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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第2章 辺境編

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第18話 名前はいらない

 冒険者ギルドに戻ると、すでにスウリと10人の冒険者が集まっていた。


「お、美羽ちゃん、きたね。そこに座って。それでは、全員揃ったから、説明を始める」

 言われた通りに席によじ登って座ると、スウリがニコニコして見ていた。


「なぁに?」

(一生懸命に椅子に登る姿、かわいいなぁ)


 首を傾げて聞くが、スウリはにこやかに笑っているだけだった。


 スウリは冒険者に見られているのに気がついて、咳払いをしてから話し始めた。

 10人の冒険者はスウリの話に耳を傾ける。


「前に話した通り、今回はゴブリンの巣の調査と残党狩りだ。

調査隊を派遣したところ、ホブゴブリンが2匹とゴブリンが10匹程度のようだ。

しかし、巣が洞窟になっているために、中の様子はわからない。


もっといる可能性があるために念の為この人数での行動になっている。

ゴブリンの巣はここから馬車で30分、それから歩いて1時間半ほどの場所にある。

かなり近いところなのに、誰も気づかないうちに巣ができていたことが異常事態だ。

そのことについても調査しなければならない」


 皆が頷いている中、不満を漏らすものがいた。

筋骨隆々のスキンヘッドの大男だった。


「でもよ、スウリさん。この人数が必要なのはいいが、どう見てもこの場にふさわしくない奴がいないか?」


 大男がそういうと、全員が一斉に美羽の方を見た。

皆がそれぞれ疑問を口にする。


「だよなぁ。あの子供はなんなんだ」

「お遊びかよ」

「子供のお守りなんか冗談じゃねえぜ」

「あの子可愛い」

「おいおい、可愛いからってつれてはいけねえだろう」

 

 主に昨日のゴブリン襲撃の時に、美羽の活躍を見ていなかったものが不満を言った。


「待て、みんな。今回美羽ちゃんは治癒のために来てくれることになっている。

彼女の治癒の腕は一級品だ。それは私も確認している。

それに万一襲われた時は自分を防衛する能力も持っている。

なんと言っても、昨日ゴブリンを一掃したのは美羽ちゃんだからな」


 すると、スキンヘッドの男はさらに言い募る。


「その子供が強いなんてことないだろう。スウリさんは幻でも見たんじゃないか?」


 そう言うと、冒険者たちは失笑したり、「確かに」と納得したりしている。

昨日の美羽を見ている冒険者はスウリの意見に納得しているが、それ以外は全く納得していない。


 当の美羽は、不満を聞くと椅子の上に立ち上がった。


「みんなが帰って欲しいなら、帰るよ。別にそんなにいきたく無かったし。

でも、私のきんちゃんは、そこのハゲ親父よりかは強いけどね」


 美羽は依頼なんか受けなくてもいいと思っているので、帰ろうかと思ったが、きんちゃんを馬鹿にされているような気がしたので、余計な一言を言っておいた。


 それに怒ったのはもちろんハゲ……ではなく、スキンヘッドの男。


「おい、ちょっと待てや、ガキ!」


 しかし、美羽はまるで聞こえていないようで、椅子をうんしょと降りて、ドアに向かって行く。

ドアを開けようとしたところ、ドアを抑えられる。


「待てって言ってんだゴラァ」


 スキンヘッドの大男は、ドアを抑えながら、美羽に向かって顔を近づけ、大声で怒鳴った。

美羽は大人の怒鳴り声が怖い。父の賢治に赤ちゃんの頃から怒鳴られ続けてきたからだ。


「ヒッ!」


 美羽が悲鳴を漏らすと、それを見たスキンヘッドはニヤリと笑う。

ますます脅し始める。


「オウ! その魚が俺よりも強いっつーのはどういうこった。

いい加減なことならてめー、ガキでもぶっ殺す……ぞぎゃあああ」


 周りの人間が気づいた時にはスキンヘッドの全身に針が刺さっていた。

きんちゃんが美羽とスキンヘッドの間に入り、体半分、スキンヘッド側に針を生やしていたのだ。


「きんちゃん、ありがとう」

「当たり前のことです。大丈夫ですか?」

「うん、怖かったけど、きんちゃんが守ってくれたから」


 そうしている間にも、スキンヘッドは血を吹き出しながら、転げ回っている。

それを一瞥しながら、美羽はきんちゃんに言う。


「帰ろうか」

「はい」

「ちょっと待って! 美羽ちゃん」

「なに?」

「帰らないで欲しいんだ」

「でも、皆嫌そうだから」

「みんな、今のでわかったと思うから」


 そして、スウリはみんなの方を向き、


「なあ、まだ文句がある奴はいるのか?」


 皆が一斉にブルブル首を振った。


「な、美羽ちゃん。もう文句を言う奴はいないから、お願いできないかな?」

「うーん、分かった」

「それと、その男の治癒もお願いできないか?」

「なんで?」

「大切な戦力だし、元々ギルド内では戦闘禁止なんだよ。美羽ちゃんが治してくれたら、丸く収まるだろうし」

「喧嘩売られるようなギルドにいたくなんかないよ」

「そうです。美羽様に相応しいギルドとは言えません。むしろ美羽様にとって、敵です」

「そう言わないでくれよ。美羽ちゃんもきんちゃんも。今回のことは私から謝るから。

もう2度とこんなことはないと約束するよ」

「うーん、それなら……まあいいか」

 

 美羽はそう言うと、スキンヘッドに向き直り、手をかざす。

すると桜色の光が漏れ、桜の花びらが散る。

その光景に部屋にいるものみんなが見惚れている。


 そして、スキンヘッドの傷跡は跡形もなく消え去った。

荒い息をしているスキンヘッドに美羽は見下ろしながら言う。


「まだ、文句あるの?」

「ゼハァー、ゼハァー。い、いや、何も文句ない。すまなかった、嬢ちゃん。

俺の名前は……」

「名前はいらない。覚える気ないから。怒鳴る人と仲良くしない」


 そう言うと、美羽は頬を膨らませ、プンッとそっぽを向いた。

それを見た、冒険者たちは逆にほっこりした。


「やっぱりかわいー。天使様」


 2人いる女性、ユミィとコニーは美羽の可愛さにメロメロになった。


 バツの悪いスキンヘッドを置いておいて、スウリは話を続けた。


「話は以上だ。準備して3時間後に出発し、今日は野営地に一泊。明日の朝早くから調査を始める。解散」



 美羽は代官邸に戻り、ジョディたちにゴブリンの調査に出ることを伝え、もし戻ってくるのが2日後に間に合わなければ、先に行くように伝えた。


 すると、ジョディもレーチェルもカフィも待っていると言ったので、出発は美羽待ちとなった。

その際、モーガンの都合は誰も聞かなかった……。






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