4.家族全員と顔合わせ
私の部屋は大量のぬいぐるみで埋め尽くされた。
いや、床はまだ見える。そんなに狭い部屋じゃない。
少なくとも、ベッドの上とその周辺はぬいぐるみまみれになっている。
どうでもいいが、ゴブリンのぬいぐるみはやめろ。誰や送ってきたやつ。
意外とリアルなんだもん、もらうけど。
ゴブリン以外のぬいぐるみは毎日日替わりで抱きしめて寝ている。
意外とオークのデフォルメぬいぐるみが抱き心地がよくて驚いた。はじめは可愛いブタさんだと思ったのだ。
これを抱きしめて寝ていると犯罪臭がすごそうだが。
公爵令嬢への見舞いの品だけあり、どれも肌触りもよいし、ふわふわだし、よく眠れる。(重要)
私の専属メイドであるリサも温かい目で見守ってくれている。
毎朝「今日はウサギさんですね」なんて起こしてくれる。
ごめん、中身オッサンだから、そんな温かい目で見られると罪悪感がある。
でも抱き枕は良いものなのだよ?
とはいえ、ずっと何らかのぬいぐるみを抱きしめたままでいるわけにもいくまい。
5歳児とはいえ、公爵令嬢。何かあれば人前に出るかもしれないのに、おもちゃを常に抱えているのもどうなのかと思うわけだ。
お部屋では散々愛でるけどな!!
それと、魔物がいることが分かったので聞いてみたら、この世界には魔法があるそうだ。
おぉ、前世ではかろうじて回避した魔法使いに、今世では成れるのか。
なんだよ、同じ趣味の彼女がいたことがあるんだよ、悪いか。
てか、死に別れたよ。もう名前も思い出せないけど。
なんなら自分の名前も思い出せないけれど。
この世界に順応し始めている気がする。
で、魔法で体が洗えるんだと。
寝ている間にどうやって起こさないで体を拭いてくれたのかと思ったら、風呂はないけど魔法はあったというやつだ。
洗浄の魔法というやつらしい。
「習えばお嬢様でもすぐにお使いになれますよ」とはリサの言葉。
6歳になったら令嬢としての教育の一環として習うんだそう。
5歳以下では魔力が安定しない時期らしく、まだ教えないのが普通だとか。
なので、毎晩リサに魔法をかけてもらっている。
結構気持ちがいい。優しくアカスリされている感じ。
このメイドのリサ、生活魔法のプロフェッショナルなんだそう。
私の護衛も兼ねているらしくて、いざとなったら防御魔法で守ってくれるらしい。
生活魔法は、防御、洗浄、照明、火打石の代わりの着火等が該当するらしい。
防御魔法は魔力量が必要だそうだが、洗浄や照明の魔法は平民でも使えるとのこと。
ただし精度は別だって。
リサの魔法は柔肌を傷つけず丁寧に洗うことができるのがプロフェッショナルなゆえんだとか。
そらー風呂ないわ。いらないもん。
でも個人的にはお湯につかりたい…とっぷり肩までつかりたい。
非常識な我儘を言っても仕方がないので、お風呂はあきらめている。
あと、先日トステッド兄様が社交のためにお屋敷に帰ってきたので、ご挨拶をした。
前世の記憶のカーテシーをしたら褒めてもらえた。
あと、ぬいぐるみをもらった。私がぬいぐるみ好きだということは、公爵家では常識になっているらしい。
なお、もらったのはマンボウのぬいぐるみ。
最近知ったが、ミランディール公爵領は王都から馬車で5日のところにある。
その領の端っこは海だそうで、貿易港だけでなく、漁業が盛んだそう。
そういえば、我が家の夕飯に干物が出てきてびっくりした。あと塩漬けね。
領地には干物御殿とか、塩漬け御殿があるのかもしれない。
やだな、塩漬け御殿。資金焦げ付いたみたいじゃん。だから日本語の感覚で考えたらダメだ。
言葉は通じるけど、勝手に脳内翻訳されている感じなのだ。
あと難しい単語を言おうとすると詰まる。きっとこっちの言葉が頭に入ってないからだと思う。
おかげで、子供っぽいしゃべり方しかできないんだよ。便利か。
トステッド兄様は本当にお母様にそっくりだった。
髪型を変えただけではないかというほどに…ベリショの10代美少女(♂)
あとめちゃくちゃ甘やかしてくれた。
頭撫でられるのって気持ちいんだな。
ちょっと複雑な気持ちだったけど悪くなかった。
社交シーズンは今月末まで続くそうで、お兄様達も忙しそう。
特に、トステッド兄様は、いい加減結婚しないと困るご年齢。
この国では16歳で成人だそうなので、行き遅れでは?弟に先を越されるやつ。
別に男色ではないそうなので安心だけど。
2ヶ月後には私の6歳の誕生日。いよいよ公爵令嬢としての教育が始まると言われている。
家庭教師の人たちともお目通りしたし。優し気なおじいちゃん先生と女性の先生だったな。
お父様、若い男を付けるのが嫌だったのね。
まぁ私もそのほうがありがたいが。
ご評価いただけると、頑張って継続できると思います。




