鐘を撞くだけの仕事だったので追放されましたが、なぜか城の時計が全部狂い始めて私を探しているそうです
最終エピソード掲載日:2026/03/08
五年間、城の鐘楼でひとりきり鐘を撞き続けた。 朝六時。正午。夕方六時。一日も休まず、五千回以上。
ある日、財務管理官に告げられた。 鐘撞きの人件費は自動鐘の導入費用の三年分に相当する。この数字を覆す根拠はあるか。 なかった。だから追放された。婚約も解消された。
路銀が尽きた港町で、時計工房の求人を見つける。 雇い主は何も聞かなかった。なぜ城を辞めたのか。なぜここにいるのか。 ただ一言、時間に正確な人間なら他には何も要らないと言った。
工房の片隅に、布をかけられた小さな鐘があった。
その鐘を撞いた瞬間、工房中の時計が一斉に同じ時刻を指した。 何十もの針が寸分の狂いもなく揃った。 雇い主は息を呑んだまま一言も発さなかった。
城では誰も気づかなかった。 この手が鐘を撞くと時計が揃うことに。 追放されて初めて、鐘の音を聞いている人が目の前にいた。
けれどこの雇い主は、何かを隠している。
ある日、財務管理官に告げられた。 鐘撞きの人件費は自動鐘の導入費用の三年分に相当する。この数字を覆す根拠はあるか。 なかった。だから追放された。婚約も解消された。
路銀が尽きた港町で、時計工房の求人を見つける。 雇い主は何も聞かなかった。なぜ城を辞めたのか。なぜここにいるのか。 ただ一言、時間に正確な人間なら他には何も要らないと言った。
工房の片隅に、布をかけられた小さな鐘があった。
その鐘を撞いた瞬間、工房中の時計が一斉に同じ時刻を指した。 何十もの針が寸分の狂いもなく揃った。 雇い主は息を呑んだまま一言も発さなかった。
城では誰も気づかなかった。 この手が鐘を撞くと時計が揃うことに。 追放されて初めて、鐘の音を聞いている人が目の前にいた。
けれどこの雇い主は、何かを隠している。
第1話「止まった針」
2026/03/08 12:47
(改)
第2話「澄んだ一打」
2026/03/08 12:48
第3話「師匠の茶」
2026/03/08 12:49
第4話「窓の高さ」
2026/03/08 12:49
(改)
第5話「港を渡る音」
2026/03/08 12:49
第6話「届かない手紙」
2026/03/08 12:49
第7話「狂う歯車」
2026/03/08 12:50
第8話「推薦状」
2026/03/08 12:50
第9話「止まった朝」
2026/03/08 12:50
第10話「朝の鐘」
2026/03/08 12:51