婚約破棄は予定通りです〜私は既に逃げる準備を終えている〜
最終エピソード掲載日:2026/03/04
三年間、笑顔を絶やさなかった。
婚約者の王子のために外交文書を書き、茶会を仕切り、晩餐会を企画した。
成果はすべて、王子の名前で差し出された。
わたくしの名前は、一度も呼ばれなかった。
王子が侍女の手を取ったことを、半年前から知っていた。
泣かなかった。
怒りもしなかった。
代わりに、毎晩机に向かい、離脱の計画を書き続けた。
婚約破棄を告げられた日、わたくしは微笑んで答えた。
ありがとうございます、と。
翌朝、王都から姿を消した。
辺境に母が遺した温泉がある。
その湯には、まだ誰も知らない力が眠っている。
古い別荘を宿に変え、自分の手で生きていくと決めた。
そこに、一人の軍人が現れた。
戦傷を抱えた隣国の男。
口数は少なく、無愛想で、けれど薬湯に浸かった後にこう呟いた。
この湯の配合を考えた人間は、ただ者ではない、と。
王都では、わたくしが消えたことに誰も気づかない。
気づいた時には、もう手遅れになっている。
わたくしが静かに積み上げてきたものの重さを、あの方はまだ知らない。
婚約者の王子のために外交文書を書き、茶会を仕切り、晩餐会を企画した。
成果はすべて、王子の名前で差し出された。
わたくしの名前は、一度も呼ばれなかった。
王子が侍女の手を取ったことを、半年前から知っていた。
泣かなかった。
怒りもしなかった。
代わりに、毎晩机に向かい、離脱の計画を書き続けた。
婚約破棄を告げられた日、わたくしは微笑んで答えた。
ありがとうございます、と。
翌朝、王都から姿を消した。
辺境に母が遺した温泉がある。
その湯には、まだ誰も知らない力が眠っている。
古い別荘を宿に変え、自分の手で生きていくと決めた。
そこに、一人の軍人が現れた。
戦傷を抱えた隣国の男。
口数は少なく、無愛想で、けれど薬湯に浸かった後にこう呟いた。
この湯の配合を考えた人間は、ただ者ではない、と。
王都では、わたくしが消えたことに誰も気づかない。
気づいた時には、もう手遅れになっている。
わたくしが静かに積み上げてきたものの重さを、あの方はまだ知らない。
第1章
第1話 ありがとうございます
2026/03/01 17:04
(改)
第2話 辺境の朝は七色に煙る
2026/03/01 17:04
第3話 軍人と女将
2026/03/01 17:04
第4話 将軍閣下の正体
2026/03/01 17:04
(改)
第5話 奇跡の湯
2026/03/01 17:04
第6話 社交界の化けの皮
2026/03/01 17:05
(改)
第7話 嵐の夜と国王の雷
2026/03/01 17:05
(改)
第8話 今更、お戻りくださいと?
2026/03/01 17:05
(改)
第9話 領主会議の審判
2026/03/01 17:05
第10話 銀嶺の朝に
2026/03/01 17:05
第2章
第1話 帰路の銀嶺
2026/03/04 17:36
第2話 母の手帳、もうひとつの秘密
2026/03/04 17:37
(改)
第3話 勅令なき者に権利なし
2026/03/04 17:37
第4話 裏山の抜け道
2026/03/04 17:37
第5話 噂は毒、真実は薬
2026/03/04 17:37
第6話 手放すと言っていない
2026/03/04 17:37
第7話 母が遺したもの
2026/03/04 17:37
第8話 真実は、静かに証明される
2026/03/04 17:37
第9話 自業自得の幕引き
2026/03/04 17:38
第10話 わたくしたちの居場所
2026/03/04 17:38