さない。
「何してくれてんだよ...!」
「あいつをあのままにすれば、あの男が死んだかもしれなかったんだぞ。それでも良かったのか?」
悔しいがイスパードの言うとうりだ。彼女に何を言っても通用しない以上、動きを封じるしか手はない。あとはエージに任せるしか__。
「......ッ。...別に...知ってたし...。」
「嘘つけ。顔にかいてある。」
「うるせ!」
ショウは立ち上がり、再び変身しようとした。
「もういいか?」
金色の戦士・カズトがジクティアを睨んだ。彼はそれに応えるように構えをとる。
「今回は退いてやろう。」
ルーグが大声を出した。カズトやルーラ、ムーナがそれに反応した。
「は? ここからだろ。」
「いや。戦力を1つ奪われた。大人しく退くぞ。」
「...チッ...。」
カズトはつまらなそうに舌打ちし、ルーグと共に姿を消した。サテルの軍もそれによって撤退を始めた。ルアフ軍がそれを追うことはなかった。
ルアフは戦争をする気はなかった。だが、話を全く聞いてくれないサテルは進軍を止めることはなく、仕方なく応戦することになったのだ。
家に着く頃には皆ボロボロで、ウーペが急いでみんなに応急手当をした。そういえばウーペの主人はいない。なんとかして戦力にできればいいが...。
「なんでお前がいんの?」
包帯を巻かれているショウは、目の前の男にそう問う。
「...。」
イスパード...ダイスケは答えなかった。
Android #22 仲間
ウーペ「しばらく出番なかった!」
ショウ「おめでとう」
ウーペ「わーい! 次回もあるかな! あるかな!」
エージ「んなことより!! キドラ!!」
ダイスケ「...。お前たちはいつもこうなのか?」
ショウ「ほっとけ。」




