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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第2章 辺境編

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第17話 レスフィーナ像

 教会に来た美羽。

 中に入っていくと高い天井に長椅子が並んでいて、その奥、中央に女神像らしきものがある。

いかつい顔をしている女性の像だ。


「きんちゃん、あれがフィーナちゃんかなぁ」

「そうだと思います」


 美羽はあまり似ていないレスフィーナ像に顔を顰める。


「……フィーナちゃんはもっと可愛いよ」

「女神様を見ている人は滅多にいないですからね。想像で作っているのでしょう」


 きんちゃんと話していると、声をかけられた。


「お嬢ちゃんは教会になんの御用かしら?」


 振り返るとシスターがいた。

シスターはにこやかな顔をしている。


「フィーナちゃんにお祈りに来たの」

「フィーナちゃん?」

「うん、レスフィーナちゃん」

「女神レスフィーナ様のことかな? 女神様のことをそんな呼び方してはいけませんよ」

「でも、いいって言われたよ」

「そうなのね」


 シスターは、フィーナちゃんと言ったことを嗜めたが、首をかしげる美羽に、子供のことだからとそれ以上強くは言わなかった。

これが大きな街の教会だったら、問題になったかもしれない。


「じゃあ、お祈りするね」

「ええ、いいわよ」

「えと、どうやってお祈りすればいいの?」

「知らないのね。私の真似をすればいいわ」

「うん、ありがとう」


 シスターが跪き、両手を合わせて目を瞑った。

美羽もそれを真似する。


 祈り始めると、美羽の神気が発動して淡い桜色に輝き、花びらが散り始めた。

しばらくして、いつもと違う様子にシスターが目を開けると桜色に輝いている幻想的な光景に目を奪われる。


「あぁ、綺麗……。これはどう言うことでしょう。

女神様の神気は桜色って聞いたことがあるけど……」


 美羽の意識はすぐに深いところまで落ちた。


「……羽ちゃん」

「美羽ちゃん」

「フィーナちゃん?」

「うん! そうだよ美羽ちゃん」

「やったぁ。フィーナちゃんとお話しできてる……あれ、でもフィーナちゃん見えないよ」

「うん、まだ美羽ちゃんの神気が足りないから、声だけしか聞こえないの」

「そうなんだ。残念だなぁ。でも、声だけでも嬉しい」

「私も嬉しいよ」

「フィーナちゃん、昨日ね、色々あったんだよ」

「そうなの? 聞かせてくれる?」

「もちろんだよ。あ、そういえば、フィーナちゃん。なんで転移先がゴブリンに襲われてる街だったの?

また、天然入っちゃったんでしょ」

「あ、ひどーい。美羽ちゃん、そんなこと言うなんて」

「ごめんね。えへへ」

「早めに戦闘に慣れてもらいたかったの。簡単だったでしょ」

「えー、そうなの? でも、ゴブリンキングがいて、ママのお守りがなかったら危なかったよ」

「ええ! ゴブリンキング!? 大丈夫だったの?」

「うん、なんとか倒せたよ。それよりフィーナちゃん? その様子だと、ゴブリンキングとゴブリンクイーンのことは考えてなかったとか?」

「あ、はい。いるとは思わなかったです」

「もう、フィーナちゃん! 気をつけてよね」

「ごめーん、美羽ちゃん」

「だめ! 罰として今度会えたらいい子いい子してね」

「そんなぁ……って、私のご褒美じゃない、それ。」

「いいの。今度絶対やってね」

「うん! 絶対やる。早く神気強くしてね」

「うん」


 それから、美羽は昨日あったことをつぶさに話した。

神界にいた時間はどのくらいかわからないとはいえ、知り合ったばかりのフィーナとはずっと前から仲良しのように話が進んだ。


「もうそろそろ、時間だよ。美羽ちゃん」

「うん。もう終わりなのね」

「美羽ちゃん、しばらくは話すことができないと思う」

「ええ〜。なんでなの?」

「神気をそれだけ多く使うの。治癒とかには十分なくらい残ってるけど、それとは別なの」

「そうなんだ……ねえ、フィーナちゃん」

「何、美羽ちゃん?」

「えっと、ね。私たちお友達だけど、それよりもっと仲良いよね」

「うん、すごく仲良いよね。私たち」

「うん、だからね、親友って思って……いいかな」

「本当!? 嬉しい。私たち、もう親友だね」

「いいの?」

「うん!」

「やったぁ。フィーナちゃんと親友だ」

「よろしくね。親友の美羽ちゃん」

「よろしく。親友のフィーナちゃん」

「うふふ」

「えへへ」

「あ、もう切れちゃう。じゃあね、美羽ちゃ」


 そこで、美羽の意識は唐突に覚醒された。

あの、いかついフィーナ像の前に跪いている。


「はっ、フィーナちゃん……ああ、もう戻ったのかぁ」


 そこで、こちらをキラキラしている目で見ているシスターに気がついた。

シスターは何か言いたくて仕方ない顔をしている。

仕方ないので美羽から声をかけてみる。


「どうしたの?」

「あの、あなた様はもしかして、女神レスフィーナ様の御使い様ですか?」

「うん、そうだよ。フィーナちゃんは私の親友なの」

「し、親友……すごいです。」

「今もフィーナちゃんと話してたけど、私の神気が弱いみたいで、長く話すことはできなかったの」

「えっ、今話していたのですか?」

「うん。そうだよ。それじゃあ、行くね。」


 あっさりと、立ち去ろうとする美羽をシスターは慌てて引き止める。


「あ、お待ちください」

「なぁに?」

「レスフィーナ様はどんなお姿なんでしょうか? あの像のような感じですか?」

「ううん、フィーナちゃんはもっと綺麗だし、可愛いよ」

「そうなんですか……。私もお姿を拝見したいです」

「そっか。見たいんだぁ。うーん、あ、そうだ。ちょっと待って」

(私の神気の練習にもなるしね)


 そう言って、美羽は胸の前の手でボールを持つような格好になって、集中した。

すると、桜色の光が溢れ出す。

それは、シスターが今まで見たことがないような神々しさだった。

やがて光は手の間に収束して行く。

光が消えると、そこには綺麗な女性の像があった。

その像は色もついていて、髪の毛と目の色は桜色で、肌は白く、纏っている衣装も白いものを纏っていた。

シスターは驚いた。何もない空間から、現れたのだ。今作ったと考えて良いだろう。


「はい、これ」


 そう言って美羽が渡してきた。

シスターが受け取ると、美羽がにっこりと笑う。

シスターはその笑顔に見惚れてしまった。


「あ、あの、これなんですか?」

「フィーナちゃんの姿だよ。私に見せる姿は子供だけど、みんなに見せる姿は大人だから、大人のフィーナちゃんにしたの。」

「これがレスフィーナ様。なんと神々しくお美しいのでしょう」

「それ、あげるからね」

「え? まさか、いただけません」

「あげるよ。私が神気で作ったんだよ。また簡単に……ちょっと大変だけど作れるんだから」

「神気で作るなんて。ああ、なんという奇跡なんでしょう……。それでは、ありがたく頂戴します」

「うん。フィーナちゃんも喜ぶから、毎日お祈りしてあげてね。

それじゃあね」


 渡すだけ渡したら、美羽は去ろうとした。


「あ、お待ちください」

「ごめんね、ちょっと急いでるから」

「それでは、お名前だけでも」

「私は小桜美羽」

「私は、クレアと申します」

「クレア、よろしくね」

「はい、ミウ様。道中お気をつけください」


 クレアの言葉を背中に聞きながら、美羽は走り去っていった。


 後年、美羽はさまざまな教会にレスフィーナ像を置いてくることになる。

ただし、これ以降は物質を元に神気を注入して仕上げたもので、神気のみで具現化したものは、教会ではこの1体のみになる。


 御使い美羽が有名になると、レスフィーナ像が置いてある教会は新しい巡礼先として人気になった。

この教会は、神気のみで作られた貴重な神像が置いてある教会であることから、1番目の巡礼先として有名になる。


クレアには、さまざまな貴族や大富豪や教会本部の幹部クラスがレスフィーナ像を譲ってくれと尋ねてきたのだが、そのたびに断っていた。

 

その、毅然とした態度によりシスタークレアは有名になった。

後日、なぜ譲らないのか聞かれた時にこう答えている。


「御使いミウ様が私に下賜していただいたものなのだから、神像は私が守り抜くわ。

あの神像は祈れば祈るほど私に力をくださるの。

お金の問題ではないわ」


 美羽が作ってまわったレスフィーナ像の横には、美羽によく似た美しい少女の像が置かれるようになったが、この教会だけは美しい幼女の像が置かれていた。


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