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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第2章 辺境編

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第19話 走りながら

 美羽を含めた冒険者一行12名は、森の中を進んでいた。


 馬車で30分ほど移動したのち、森の入り口から徒歩になった。

歩き始めてすぐに美羽は気がついた。


(私の足の長さじゃあ、走らないと着いていけないよ。でも走るとすぐに疲れちゃうなぁ)


 しかし、おいて行かれてしまうし、このままでは馬鹿にされてしまう。

仕方なく走ることにした。


 トトト、と、走ることで,先頭に出ていく。

しかし、冒険者に嗜められる。


「おーい、それじゃあもたないぞー」

「無理しないでいいぞ」

「美羽ちゃん、私が抱っこして歩こうか」

「ああ、走っているところも可愛い」


 違う声も混じっていたが、概ね美羽を心配していた。

でも、美羽も冒険者になったのだ。

最初から人に頼るわけには行かない。


「大丈夫だよー」

(でも、すぐに疲れちゃうなぁ。どうしよう。疲れるのも治せればいいのに……あ、そうか)


 美羽は走りながら、集中して自分に治癒を発動してみた。

今朝の結界を張る訓練と通じていて、移動しながらもスムーズに発動するようだ。

桜色に光り、花びらが散る。

美羽の体が光に包まれ、すぐに疲れがなくなった。


「おお、きんちゃん疲れがなくなったよ」

「美羽様すごいです。これならずっと走っていられますね」

「うん!」

「治癒の強さを弱くして、少しずつ回復し続けるように調整するといいでしょう」

「分かった。こうかな?」


 美羽はきんちゃんに言われたように、治癒の量を減らして、減った体力を補うような形にした。


「そうですね。これを続けていれば、疲れが回復しながら美羽様の体力も増えますので、一石二鳥ですよ」

「本当? やった」


 美羽が通った後には、桜の花びらが舞った。


「わぁ、綺麗ね」

「美羽ちゃん素敵!」


 女性陣には喜ばれたが、花びらは見た目だけではなかった。


「お、この花びらに触れると、疲れが取れるぞ」

「本当だ。体が軽くなる」

「おお、これならもっと早く歩いても大丈夫そうだ」


 花びらが全員の体力を回復するので、何もなくても1時間半くらいかかるところを1時間ほどで歩き切ってしまった。

途中、モンスターに遭遇したが問題なく進んだ。

普通モンスターに遭遇したら、もっと時間がかかるものだが、先頭を走る美羽についているきんちゃんが、遭遇するそばから、モンスターを倒してしまったので、時間は余計に早くなったのだ。


 野営地について、スウリが口をひらく。


「美羽ちゃんのおかげで、早く着くことができた。

ここで、少し早いが野営をしたいと思う。

斥候職の2人はゴブリンの集落の様子を見てきてくれ。

他のものは分担して、野営の準備だ」


 それぞれ、作業に取り掛かる。

美羽はやることがないので、スウリに声をかける。


「スウリちゃん、私は何をすればいい?」

「うーん、じゃあ、薪をひろってきてくれないかな?

きんちゃんがいるから大丈夫だと思うけど、くれぐれもモンスターに気をつけてね」

「うん! 分かった! いこ、きんちゃん」

「はい」

「あ、その前に。スウリちゃん、結界はっておいた方がいい?」

「ああ、できるなら助かるんだけど。寝ている間も消えないの?」

「うん、私の神気が無くならない限りずっと消えないよ」

「え? 神気なの? それじゃあ、さっきの花びらも神気?」

「そうだよ。じゃあ、作っておくね」


 そう言うと、美羽は両手を広げる。すると、一瞬で淡い桜色の結界が野営地全体を覆った。

控えめに花びらがヒラヒラ落ちてきていた。

 

 美羽は、今朝の動きながら発動する練習で、歩いているときはまだできていないが、止まっている時は、かなりスムーズになり、一瞬で発動できるようになっていた。


 美羽がさった後、スウリがポツリとつぶやく。


「これも神気……美羽ちゃんって、いったい何者なんだろう」


 美羽は薪を集めていた。

しかし、美羽の小さな体ではあまり持つことができない。


「美羽様、私が収納しますよ」


 きんちゃんが言うが、美羽は少し考える。


「私が気軽に運びたいなぁ。大きな手があればいいのに。あ、神気で作れるかな。

神気の練習にもなるから作ってみよう」


 美羽は背中から生える大きな神気の手が出てくるイメージをした。

最初は何も起きなかったが、何回か試しているうちにイメージがはっきりとしてきた。

もう一度試してみると、今度は桜色の大きな手が生えてきた。


「おお、すごいよ、きんちゃん」

「はい、見事です。美羽様」


 美羽は倒木を持ち上げてみた。

なんの力も入れないで持ち上げることができた。


「おお、これなら、戦いにも使えるね、きんちゃん」

「はい、十分戦えると思いますよ」

「よし、これをゴブリンと戦う時に使ってみよう。これは……『女神の手』って名前にする」

「いい名前ですね。女神様もお喜びになるでしょう」

「フィーナちゃん喜ぶかな!」

「ええ、もちろんお喜びになりますよ。」

「えへへ、早く見せたいなぁ」


 その後、大量の枝などを女神の手で運んでいる美羽を見て、冒険者たちは呆気に取られていた。


 見張りは美羽の結界があるために本来は必要ないが、念のために1人ずつ順番で見張りにつくことになった。

結界を張っている上に5歳の美羽は当然免除された。


 寝る時になって、スウリがもじもじして言ってきた。


「美羽ちゃん、一緒に寝よう」

「うん! いいよ」

「本当に?」

「うん、嬉しいよ」

「うふふ、美羽ちゃんと一緒」


 スウリは美羽に見えないように顔を隠しながら、だらしない顔でニヤニヤしている。

そこにユミィとコニーがやってきて、


「スウリさん、ずるいです。私も美羽ちゃんと寝たいです」

「私もです」

「む、お前らはダメだ。何か起きた時すぐに動けるようにしてくれ」

「「やっぱりずるい」」


 すると、美羽が不思議そうな顔をしながら首を傾げて言った。


「みんなで寝ればいいんじゃない?」

「「美羽ちゃーん」」


 ユミィとコニーは美羽に抱きついてきた。

頬擦りをされ、抱きしめられ、もみくちゃにされる。


「きゃあー」


 やられている美羽は嬉しそうだ。

それがわかるからユミィとコニーも調子に乗ってもっとやる。

美羽がキャアキャアと声を上げる。


「あ、お前ら、美羽ちゃんから離れろ!」

「いやですー」

「ああん、美羽ちゃーん」

「きゃはは」


 美羽たちは楽しそうに笑って戯れる。

それを遠巻きで男たちが羨ましそうに眺めていた。

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