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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第4章 帝都編2

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第65話 きんちゃん風呂2

「今夜、二人の仲間を助けに行くんだけど、その前に……」


 美羽はニヤリと笑う。

シアとアミは不穏な空気を察したのか、後退りをした。


「これですね、ミウ様」


 きんちゃんが察して、魔法を使う。

出てきたのはきんちゃん風呂だった。


 いつもより大きな立方体のお湯の塊はホカホカと暖かそうな湯気を出している。


「ミウちゃん、これは何かしら」

「見ての通りお風呂だよ」

「え、お風呂ですか?」


 アミが驚いて声を上げる。


「そ、きんちゃん風呂っていうんだよ。みんなで入ろうよ」

「まあ、嬉しいわ。私はジェフの相手をさせられていたから、お風呂に入れられてたけど、アミはずっと入っていなくて可哀想だったのよ」

「嬉しいです。ミウ様!」


 シアが涙を目に溜めていて、アミは目をキラキラさせている。

二人の犬の尻尾はブンブン振られていた。


(わあ、尻尾を掴みたい〜)


 美羽はそう思うが、今は誘惑に駆られている場合ではない。


「さあ、お風呂に入ったら、新しい服を着よう」


 そう言って、ミウはさっさと服を脱いでいく。

シアとアミもそれに倣って服を脱ぐ。

だが、どうやって入ればいいか分からない。


 シアとアミが戸惑っていると、美羽が横っ飛びに頭からお風呂の真横に飛び込んだ。


「「ええ〜〜〜」」


 入った美羽は、お湯の中でゴボゴボとさせ、慌てて上に水をかき、頭をお風呂の上部から出した。


「ゲホッ、ゲホッ。えへへ、また失敗しちゃった」

「ミウ様、毎回なんですから、いい加減静かに入りましょうよ」

「だって、面白いんだもん」

「もう、ミウ様。では、せめてお湯を飲まないように気をつけてください」

「うん! 分かった」


 全然、分かっていない返事をする美羽を呆気に取られてみていたシアとアミ。

きんちゃんがそれに気がつき声をかける。


「美羽様はああやって入りましたが、お二人は真似する必要もありませんよ。

そのまま、前に進めば一瞬抵抗がありますが中に入れます」


 アミが恐る恐るお湯を触ってみる。


 プルンとお湯が揺れる。


 アミは嬉しそうな顔をして、犬の尻尾を振り回した。

今度はもう少し強く手を出す。


 プルン、すー。


 一瞬抵抗があったが、手が中にスッと入っていった。

と、その瞬間、中から手を引っ張られた。


「きゃあ」


 アミはお湯の中に頭から入ってしまう。

突然真横のお湯に入ったことで、上下感覚がわからなくなり、パニックになる。

手足をバタバタさせながらお湯を飲んでしまう。


 ゴボゴボゴボ。

アミはお風呂で溺れてしまった。


 (ああ、苦しい。死んじゃう)


 と、そこで何か大きい手に体を掴まれてお湯の外に出される。


「ゲホッ、ゲホッ」

「大丈夫? 引っ張ってごめんね」


 美羽が女神の手で持ち上げていたのだった。

 

「ミ、ウさ、まだったん、ですか。……ふう、助けてくれてありがとうございます」

「いや、私のせいだったんだけど」

「いえ、私がお風呂で溺れそうになったのが悪かったので」


 それを聞くと美羽は女神の手を引き寄せて、アミを自分の近くに連れてくる。


「もう。今のは怒ってもいいんだよ」


 そう言いながら、優しくアミの頭を撫でた。

アミは目を細めて、犬の尻尾をお湯の中でブンブン振って水面を揺らしていた。


(ふふふ、かわいいな〜)


「ミウちゃん、私も入っていいかしら?」


 シアが裸で少し寒そうにして待っていた。


「ごめんねシアちゃん。風邪ひいちゃうから早く入って」


 そういうと、シアはまっすぐ歩いてきて、トプンっと音をたてお湯に入った。


「まあ、とても温かいわ。気持ちいい」

「でしょー」


 体が温まったら、今度はきんちゃんが泡と水流をおこして頭と体と顔を洗ってくれた。


 アミはお風呂を出た後、温風で乾かしてもらい、べったりしていた髪やしっぽもふわふわになり、とても可愛い犬獣人になった。


「うわぁ、アミ可愛いね」

「そ、そうですか」


 アミは頬を染めてもじもじとするが、尻尾は激しく揺れていた。


(うふふ、気持ちがダダ漏れ)


 シアがアミを抱きしめる。


「よかったわ。本来のアミの姿に戻ったわね」

「うん!」


 すると、美羽が目をキラキラさせて、アミに聞いてくる。


「ねえ、アミ。尻尾に触ってもいい?」

「え、その。くすぐったいんですけど、ミウ様ならいいですよ」

「ホント? やったぁ」


 美羽が尻尾を撫でたり、顔ですりすりしたりする。

美羽からは桜色の神気が染み出して、二人を柔らかく包んだ。


「ファ〜、気持ちいい〜」

「ミウ様、くすぐったいです〜」


 アミはそう言いながらも美羽にされるがままになっていた。

そんな二人をシアは微笑ましく眺めていた。


「うふふ、アミったら。普段あんなことをさせないのに、身を委ねるどころか幸せそうな顔して。

私も、ミウちゃんにやってもらおうかしら。羨ましくなってきちゃった」


 そう呟いたシアだった。




「よし、それじゃあ、そろそろ行こうか」

「分かったわ」

「はい!」


 美羽はいつものワンピース姿だが、シアとアミは昼間に買った冒険者の服に身を包んでいた。


「ごめんね。二人には残ってもらおうとも思ったんだけど、私だけが行っても分かりにくいから、やっぱりきて欲しいんだ」

「捕まっているのは私の仲間よ。いくのは当たり前よ。ミウちゃん」

「ミウ様だけ危険な目に遭わせて自分だけ待っていることはできません」


 アミは、犬獣人らしく美羽に忠実になり始めていた。


「ありがとう。シアちゃん、アミ。それじゃ」


 ぐぅぅぅぅ。

腹の虫の音が聞こえてきた。

美羽とシアがアミを見る。

アミは真っ赤な顔をしている。


「申し訳ありません! ミウ様、気にしないでください」


 ぐぅぅぅぅ。

今度はアミ以外からなった。

美羽だった。


「えへへ、私もお腹すいちゃった。ご飯食べてから行こうね」


 美羽が恥ずかしそうに言った。


「うふふ、そうね。ご飯食べましょうね」


 シアがまとめるのだった。


(ミウ様。私が恥ずかしくないようにご自分のお腹を鳴らして。嬉しい。

ミウ様のために何かしたい)


 美羽のお腹がなったのは、アミにつられてなっただけなのだが、アミの忠誠心は人知れずさらに上がったのだった。


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