97話 悪魔たちの思惑
ここはアスタロトの捕縛されている場所、つまり今はレッケルらの本拠地。そこでレッケルは1人何かに向かって喋る。
レ「思わぬ収穫が入ったものだ。あの大公爵アスタロトの力だ。さあ、受け取りたまえ」
レッケルの言うアスタロトの力とやらがその何かに注がれていく。それをレッケルは見ながら嗤っていた。
◆◆◆
その後レッケルは同じ最上位級悪魔たちと話す部屋に行き、そこにある椅子に座った。
レ『もう少し、もう少しで……』
感慨深いようにレッケルは過去を思い出していた。
◆◇◆◇◆◇
昔から思えば私がこの組織のトップになったらやりたい事があった。あの方の威厳を保つように力の保有、完璧な政治。
政治に関して言えば何かと上手くいっていた。最上位級悪魔が『魔界』の土地をそれぞれで支配するようになったことがむしろ好都合で私の土地に集中することが出来た。
政治は上手くいっても回りの最上位級らに負けないような力は必要だ。そこで圧倒的な力が『人間界』に生まれた。それが始祖光だ。
当然の如く他の最上位級らも力の塊である始祖光を狙った。それを得られれば全ての『魔界』を支配出来ると言っても過言ではないからだ。
そして私は出来る策を練りに練りまくった。あらゆる手段を練りそれらを始祖光を捕らえる為に……
聞くところによると始祖光の力はまだ不完全らしい。だから完全な存在になるまで力を貯めさせようと考えた。
まずベリアル軍ルードワイアンが始祖光にやられたところから始まる。最初はマッケベンとか言うその辺の悪魔を始祖光が戦うように仕向けた。そして案の定、始祖光は倒した。
次はアバドンの直属の部下だったリュカとブォウンに捕らえられるなら捕らえよと任せた。だがリュカは始祖光に負け、何も得ずに帰って来た。これはこれで始祖光が強くなったから良しとしよう。
しかしここで厄介な奴が現れたことだ。それはベルドラム、あやつは昔の大悪魔の部下というわけではなく、均衡の樹の1つであるセフィラ『知恵』のコクマーの元に居た変わった奴だ。
奴のせいで少し計画に支障が出たが今はそれを取り戻すことが出来ている、アスタロトのおかげでな。最終的には計画通りになる予定だ。
後、言うなれば予備として『アウトキャスト島』にヨーストらを送っておいたことぐらいか。始祖光の代わりになるという『浮遊石』を手に入れさせるつもりだった。ヨーストらの上であるアザゼルを蘇らせられると適当にウソを吹き込むと簡単に信じた。
だがこれのどれも全てを始祖光は乗り越えた。今では普通に脅威と言えるほどに……
これ程のものになれば完全だ不完全だなどと言えなくなってくる。我々が負ければ全て無駄になってしまうからな。だからここで……この一手で決める。だから、もう少しなのだ……
◆◇◆◇◆◇
レッケルがこれまでの事を思い出していると何やら騒がしいことに気づいた。
レ「何事だ?」
悪魔「っっ?! レッケル様! く、クレメンティアが?!」
レ「ん?」
レッケルが騒がしい所に着きそこに居た悪魔が事情を説明しながら目の前を見る。そこには血まみれで倒れながらもここまで来たというクレメンティアの姿があった。
ク「……ぐっ…!………レッケル……ヴィンフリートが…裏切った……」
レ「なに……」
レッケルはクレメンティアの側に近寄る。
ク「あいつは…うら………始祖光と…戦いたいがために…勝手な行動をする前に……」
レ「お前が止めようとしたが返り討ちにあった、と……」
クレメンティアはうなずく。ヴィンフリートは以前にもレッケルの言うことを聞かず始祖光と戦った。その事もありレッケルは不満を抱く。
レ『ここに来て内部崩壊は避けたいものだが……』「事情は分かった、おい、クレメンティアの傷を治してやれ。ここで戦力を削いでいるわけにはいかない」
悪魔「は!」
クレメンティアは悪魔に連れて行かれ傷を治すことに。
◇◇◇◇◇
ク「ゴホッゴホッ……」
あ~もう! 痛いじゃない! ヴィンフリート、あいつは本当に何考えているのかまったく分からない奴だわ。
◆◆◆
私を切りつけた後、
ヴ『なんだ? その芝居みたいな言動は?』
ク『っっ?! な、何の事かしら……』
ヴ『分かってんだよ、お前が裏切ったことぐらいは』
ク『っっつ?! うそ……ゴホッ…』
ヴ『なんでここにきて裏切ったのか俺は知りたいなぁ』
ク『あ、あんたは……何を知って……』
ヴ『話せ』
ク『っっ……』
その時のヴィンフリートはいつもの奴じゃなかった。威圧がいつもの比じゃない。
ヴ『はぁぁ、まあ素直には話さんよな。じゃあ俺から言おう、俺はジジイも硬い奴もお前も、誰1人信用してねぇしその気になればこうして切る』
ク『っっな?! そ、それだと裏切りに……』
ヴ『俺なりの裏切りだ。つまらなくなったら俺は好きにする。これでいいか? こんどはお前が話せ』
この時の私はヴィンフリートに怯えていたのかもしれない。切り裂かれたからじゃない、もっと何か別の恐怖を奴から感じた。あれは何?
なので私は正直に話した。うららとの繋がりも、これから起きるであろうことも。それを聞いたヴィンフリートは、
ヴ『フッハーッハッハッハ! 何考えてやがると思ったら、お前やっぱり悪魔だな。全部始祖光任せからの全部始祖光こせいにさせる気か?』
ク『え?! ち、違う、そうじゃ……』
私はあくまでもレッケルらの言いなりになりたくなくて自分が動くのは当然のこと、それをうららに手伝ってもらおうとしただけで何もうららのせいにはするつもりなどなかった。
ヴ『じゃあな』
ク『ど、どこに……?』
ヴ『イェルマインのところにでも行ってお前の事を話してやるよ』
ク『っっ……』
どちらにしてもイェルマインは既に私とうららのことを知った。ヴィンフリートから言わなくても分かるはず。するとヴィンフリートが小声で独り言を言ったのが聞こえた。
ヴ『ハエが1匹居るな…釣ってやるか……』
ハエ? 何それ? そう言うとヴィンフリートは行ってしまった。
残された私は力を振り絞りレッケルの元へと向かった。本当は向かうより逃げた方が懸命な判断だが、ヴィンフリート、奴はヤバい。ただの生意気な奴だと思っていたけど案外底がしれない。
イェルマインが他の悪魔を使ってレッケルに報告に行ってるかもだけどヴィンフリートのせいで味方は多い方が良いと判断してレッケルがヴィンフリートを敵視させるようにしないと……
◆◆◆
そして私が裏切ったことで場内が荒れているというわけではかったのでレッケルと接触してみた結果、ヴィンフリートを敵視したようで成功した。それにまだ私の裏切りは発覚していない。
痛む傷を抑えていると突然目の前にゲートが現れそこからサキュバスが現れた。
?「キャァァァ?! 血、血がぁぁ! だ、大丈夫ですか?」
ク「だ、誰?」
なんか無理やり感あるけど一応前の話を持ってきた感じです。元々今回の話通りほとんどレッケルのさしがねの予定でした。よく考えたらその時に「あの方の」みたいな事を言っておけば伏線みたいな感じで良かったかもしれませんね。
次回は遂に魔界に宣戦布告的なことをします。(@^^)/~~~では




