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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第4章 帝都編2

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第67話 一糸乱れぬわんちゃん

「お座り!」


 シュタ!


「伏せ」


 シュタ!


 ブルハウンドたちが美羽の号令に一糸乱れぬ動きで従っている。

すっかり美羽をご主人様として認めていた。


『きんちゃん、きんちゃん』

『ハッ、美羽様? 念話ができるようになったのですか?』

『うん、昼間、大波に攫われる前に使ってくれたでしょ。できるかなって思ったらできちゃった』

『さすが美羽様です。習得の速さが尋常じゃありません』

『えへへ、そうかなぁ』

「?」


 美羽ときんちゃんが無言で急に笑ったりしているのをみて、アミは不思議に思ってみていた。


『それでさあ、わんちゃんたちにも直接念話できるかな?』

『できるはずですが、犬に念話してどうするのですか?』

『これだけ数がいたら、口で特定のわんちゃんに命令を出すのは難しいと思うんだよね。

だから、念話で話したい子に話しかけるの』

『それは素晴らしいですね。それに念話だとイメージも送ることができるので、言葉では伝えられない動きもさせられるようになるはずですよ』

『へー、そうなんだ。じゃあ、イメージってこんな感じかな』


 美羽はきんちゃんに母の美玲と妹の美奈のイメージを送ってみた。

美玲と美奈がこちらに向かって手を振っているシーンだ。


『そうです。……ああ、とても暖かいイメージです。美羽様の幸せが伝わってきます』

『うん! 私も暖かい気持ちになった。イメージを送る時って、それを明確にするから、はっきり思い出せていいね』

『そういう効果もありますね。これからも私に美羽様の幸せなイメージを送ってくださいね』

『えへへ、嬉しいな。そういうの一緒に見るの』

『クララとレーチェルとも共有するといいでしょう』

『あっ、それ嬉しいかも〜』

『彼女らもきっと喜びますよ』

『うん! あ、わんちゃんを忘れてた』


 ブルハウンドたちが伏せをしながら、期待を込めた目でこちらをみている。

美羽は一頭のブルハウンドに向かって念話した。


『お座り』


 シュタ!


『おお〜。それじゃあ、みんな整列』


 今度は命令とともに整列のイメージを送ってみた。


 ザザザ!


すると、まるで軍隊のように四列横隊に並んでお座りした。


『おお〜』

「え、え、な、何?」

「まあ、何かしら、急に」


 美羽はその間全て念話で行っているので、シアとアミは迫力のあるブルハウンドの動きに驚いている。

美羽はというと、念話での指示が楽しくなってきて、二人のことは忘れている。


「伏せ」


 1番目の犬から一頭飛ばしで伏せをさせる。

規則正しく一頭飛ばしで伏せをしている。


『よし! お座り、伏せ、お座り、伏せ、お座り、伏せ』


 今度は、伏せをしている犬にはお座りを、お座りをしている犬には伏せを、交互に連続で指示する。

すると、まるでモグラ叩きのように、犬たちが動いた。


「うう〜、お座りしたわんちゃんの頭を叩きたい〜。誰かモグラ叩きのハンマー持ってきて〜」


 ここで、ようやく美羽がしゃべったために、呆気に取られていたアミが美羽に詰め寄る。


「この犬たちの動きはなんなんですか? 怖いです」


 それを聞いて、美羽はキョトンとした。ついで、思い出したかのように笑う。


「あはは、ごめんね、アミ。これは念話って言って、直接わんちゃんの頭の中に話しかけているの」

「あ、頭の中に直接ですか?」

「うん、こんなこともできるよ」


 美羽が黙ったと思ったら、急に犬たちが走り出して、縦一列に並んでお座りした。


「ひゃっ」


 アミは怖がっているが、美羽はニコニコしてアミに話しかける。


「シアちゃん、アミ。犬たちの正面に来て」


 正面に行くと、犬が重なって一頭しか見えない。


「き、綺麗に重なっていますね」

「ミウちゃん、犬の扱いが上手ねえ」

「まあ、見てて」


 美羽が黙ったと思うと、犬が左に動き出す。すると次の犬の顔が見えてきて、その犬も左に動き出す。

すると3頭目が見えてきてその犬も左に動き出す。それが続く……。


 犬たちは滑らかに一つの生き物のように波打って回り始めた。

そう、美羽は○ュー○ュートレインをやりたかったのだ。


「わあ、犬たちが規則正しく動いてる」

「幻想的ねえ」

「だぁいせいこう!」


 そう言いながら、美羽は犬たちの方に歩いて行くと、犬たちは散開、美羽を中心に囲った。


 そして、美羽は歌い出した。

○ュー○ュートレインを。

20頭の犬たちは、その周りで一糸乱れぬ動きで、犬の体でできる最大限のダンスをする。

いつしか桜の花びらが舞い桜色の光が美羽たちを浮かびあがらせ、幻想さが増す。


 シアとアミは美羽の美しい歌声と犬たちのパフォーマンス。桜の花びらと桜のライトアップの演出に酔いしれた。


 1曲を歌い終えた時、美羽と犬たちは美羽を中心にポーズを決めた。


 それを見たシアとアミは惜しみのない拍手を送った。

美羽はその拍手に笑顔で答えた。


「ありがとうー」

「感動したわミウちゃん」

「素晴らしかったです。ミウ様」

 

 しかし、シアもアミも忘れていた……。


「なんの騒ぎだ! これはー!!」


 ……敵地のど真ん中だったということを。


 まあ、美羽ときんちゃんは覚えていて、それでなおやっていたのだが……。

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