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酔っぱらい

「んで、この間倒した『暴炎獣 ファクマグス』だったっけ?ああいう火を使う魔獣って他にもいるの?」


俺はいつものようにソファの横でクッションに埋もれながらマーファが渡してくれた過去の賢人が書いたとされる魔獣辞典のようなものに目を通しながら質問してみる。

小難しくて写真もないからよくわかりにくいし読む気が失せるのだった。


「ふぅむ?いくつかはいるな。ファクマグナスよりちょっと大きめで吐き出す炎を利用して滑空中に加速する空の魔獣『火翔獣 ガーナファンド』

全身が発火粘土で覆われている熊のような魔獣『燃熊獣 ドラドォーラ』あとは小型で火の粉の集まりのような『燐火獣 ビランヌーア』ほかにもなんかいた気がするが最近の出現例はその辺だな」


相変わらず魅惑のボディを猫のように丸くなりながらマーファは気だるげな艶のある声で俺の耳元で囁くように講義をしてくれる。エロいって。

俺は彼女の口からでた魔獣のページを探す。

ガーナファンド。これか。

ざっくりと目を通していると


「マーファ、いる?」


そう言いながら入り口の暗がりから現れたのは髪をおさげにして少し地味な服装のルシアナだった。


「おや、ルーシー。どうしたの?こんな時間に」


俺の頭の上を肘置きがわりにしていたマーファが頭の上で気だるげにルシアナに声をかける。

持っていた本をストンと落としルシアナが一瞬固まる。

俺もマーファも???を飛ばして固まったルシアナを見る。


「な、な、な、なんでそんなにちかいんですかぁ・・・」


涙目になって半泣きで怒るルシアナ。

あ、しまった。そういえばマーファと一緒の所にルシアナがいるのって初めてだった。迂闊。これは怒られても仕方がない気がする・・・。

マーファは俺とほぼ同時に「!」のマークが頭についたくせに


「ん~~~?なにをそんなに怒ってるのかなぁ?ルーシーはぁ?」

と言いながらわざとらしく俺の頭の上に胸を押し付ける。

おい、火に油を注ぐんじゃない。


「む~~~っ」


ルシアナが涙目のままほっぺたを膨らましながらずかずかと進んできて俺の頭の上のマーファのほっぺたを引っ張る。

俺の目の前にルシアナの胸がくる。ぉぉぅ


「マーファはすぐにそうやっていじわるしようとするんだからっ!!」


そう言いながらマーファのほっぺをみよーんと伸ばす。


「しゅ、しゅまん、じょーたんた、わふかったひょ」


頬を引っ張られたままマーファは謝る。

満足いくまで横に引っ張って遊んだルシアナは急に上機嫌になりマーファの頬から手を離してそのまま俺を見るとニコリと笑って俺の首に手を回しぎゅっと抱きついてくる。


「にへへへへ。モリアツ様だー」


へんな笑い方してる。

その時、彼女の纏う匂いにアルコールの匂いが混じってることに気が付く。


「ル、ルシアナ?お酒のんでるの??」


俺は慌てて彼女に聞く。


「なんだ、気づかなかったのか。ま、私も気がついたのはさっきだけどな。ルーシーは酔うと甘え癖がでるからなぁ」


自分のほっぺたを擦りながらマーファが答えた。


「酔った状態でよくここまで来れましたね。大丈夫だったんですか?」


少し高い体温のルシアナは抱きしめているとぽかぽかしてくる。俺はそんな彼女に質問した。


「にへへへへ、ファイネンに連れてきてもらいましたぁ。今日はマーファと一緒に寝ようと思って借りてた本を返しにきたらモリアツ様がいるんですもの。ふたりでイチャイチャして・・・わたしよりマーファの方がいいんですかぁ・・・」


さっきまで笑ってたのに急に泣き出した。ああ、これぞ酔っぱらい。


「そ、そんなことはないよ?ほら別にマーファをイチャイチャしてたわけでなく・・・」


俺はしどろもどろになりながら弁明をする。

するとルシアナはパっと顔をあげ優し気に微笑み


「じゃあ私にもマーファにしたみたいにちゅーしてくださいっ!!」


まてまて、俺がいつマーファとチューしたことになってんだ??


「マーファ、彼女を止めてくれ。・・・なんで興味深々のにやけ顔でこっちみてんの?」


マーファはソファの上で少し離れて座りニヤニヤしながらルシアナと俺を見ていた。


「いやぁ、二人がどのようにチューするのかに興味がある。ぜひ私なんか気にせず一発ぶちゅーっとやってくれたまえ。ほら。ほら」


面白そうに囃し立てる。こ、こいつは・・・

俺がもう一度抗議の声を上げようとしたら


「もう!!マーファとばっかり遊んで。ほらっ!!私をみてくださいっ!!」


ルシアナは素早く俺の頭を両手で挟んで自分の顔の前に固定すると唇に唇を勢いよく重ねてきた。オーノーーー!!

しかも念入りに舌を絡ませてくるぅ。いつのまにこんないやらしいキスを覚えたんだ・・・。

されるがままに激しく唇を吸われ舐められ弄ばれる。頭がクラクラして彼女が唇を離すとそのまま俺はぐったり倒れてしまった。倒れていくさなかに見たルシアナの瞳には妖艶な光が見える。その笑みは少女のそれでなく女のものだった。

さっきまで囃し立てて喜んでたマーファはあまりに濃厚かつ攻撃的なディープキスの嵐の前に赤面して硬直していた。


「な、な、な、なんだその、あの、ル、ルーシー?」


いつも余裕ある彼女に珍しく年相応の女の子らしいキーの高い声でなにを言っていいのかわからないといった感じだった。

そんなソファの上のマーファをロックオンした淫らな笑みを浮かべた酔っぱらいの聖女がゆっくりとマーファに近づいていく。

マーファは動くことができず少しだけ気圧されたようにソファにぺたんと座る。

そんなマーファの顔をルシアナが手で優しく包み、顔を近づけて唇を奪う。優しく、愛おしそうに。何度も優しくキスをし、マーファの顔を見る。いつもの余裕のある人を食ったようなエロスなマーファでなくまるで生娘のように戸惑いと恥じらい、そして興味への渇望。なんてエロい表情なんだ!!

おれはぐったりと床に倒れた状態で二人の淫靡な世界を食い入るように見続ける。身体が熱を帯び一部海綿体はすでに臨戦態勢だった。

そしてルシアナはゆっくりマーファを押し倒し・・・

寝息を立て始めた。



一瞬の静寂。2人とも言葉を発しない。


その沈黙を破ったマーファが

「・・・・私はもうこのまま寝る。毛布を私たちにかけてくれないか」


俺は黙ってゆっくりと立ち上がりソファの近くに落ちていた毛布と掛け布団をとり二人にかけてあげる。


「モリアツも下手に出て行かない方がいいぞ。もしファイネンにここにいることがばれたら・・・」


俺はコクリと頷いた。彼女のことだ。痛みがないことをいいことに俺を聖堂の鐘の中にぶら下げて煩悩の数だけ鐘をついたりしそうだと思った。

マーファは呪文を唱えひょいと手を振ると部屋の明かりのランプがふっと消える。

俺もそのへんにあった毛布を取りいつもどおりソファの近くでクッションに埋もれて眠りにつくことにした。・・・・・・

興奮して眠れるかどうかは怪しいが・・・


マーファ。ルシアナと3人で談笑。という予定だったのですが

ルシアナが嫉妬して険悪ムードになりそうだったのでお酒の力を借りて

面白おかしく味付けしてしまいました。

本来ハーレムには女の嫉妬がどうしても付きまとうと自分は考えちゃうので複数の女性との席を描くのが難しいですよね。できればうまく誤魔化したいんですがはたして・・・。


リアルハーレムを想像して萌える人はブックマーク、高評価。どうまとめるといいハーレムになるかを感想で送ってくださいw


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