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食後のひととき

 ご飯を食べ終えて、私はよそ様の家であることも忘れてお腹をさすった。

「美味しかったぁ・・・・・・!」


 ちらっと周りを見てみると、誰も私の行動を気にしてはいなかった。

 むしろみんなも同じように食後を思い思いに過ごしていた。

 (つむぎ)さんはお茶に口をつけて、(こう)は伸びをして、(あお)はふうっと満足そうに息を吐きだした。


 楓夏(ふうか)さんと千冬(ちふゆ)さんは・・・・・・。


 二人を見るとじゃんけんをしていた。

 最初はあいこ。

 次もあいこ。

 三回目、楓夏さんはグ―を出して、千冬さんはパーを出した。


 負けた楓夏さんは悔しそうに顔を歪ませながら、最後まで残していたトマトを素早く手に取って口に放り込んだ。

「う"うぅぅ・・・・・・」

 トマトを食べた瞬間、表情がすっぱそうなものになる。


 その様子を心底愉快そうに横目でみる千冬さんは悪魔のようだ。

 目が合いそうになったので、目をそらしておいた。


 紅は呆れたような声で言った。

「最初に食べれば後味だって残らないのに・・・・・・」

 それに対して、楓夏さんは人差し指を立てて前に出し、左右に振った。

「いや、私がじゃんけんで勝てれば、千冬に処理してもらえる。そのためには最後でなければいけないんだ」


 その回答に碧も呟いた。

「最初にすればいいのに・・・・・・」


「だ~め。それじゃあ、面白くないでしょう?」

 ニコニコしながら、千冬さんは最後までとっておいた自身のトマトを口に入れた。


 無意識に千冬さんの方を見ていたら、狐のような目が開かれて、私と目が合った。

 私はごくりと生唾を飲んだ。


 その時、紬さんが皿を重ね合わせ始めた。

 私もそれに合わせて、椅子から立ち上がった。


 あ、あの目はすごく苦手だ!!

 蛇に睨まれた蛙の気持ちがわかる気がする・・・・・・。


「ご飯の量は丁度良かったかしら?」

 考え事をする私に丁度良く、紬さんは尋ねてきた。


「すごくおいしかったんですけど、やっぱり量が少し多いですね・・・・・・」

 私の言葉にかぶせて、楓夏さんが割って入った。

「いやもっと食った方がいいだろ。」


 目線を下げて、私の足を見る。

「部屋の掃除をしているときから思ってたけど、細すぎじゃね?木の棒じゃん」


 楓夏さんの横から援護するように千冬さんも呟く。

「確かに、もう中2なのに小6の碧唯と紅の身長ぐらいって・・・・・・」

 千冬さんは目をキツネみたいに細めているからわからないが、可哀そうなものを見るような感じでこちらを見ているのがわかる。


「う~ん」

 うなりながら、左手を顎に当てつつ、楓夏さんの右手が私に伸びてきた。


 ペロンッ


 私は身構える隙もなく着ていたTシャツを楓夏さんの手によって捲られた。

「えっ!?えっ・・・・・・」

 私は突然のことにうろたえる。


 当然、捲られたのだからお腹が丸出しだ。


「え・・・・・・」

「まじかよ」

「うわぁ・・・・・・」

「っっ!」

「・・・・・・」


 私の体の評価は上記のものです。


 楓夏さんはそっと捲っていたTシャツを下ろした。

「その、ごめん。無遠慮だった」


 そんなに申し訳なさそうにしないでください・・・・・・。

 自分の体がすごい状況なのは知っているが、流石に悲しくなる。


 みんな黙りこくっていたが、千冬さんが一番に口を開いた。

「一度に無理なら、小分けで食べさせましょう」


 閉じられていた目が開かれて私を見つめてきた。

「ひぇっ」

 蛇に睨まれたような心地にり、咄嗟にお皿を掲げて、目線を遮るようにした。


 それを見た千冬さんは、私の行動が気に食わなかったのか言い分を変える。

「やっぱり、一度にいっぱい食べさせましょ~♪」


 席に座ったまま私を見上げながら、千冬さんの方を見て、楓夏さんは呆れたように言う。

「お前、もう悠の前では目開かない方がいいぞ?ていうか、悠を見るな」


「ふふ、楓夏も悠にはそんなに好かれてないしぃ?これから仲良くなるのよ♪ね?」


 お皿で目線を遮ったとはいえ、ものすごい圧を感じる。 

 千冬さんには申し訳ないが、私がではなく、この体が苦手と感じている。

 体が勝手に委縮するのを感じる。


 ここは大人しく、はいと言っておこう。


「は、はぃ・・・・・・」

 情けない、返事になってしまった。


「ああ!もう!悠姉をいじるのはやめにしなよ。千冬姉さんはあたしと一緒に皿洗いだよ!」

 ガタンと椅子から立ち上がり、私が目線の高さに挙げていた皿を奪い取り、自身のお皿とまとめて、紅はキッチンへと向かっていった。

 その後ろを千冬さんがついていく。


 楓夏さんも紬さんと碧の分の皿を抱えてキッチンに行ってしまった。

 碧はテーブルを布巾で拭いている。


 私はやることを見つけられないでいた。


「悠ちゃんはお風呂に入ってきたら?」

 そんな私に紬さんはお風呂に入るよう勧めてくれた。


「い、一番でいいんですか?」

 私がおどおどしながら聞くと紬さんは優しい笑顔でうなずいた。

「もちろん。ちゃーんと湯船につかっておいでね?」


「は、はい!」

 いい返事をして、自分の部屋に向かう。


 幾分かましになった部屋の電気をつけて、下着と上下のスウェットを取り出した。


 天井に貼ってあるイケメンのポスターは寝るときにでもはがそう。

 こんなのに見つめられてたら、満足に眠れないだろう。


 そんなことを思いながら部屋を後にする。

 リビングを通るときに紬さんと碧が手を振ってくれた。

 私も手を振り返す。

 が、碧が何を思ったのか椅子から急に立ち上がって、私の方に向かって走ってきて抱き着いてきた。


「うぐぅ・・・・・・」

 私の汚い悲鳴が上がった。


 抱き着かれたまま碧は私の耳元で話す。

「ね。一緒に入ってもいいかなぁ?」


 えっ!!

 一緒に入る?

 う~ん・・・・・・。

 まあ、いいかな・・・・・・。


 いいよと言いかけた時だった。

「ダメに決まってるでしょ?お風呂の時くらいゆっくりさせてあげなよ!」


 紅が真っ先に否定の言葉を口にした。

 しかも若干、怒っているような気がしないでもない。


「あ~ぁ、じゃあ、また今度一緒に入ろうね!」

 残念そうに声を出して、碧は紅のことなど全く気にしたそぶりも見せずに脱衣所に行く私を見送ってくれた。


 服を脱ぎ終え、お風呂の扉を開けると柚子のにおいがしてきた。

 入浴剤が入っているみたいだ。

 浴槽にはお湯がなみなみと、はられている。


 浴槽に入る前に髪も洗い、顔、体とすべて洗って、奇麗な体にしてから浴槽に浸かった。

「ふわぁぁ~~~」

 私の体から気の抜けた声が出てくる。


 私は一日の疲れをゆっくりと洗い流していった。

次は5月11日に投稿します!

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