再会
部屋の外の微かな物音でふっと睡眠という至福の世界から意識が戻ってくる。
それでもその至福の時から逃れたくない一心で、しばらくは布団の中の惰眠という幸せを味わった後、意を決して身体を起こす。
部屋の中は少し明るく肌寒い。だいたい朝5時過ぎくらいだろうか?
俺がこの世界にやってきて一ヶ月以上が経った。長かったような短かったような。
初めて魔獣を討伐した日を境に俺は大聖堂の客間から討伐隊の兵舎の方に部屋を用意してもらってそちらへ移った。
ルシアナは残念がったが広すぎる部屋と討伐隊本部までが遠かったので行き来が面倒だったからだ。
部屋の広さもたぶん10畳くらい?のひろさで
前の客間ほど広くないので落ち着く。一般隊員用の部屋でなく一応隊長クラスの人専用の部屋らしい。
『女神の使い』を一般部屋に放り込むのは問題ありとの御達しがあったそうなので、そこはありがたくこの部屋をお借りした。
ここは皆朝が早く自主的に身体を動かすために起きてトレーニングを始めたり仕事の準備を始めたりするらしい。毎日やる人は少ないらしいが毎朝誰かが動き出した気配は一階で出口の近い俺の部屋ではよくわかるのだ。夜も照明が暗いのでとくにできることもなくすんなり寝てしまうので必然的に朝早くおきてしまう。
ベッドから出ると身体を軽く動かし不調がないかを確認する。
昨日はセナたちが魔獣を発見した狼煙が上がったのでその討伐のため『時空自在』で討伐の往復をした。行きは左目が一時的に見えなくなった。
戻ってからは左腕が夜半まで動かずご飯に苦労した。今日はちゃんと動くようだ。
俺は軽くストレッチをすると運動しやすい服に着替えて外に出る。
すれ違う隊員たちと軽い挨拶をかわしつつ
俺はいつものように軽いランニングからスタートする。隊員としての仕事はまず自分の身体の管理だ。いつも通り大聖堂へ続く大きな庭に出てそこからはずれの森に向かうルートを取る。
初めてシュレンにボコボコにされた場所でトレーニングをする。それは習慣と化しつつあった。
そこまで軽くランニングをしてその後、身体を動かす。そしてもう一度庭を一周して戻るというのが俺のトレーニングの日課だった。
俺はいつものように森を目指してランニングをする。息を切らしつつ森へ着くと今日はそこに先客がいた。
長い髪を後ろで束ねた綺麗な立ち姿のスラリとした麗人。
俺は嬉しくて声をかける。
「シュレンさん!!いつこちらに戻ってたのですかっ!!」
俺が駆け寄ると美しいその女性は微かにはにかむように微笑し
「夜分遅くに。その節はお世話になりました。本来ならこうやってここにいることすら叶わなかったかもしれない。本当に感謝しています」
彼女はその場に膝をつき首を垂れる。
俺は慌てて彼女の前にしゃがみ込み
「頭を上げてください。俺のせいで大けがをしてしまったんですし頭を下げられても困るんです。感謝だけ、感謝だけは受け取りますから立ってください」
おれの情けない顔をみて、シュレンはどう表現していいかわからないといった顔をしてから
「そうですね、お互いここまでにしましょう。本当にありがとう」
そういって立ち上がって涼し気に口元に笑みを浮かべた。
「しかし、真面目に鍛錬していたのですね。ここで会えなければ少し落胆したかもしれません。頑張っていてくれて嬉しく思いますよ」
シュレンは優しい目で俺を見る。
そう言われて嬉しくてぞわっと鳥肌が立った。
そして、気恥ずかしくなり目線を下げる。
「いやぁ、たまにサボっちゃうんですが極力日課にするようにしています。効果はさほど出てないのですがね」
彼女はふいにスッと俺に近づき肩や腕、胸元などにおもむろに触れだす。
俺は突然のことで硬直し絶句する。
「なっ、なっ、何やってんっすか!!」
俺は素っ頓狂な声をあげる。シュレンは気に求めず腹筋や太腿などをベタベタと筋肉を確認して立ち上がり
「確かに、あまり変わりばえしてませんね?それでもだいぶん筋肉ついてますよ?」
そう言いながら俺と目が合ってはじめて近すぎることに気がついたようでぱっと少し離れる。
そして目を逸らし、「す、すいません。最近弟も同じように悩んでまして。つい癖で」
彼女は珍しく顔を赤らめた。
たしか・・・弟さん6歳とかいってませんでしたっけ?6歳と同等かよ・・・。
「ま、まぁ成果が多少でもでてるならよかったこのまま続けてればシュレンさんも俺にメロメロにな
りますかね?」
俺は冗談まじりに聞いてみた。
シュレンは飽きれた顔をした後
「相当鍛えないとそれはありえないですよ。私は鍛え抜かれた肉体こそ至上と思ってますからね」
そう言って少し恥ずかしがるように笑った。
「いいでしょう。いつか俺の筋肉美の魅力でときめかせて見せますよ」
俺は彼女を見てそういうと、木の陰に隠してある木刀を取り出しひと振りしてから正眼に構えた。
それをみてシュレンが少し楽しそうに手に持った木刀を持ち直し斜め下に構えて姿勢を低くしながらクスリと微笑み
「楽しみにしておきましょう」
そう言葉を発した時にはすでに彼女は俺の眼前に差し迫っていた。
キーになるシナリオだけ紡ごうとしてたら気が付けばすぐ脱線するので一苦労です。
最近新しい話を作りたくてうずうずしてます。
多少なりとも読者がいる以上この話をきちんと完結させたい自分と
もっともっとたくさんの人に読んでもらえる内容の作品を作りたいと考える自分とが葛藤中です。
焦っても仕方がないと思いつつ時間の有限さを嘆きつつ今日もゲームの電源を入れるのであった。
まこと人は愚かなるものよ・・・・。
そんな愚か者をやる気にさせるためにブックマーク、高評価、ちゃんと最後までやれ、馬鹿野郎。と励ましのコメントを頂けると嬉しいです。




