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◆第二十八章:小林 俊典 その三


 ……なんや寝とったんか?


 ……意識がぼやけるで、……ここはどこなんや?



 気付くとワイはパイプ椅子に座っとったんや。




 なにしとったんやっけ?


 確か今日は放課後に委員長が戸畑先生から声をかけられたんや。

 それを委員長から電話で聞いたのを神谷から聞いて、そいでワイは委員長のもとにすぐさま駆けつけた!


 三奈木ちゃんから三人の失踪者がでて誰であっても二人きりになるのは危ないって聞いとったからな。


 神谷には三奈木ちゃん達と合流するよう伝えてワイは一人委員長のもとに辿り着いたんや。

 それでワイはワイのカードを委員長に渡してボディガードになることを提案したんや。


 そいで気付いた時には委員長が戸畑先生にロープで繋がれとったんやけどわいが出てきたら先生も動揺したみたいで難なく危機を逃れたんや!


 ワイの活躍で委員長からの好感度も高まったやろ!


 そのあとなんやかんやあって神谷達と合流してな、部室やら駅前のファミレスやらでこれからの作戦会議をしとったんやけどな、突然三奈木ちゃんスマホをみて何かに気付いたんや!


 なんと行方不明になったはずの夏目っちゅう後輩がカードを持って港にいる写真をあげとったらしいで!


 何よりも驚きなのがワイらにカードをくれた怪しいおっさんも一緒にうつっとったんや!


 写真には有名な魚の像と時計もうつっとたみたいでな、どうにもリアルタイムでとった写真っぽかったんや!


 丁度電車で一時間位の距離やったからワイはオカンに友達の家に泊まるゆうてみんなとすぐさま現場に向かったんや!

 そいで現場についたら誰もおらんかったんやけど突然あのおっさんが現れてな、そしたら急に眠くなって気付いたらここにおったんや!




 みんなはどこにおるんやろうか?


 薄暗い中、辺りを見渡したらワイの椅子も合わせてに十席、横二列で同じ様なパイプ椅子があってみんなも座っとる。

 ワイの右隣には神谷がおって前の席に委員長、ちょっと離れたところに三奈木ちゃんと春日原、それとなんでかワイの左隣には二組の五条がおるんや。


 ……なんでこいつもおるんや?


 他の席にも人が座ってはるけど誰かわからん。

 なんか一人だけヘルメット被ったいかにも怪しいやつがおるけど三奈木ちゃんが言ってたサイボーグゆうんかいな?

 みんなも同じくらいに意識を取り戻したみたいで辺りをみまわしてはる。

 とりあえずアイコンタクトでワイらはそれぞれの位置を把握すると急に前の方が明るくなったんや。




「ようこそ皆さん、お集まりいただきました。」




 明るくなった先にはあの怪しいおっさんがおって帽子をとってお辞儀してはる。


 後ろにはカーテンがたなびいとった。


 それをみて一人知らんやつが声をあげるんや。




「どこなんだここは!!花梨をどこにやった!?」




 まだワイらの席は暗いからよくみえへんけどそいつは怒鳴りつけてはる、おっかないわ…。


「説明させていただきます。」


 おっさんはおっさんでそれを気にせず話を続けおったわ。


「ここは私の船、名前は〈赤の女王〉。」


「この船は港で皆様を乗せてすでに沖合に来ております。」


 ワイら寝とる間に拉致されてもうたんか?


「ここは船の中の大ホールになります。私の後方が船首になり広い屋外デッキがあります。」


 そういうとおっさんの後ろと左右のカーテンが開いて月明かりが入ってきたで。

 確かにおっさんの言っとた通り一面には海が広がっとったんや。


「皆様の後方には廊下と開けた休憩室がありそちらにお手洗いがございます。」


「廊下を抜けた先にも小さいですが屋外デッキがありまして、左右に船首のデッキに繋がる外廊下もございます。」


「船の説明は以上です、看守室等はございません。」




 なんやて?




「そして乗客は皆様十人のみ、船員はおりません。」




「ならどうやってこの船は動いとるんや!?」




 ワイの質問を無視しておっさんはしゃべりはる。


「皆さま手品はお好きですね。」


「今日はマジックショーのためにお集まりいただきました。」


「ここには十人の人間と十枚のカードがございます。」


「カードとは私が皆様にお配りしたもので名前を〈門にして鍵〉といいます。」




「……門にして鍵?」




 三奈木ちゃんが思わず声をだす。

 あのカードに名前ってあったんやな。


「このカードはこの世の万物を一つ読み込み、好きな時に呼び出せる魔道具でございます。」


「カード自体はこの世のものではないので破壊も出来ませんしカードでカードを読み込むことは出来ません。」


「今回のマジックは皆様にやっていただきます。」




 ……へ?




「これから皆さんにはカードか皆さんを消していただきます。」




 ……なんやて?




「十枚すべてのカードが消える、もしくは一人が十枚すべてのカードを手にした時点で今回の演目は終了です。」





「そんなマジックやないで!!ただのカードの奪い合いや!!」





 ワイは席をたち声を荒げる。


「私は遠くで見ているので楽しませてください。」


 なんなんやこのおっさんは?本当になんなんや!?




「待ってください!」




 委員長も席をたち声を荒げる。




「聞きたいことがあるんです!カードで壊れたものを直す方法はないんですか!!」




 委員長はその答えをずっと探しとった。




 ……おっさんは答えん。




「委員長が聞いとるやぞ!!答えんかい!!」




 ワイの声を聞いても何も言わへん。


 黙っとったかと思えば急に喋りだす。


「皆さんの助けになるようにとお一人前座を準備していただいた方がおります。」




 前座?なにゆうとんねん!?




「それをお借りして私は退場させていただきます。」


 こいつ、逃げるきかいな!?




「待て!!」




 遂に神谷も声あげ立ち上がる、せやけどおっさんは気にせずカウントダウンを始める。


「ワン。」


「トゥー。」


「スリー。」





 パチン。





 おっさんが指をならすと突然部屋の照明が点灯する。

 急な光に眩しくて瞬きをした瞬間そこにはおっさんはおらんかった。


 一瞬で消えたんや。


 そしておっさんがおったところには代わりに車椅子とそれに座る何かがおる。


 明るく照らされたそれは人の形をしとった。


 ワイらの高校のセーラー服をきていたそれは最初に何かわからんかった。



 ……いや、本当は見た瞬間にわかったわ。



 でも頭が認めたくないんや。




 骨ばってミイラのようになったそれをみて一人の男がそれに駆け寄る。


「……花梨、……そんな、……嘘だ。」


 さっきまでおっかなかったその男はそれの手に触れるとその場に倒れこむ。



「風見少年!!キヲタシカニモテ!!」



 それをみたヘルメットの怪しいやつが機械みたいな声で声を掛ける。

 せやけどその男に反応はない、気絶しとるみたいや。


 車椅子に座っとるのわワイらが写真でみた夏目花梨っちゅう娘やった。


 見てすぐにわかるのは首に大きな切り傷があること。

 ミイラのように干からびていること。


 そして傷口があるのに出血がないことや。




 つまり血がなくなっとるんや!!




 ヤバイで、これは確実にヤバイで!!


 なんか知らんけどこんなことをするやつがこの中におるんや!!


 委員長のアミュレットを骨抜きにしたようなやつがこの中におるんや!!


 ワイでもわかる、そいつを止めへんとみんなやばいんや!!




「……委員長、……カード、……静海、……先生。」


 ワイがその事に気付いた時、斜め前の席、委員長の隣の席におった女の子がぶつぶつゆうのを聞いた!




 そして突然そいつは立ち上がり叫んだ!!




「先生をどこにやった静海!!」




 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!


 委員長を守らんと!!


 ワイは飛び出した!




 そいつは何かをポケットから取りだし委員長につきだそうとする。




 ワイはその間に入る。






「……がはっ。」






「小林君!!」

「小林お前!!」

「宇多田!ナニヲシテイル!!」




 ……色んな声が聞こえる。




「小林君!!!!」

「小林!!!!」




 ……委員長と神谷の声が一番聞こえるで。


「逃げ……るんや……。」


 ……神谷、……後は頼んだで。







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