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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第4章 帝都編2

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第55話 神具リリと神具ルル

 カフィの求婚事件から2週間。


 美羽は毎日を忙しく過ごしていた。

午前中は市場の治癒院にいき、日々増えていく患者を手早く治癒し、市場の人々と交流をしたり、歌を歌ったりして過ごす。

時には城に行き、クララとお茶(我慢して飲み続けたら、最近飲めるようになってきた)をして、近衛騎士団長クラークと模擬戦(まだ一度も当てたことがない)を行い、クララにエルネストとの遭遇を防いでもらったりしていた。


 最近では毎晩のようにテレフォンでクララ(レーチェルだけしか持っていないことを知り、拗ねてしまったクララに慌てて作った。)とレーチェルの3人で話をしていた。


 レーチェルは毎日のように市場に顔を出す。クララもレーチェルほどではないが、頻繁にやってくる。

そのおかげで、3人揃って容姿が整っているところから、『セセララビの3妖精』などと言われている。

3人ともそう言われることを喜んでいる。一緒なのがいいのだ。


 リリとルルは見事に騎士学校の入学試験に合格した。

その報告に美羽に会いにきていた。

毎日訓練に時間を費やしているようで、久しぶりに会う二人は逞しくなっているような気がした。


「それにしても、二人揃って合格なんて、すごいねぇ」

「ミウ様のおかげです。もっとも剣術は最下位を二人で独占して、学科も下から数えた方が早かったのですが」

「ううん、他の人は騎士になるために準備していたんだもん。二人は2週間前は騎士になることも考えてなかったでしょ。

それが合格できたのはすごいことだよ」

「ありがとうございます。美羽様」

「ん? リリ、少し変わった? 喋り方とか、雰囲気も」

「ミウ様、お姉ちゃん、ミウ様の騎士になるからには言葉遣いも態度も騎士のようにならなければって、一生懸命変えようとしているの」

「こら、ルル。余計なことを言うな」

「へぇ、そうなんだ。でもそれで変わるってことは、もともとそう言う素質があったのかな?」

「ミウ様にそう言っていただけるのは、何よりの褒美です」

「ふふふ、リリ頑張ってるんだね。ルルもね。嬉しいよ」

「「はい、ありがとうございます」」

「それでは〜。そんな二人にプレゼントがありまーす」

「「プレゼント?」」


 二人は首を傾げて、お互いの顔を見る。

美羽は、きんちゃんに出してもらった小箱を二人に渡す。


「これでーす。開けてみてー」


 リリとルルが蓋を開けると、そこにあったのはお互いの名前にちなんだ花のネックレスだった。


「これは、リリの花」

「わぁ、ルルの花」


 二人が箱を開けて驚いていると、美羽がにっこりと笑う。


「そうでーす、二人に合わせた花にしたんだよー」


「美しいです。美羽様」

「すごく可愛い。嬉しい」


 そう言われると、美羽は二人に追加で説明した。


「それはねぇ、私が神気を込めたんだよ」

「!? 神気を!」

「ミウ様の!」

「うん、だから効果があってね。リリには全身強化と耐久力強化に腕力強化で、ルルの方には全身強化にスピードアップと視聴覚力アップがついているんだよ」


 リリとルルが驚いて口を開けている。

美羽はそんな二人を見て笑い出す。


「あはは、二人とも面白い顔だよぉ」

「あ、あの、これは高価な魔道具っていうことでしょうか?」

「ん? 神気を込めてるから神具だよ。神具リリに神具ルルだね」

「し、神具……そ、そんな高価なもの、いただけません」

「そうです、美羽様。そんな高いもの私たちじゃあ返せません」


 二人が必死でいうが、美羽は笑顔を崩さずに言う。


「うふふ、二人には頑張ってもらいたいからさ。これから騎士になって私のことを守ってくれるんでしょ。

それなら、私だって何かお手伝いくらいしたいよ。

これだったら、二人の力になって、立派な騎士になるのを助けてくれるよ。

それに……」


 美羽は、一度言葉をきってから言う。


「私は神気を込めただけで、あまり大変じゃなかったからね」


 ニイっと二人に微笑みかける。

それを見て、リリとルルは観念したように言う。


「ミウ様、そこまで言っていただけるのでしたら、ありがたく受け取らせていただきます」

「私も、ありがとうございます。ミウ様」

「うん! どういたしまして」


 美羽は満面の笑みで答えた。

その可憐な笑顔を見て、リリとルルは自然に笑顔になった。


((受け取ってよかった))


 「使い方なんだけど、これは神具だけど、魔力に反応するようになってるから。

魔力を流すと、それぞれの効果が出るからね。

馴染めば馴染むほど力を発揮していくから、肌身離さずに身につけておいて、いつも使ってね。

早速今からやってみて。

魔力はお臍の下あたりを意識したら出てくるから、そこからペンダントに流れ込んでいくイメージね」

「「はい!」」


 早速二人は試してみるが、まだ魔力を扱ったことがない二人にはわからない。


「「わかりません」」


 二人は悔しそうに言う。


「最初はそんなものだよ。そんな顔しないで」


 落ち込んだ二人はそう言われただけで元気になる。


「大丈夫です」

「これからですよ」

「うん! その意気だよ。そうだ、きんちゃん。二人の魔力を操って、ペンダントに持っていくことってできる?」

「はい、できますよ。……はい、これでもうペンダントに魔力が集まっています」


 きんちゃんが言うと、二人のペンダントがうっすら桜色に光った。


「おお、なんだかゾワゾワします」

「体の中で何かが動いています〜」


 二人とも魔力の流れを体感することができた。

きんちゃんが重ねて言う。


「ちなみにこれを魔力循環と言います。

二人ともこの感覚をよく覚えておいてください」


「すごい、力が湧いてくるようだ」

「え、すごい。遠くのものがはっきり見えるよ」


 二人の様子を見ると、美羽が満足そうに頷いた。


「うん、二人の魔力は、今はきんちゃんが循環させているけど、自分でできるようになってね。

ペンダントに流すくらいなら、すぐにできるはずだから。

ペンダントに完全に馴染んでから強く魔力を流せば、すごい力を発揮するよ」


「ありがとうございます。美羽様 きんちゃん様。必ずお役に立てるようになります」

「ありがとう。二人とも。私も役に立てるように頑張りますね」


 それを聞いて、美羽ときんちゃんは目を見合わせて微笑んだ。


 それから、二人はペンダントに魔力を流す練習をすると言って帰っていった。




 美羽達のいる帝都からは遠く離れた某所。


体の大きな捻れたツノを持つ男が、細身だが油断のない顔つきをしたローブの男に確認をとる。


「帝都セセララビの転移ゲートはどれくらい仕掛け終わっている?」

「8割がた終わっていると報告を受けております」

「そうか、隠蔽はできているのか?」

「はい、外観どころか、魔力まで隠蔽は完璧です。

人間どもに気づかれた様子はありません」

「そうか、強襲する魔物の準備はどうだ?」

「抜かりなく。D級からA級の魔物まで揃えています」

「あとはタイミングだな」

「タイミングの件で、ちょっとお耳に入れたいことが」

「なんだ、言ってみろ」

「はい、実は勇者召喚がトレハミア王国で行われまして」

「ん? マーヴィカンには関係ないのか?」

「いえ、それがトレハミアは勇者召喚の実績が欲しかっただけで、勇者自体には大した興味もなくて、マーヴィカンに譲り渡すと言うことなのだそうです」

「ほう」

「勇者といえば、人類の希望。陛下の宿敵でもあります。それを女神側の者も含めて、帝都でまとめて消せたらどうでしょうか?」

「ふむ。人間に大打撃を与えられるな」

「その通りでございます」

「すると、実行するのは勇者の到着後ということか」

「それがよろしいかと」


 大きな人型の者は立ち上がり、窓の外を見る。


「これは楽しみだ。人間どもの支えと言える勇者と女神側の者を失った時の顔を見るのがな。そして、その顔のまま帝都がなくなるのだ」

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