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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第5章 崩れた日常

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第158話 女神様の使い

 ヨシノが泣き止むまで頭を優しく撫でてあげていた美羽。

泣き止んだ様子のヨシノに話しかける。


「ヨシノ、改めて助けに来てくれてありがとうね。あのままだったら、私本当に死んでしまったと思うの」


 ヨシノが念話で返してくる。

 

『うん、ママを助けられてよかった。フィーナちゃんとママの様子を見ようとしていたけど、結界で見られなくなってて、それが急になくなったの。

フィーナちゃんが来ようとしたけど、邪神がきたすぐ後にフィーナちゃんが来たら、地上が耐えられなくて崩壊するから来られなかったんだよ』

「そっか、フィーナちゃん、来ようとしてくれてたんだね」

『うん、ここの様子が見られるようになったら、ママの神気がなくなっていて、魔力までなかったみたいだから、大急ぎでフィーナちゃんに行ってきてって言われたの。私でダメだったら、フィーナちゃんが追いかけるって言ってたよ』

「だって、フィーナちゃんがきたら地上が崩壊しちゃうんでしょ」

『フィーナちゃんは地上の崩壊とママを比べたら、ママを選ぶに決まってるじゃない。地上なんてどうでもいいわって言うに決まってるよ』

「あはは、フィーナちゃんらしいね。なんとかなってよかったよ。ヨシノありがとうね」

『えへへ、どういたしまして、ママ。きゃ』


 美羽がヨシノを持ち上げて高い高いをしながらぐるぐる回る。


「きゃーーーーーー」

「あはははは」


 またぎゅっと抱きしめると、ヨシノが念話を続ける。


『えへへへ、楽しいな。あ、そうだ、フィーナちゃんからの伝言だよ』

「え? 何?」

『神気を封印されたママは、これからはフィーナちゃんと気軽に話せなくなるって。

でも、いくつかは話す方法があるんだけど、一番確実なのはレスフィーナ神国の大聖堂に行くことだって。

そこなら、話すだけじゃなくて、会えるって言ってたよ。

他にも方法はあるけど、ママは神気が全くない状態だから、かなり難しいみたいなの』

「フィーナちゃんに会う方法があるのはよかったけど、……そっかぁ、フィーナちゃんになかなか会えないの寂しいなぁ」

『うん、フィーナちゃんも悲しんでたよ』

「私が弱いせいだね」

『何言ってるの、ママ。そんなの邪神が悪いに決まってるじゃない。私が今すぐぶっ殺しに行きたいよ』

「ヨ、ヨシノ……、物騒な言葉を使うようになったのね」

「きゃーーーーーーーー」


 ヨシノは念話をやめて叫び出した。


「もう、そうやって誤魔化したらダメだよ」

『えへへ、バレちゃった』


 ヨシノが屈託のない笑顔で笑う。

 

「もう、可愛いなぁ」


 美羽がヨシノに頬擦りをした。

ヨシノの肌はスベスベツルツルで気持ちいい。


『嬉しい、ママ!』

「うふふ」

『あ、それでね、レスフィーナ神国には、聖女がいるんだけど、フィーナちゃんが神託をしているの。

だから、よくしてもらえると思うよ』

「そっか、それじゃあ、そのうち行ってみるよ」

『うん、その時は私と遊んでね』

「あ……、そうだよね。ヨシノは戻らないとね」

『ごめんね、ママ。ママのために私が魔王を倒して、邪神も倒せればいいんだけど、そうはいかないの』

「いいよ。私に訪れた試練なんでしょ」

『分かってたの? ママ』

「うん、前に神界に行った時、言われた感じから、起こったことは私が自分で乗り越えないといけないのかなって思ったんだよ」

『うん、ママの運命を切り開くのはママでなくてはいけないの』

「今日来てくれたのは? 本当はよくないんじゃないの?」

『ママの運!』


 ヨシノが元気一杯に答える。

その悪びれなさに思わず笑顔が溢れる美羽。

 

「うふふ、ずいぶん都合がいいのね」

『ママが私を作ったんだもの。こういうこともあるよ』

「そっか、そうだね」


 ヨシノは、一度美羽の胸にぎゅっと抱きついた。

短い手で抱きしめてくるヨシノを名残惜しく感じるが、ヨシノもいつまでもこうしているわけには行かない。

そっと、ヨシノが離れる。そして、笑顔で念話で伝えてきた。


『それじゃあ、ママ。またね』

「うん、ヨシノも元気でね」

『ママ、大好きだよ』

「私も大好きだよ、ヨシノ」

『あ、えへへ、忘れてた。フィーナちゃんもママが大好きだって伝えてって言ってたよ』

「もう、遅いよ。でも私も大好きって伝えてね」

『うん!』


 ヨシノは体をくの字に曲げ、叫んだ。


「きゃーーーーーーーー」


 すると、ヨシノの前に空間の歪みができた。

神気ゲートである。


『じゃあね、ママ』

「じゃあね、ヨシノ。今日は本当にありがとう」

「きゃーーーーーーーー」


 ヨシノは手を振った後、叫びながらゲートに水泳の飛び込みのように突っ込んだ。

ゲートはヨシノを飲み込むと何事もなかったように消えた。


「行っちゃった」

「行っちゃったね」


 クララが横から話しかけてきた。


「待っててくれてありがとう、クララ」

「ううん。あの子、ミウちゃんそっくりですごく可愛かったね。眼福だったよ」

「それならいいけど。……クララ」


 クララは、美羽が言いたいことを察して、笑顔を作った。しかし、その笑顔は無理をしているのがわかるようで痛々しい。


「美羽ちゃん、謝ろうとしているでしょ。謝ることなんか美羽ちゃんには何もないよ。

美羽ちゃんは精一杯やってくれたの。それでいいじゃない」

「でも……」


 美羽が苦しそうな顔をする。

そんな美羽を見たくないクララはカッと頭に血がのぼる。


「でも、なんなの? じゃあ、美羽ちゃんを責めればいいの? 責められれば美羽ちゃんは罪悪感がなくなるの?

じゃあ、責めてあげる。


 なんで、もっと早くきてくれなかったの? 美羽ちゃんの力なら私たちみんな助けることもできたんでしょ。

それなのに、助けてくれないなんて、どうしてよ!


 お母さんを守るって約束したんでしょ。約束も守らないで何してたの?

オーガ退治? そんなことよりお母様の方が大事じゃないの?

お母様からあれだけ愛情を注いでもらっておきながら、よく見捨てることができたわね!」

「ちが」


 美羽が否定しようとする。


「違う? 何が違うの? ミウちゃんには力があったんでしょ。それは、オーガを倒すための力なの?

ミウちゃん、私はね、ミウちゃんは大切な人を守るためにその力を使う人だと思ってた。

でも、そうじゃなかったんだね。ミウちゃんは知らない人のために大切な人を切り捨てる人だったんだね」

「違うーーーーー!」


 美羽が大粒の涙を流しながら、否定する。


「なんで、そんなこと言うの! 酷いよ。私は、お母さんもウォーレンもノーラちゃんもセオドアもアメちゃんもシャルちゃんもそれにクララだって、みんな助けたかったよ」

「でも、誰も助けてないじゃない。みんな死んじゃったのよ! みんな! 誰のせいよ!」


 美羽が泣き顔のまま辛い顔をして、次の言葉を口にしようとする。


「そ、それは、わた」


 パシーーーーン。


 乾いた音がもはや壁もない謁見の間に鳴る。

クララが思い切り美羽の頬を叩いた音だった。


 顔を叩かれた美羽は勢いで思い切り横を向いた。


 頬を叩かれたことにひたすら驚いた。

クララに叩かれるなどと想いもよらなかった。


 クララが、さらに追い打ちをかける。

 

「どうしたのよ! やられっぱなしなの? そんな腰抜けだから、みんなを守れなかったのよ。

お母様はそんな腰抜けも守ろうとしていたのよ。あなたなんか愛さなきゃよかったのよ!

いや、お母様はあなたなんか愛していなかったのよ」


 パシーーーーン。


 今度は美羽がカッとして、クララの頬を叩いた。


「クララのバカーーーー」


 パシーーーーン。


 反対側の頬も叩く。


「お母さんは私のことを愛してくれたもん! 私だって、お母さんのこと愛してたもん!

だから、助けたかったもん!」 


 パシーーーーン。


 もう一度、クララの頬を叩く。


「本当に助けたくても、間に合わなかったんだもん」


 パシ!

 

 さらにもう一度クララの頬を叩こうとして、クララがその手を受け止める。

そしてクララが腫れた顔で優しく微笑んで言う。


「知ってるよ」

「え?」

「ミウちゃんが、お母様を愛していたことも、みんなを守ろうとしていたことも、でも間に合わなかっただけってことも、

もちろん、お母様がミウちゃんを心から愛していたこともね」

「クララ……」


 クララが美羽を抱きしめる。


「ごめんね。分かっててあんなこと言ったんだ。ミウちゃんが自分を責めてるみたいだったから」

「うん、グス、分かってる。分かってるよ〜」


 美羽はわんわんと泣いた。

クララも思い切り泣いた。

 二人でしっかりと抱き合って。


 謁見の間には、二人の慟哭がしばらく鳴り響いた。

やがて泣きやんでも、二人は抱き合ったままだった。


 落ち着いた二人は赤い目で見つめ合いながら、照れ臭そうに笑った。


「ミウちゃん、さっきは本当に酷いこと言ってごめんね」

「ううん、あれは私のために言ったんでしょ」

「うーん、最初はそのつもりだったけど、すぐに私の感情もぐちゃぐちゃになっちゃって、訳わからなくなって、思いついたこと言ったから、もしかしたら本心も混じってたかもしれないの」

「そうだとしても、いいよ。吐き出してくれたんだから。私も言われて本当に気持ちが楽になったの。あ、でも私、クララのこと思い切り叩いちゃった」

「あれは、私が先に叩いたんだもの。仕方ないわ」

「だって、私は3回も叩いちゃったよ。クララが止めなければ4回叩いてたよ」

「そうなのよ。流石に痛くて耐えられなくて、4回目は抑えさせてもらったの。止められてよかったよ。当たってたら、痛くて泣いたかも」

「うふふ、ごめんね、クララ」

「ミウちゃんだから、いいよ」

「じゃあ、おあいこだね」

「叩いた数はおあいこじゃないけど、いいよ」

「「うふふふ」」


 二人で並んで座った。

見晴らしのよくなった謁見の間から、ちょうど夕陽が見えている。


 魔人や魔将の死骸が転がる謁見の間だが、今だけは美しい夕陽が二人の顔を照らす。


「ねえ、ミウちゃん。お母様からミウちゃんに言付けを預かってるの」

「え、そうなの?」

「言うね。『ミウちゃんと血のつながりはないけど、本当の親子だと思っているわ。本当に愛してるわよ。ミウちゃんには楽しく生きて欲しいのよ。だから、必ず生き延びてね』」

「私も愛してるって言いたかったよ。ただいまって言いたかった。この世界に来てよかったって伝えたかった」


 美羽がまた涙をこぼすのをみると、座ったままクララが美羽を抱きしめる。


「お母様がミウちゃんのこと抱きしめてあげられなくて、残念がっていたから、私が代わりに抱きしめるね」

「うん、ありがとう、クララ」


 しばらく、抱きしめたクララはそっと美羽を話すとポケットに手を突っ込んで何かをとった。

 

「それとね、これをミウちゃんにって」


 それはイザベルのローズクォーツの指輪だった。


「これは、お母さんの……」

「ミウちゃんに持っていて欲しいんだって」

「クララじゃなくていいの?」

「私はこれがあるからね」


 クララが三日月のペンダントを出してみせながら微笑む。


「じゃあ、私がもらうね」


 美羽は左手の中指に通してみる。

すると、大人のサイズだった指輪がアジャストされて指にフィットした。


「わあ、ぴったりになった」

「あら、魔道具だったのね」

「なんだか嬉しい」

「なんで?」

「お母さん、私とのつながりのためにローズクォーツの指輪作ったでしょ。それが高価な魔道具で作ったのなら、本当に私を大切に思ってくれてたんだなって」

「うん、絶対そうだよ。だから、もう一つの言付けも守ってね?」

「もう一つあるの?」

「うん、一番最後の言葉だよ」

「そっか、じゃあ聞かせて」

「うん。『私たちが死んだからって、明るさは無くさないで。明るく笑って生きてね』」


 それを聞いて、美羽は涙を流しながら、花が開いたような笑顔を作った。


「うん! ありがとう」


 美羽は、その言葉に救われた。もう、明るく生きるなどできないと思っていた。

しかし、その言葉によって、自らの縛めが解けた気がした。


「前を向いて、明るく楽しく笑って生きるね」

「うん、それでこそ、ミウちゃんだよ」

「でも、たまに泣くこともあるかもだけど」

「うふふ、ミウちゃんは泣き虫だからね。たまにじゃなくていつもだと思うよ」

「ああー、クララの意地悪」


 美羽が頬を膨らませ、口を尖らせる。

その頬をクララが指でつっつきながら言った。

 

「うふふ、そう言う時は私が抱きしめてあげるね」

「うん!」


 美羽は本当は怒ってなかったので、すぐに笑顔になった。


 そこへ、ガチャガチャと音を立てて、近づいてくるものがあった。

門の周辺に集まっていた騎士たちだろう。


 騎士たちが謁見の間に入ってくると、そこからライトブラウンの毛玉が飛び出してきた。

毛玉は叫んでいた。


「おねーーーーーーーーーーーさまーーーーーーーーーーーー」


 毛玉は信じられない速度で、ミウのお腹に突き刺さった。


「ウゲェ」


 美羽が全然可愛くない声を出して、後ろに倒れる。

毛玉は美羽のお腹にしがみついていた。


 毛玉はレーチェルだった。

 

「レ、レーチェル〜、し、身体強化でお腹に突っ込んでくるのはやめて。ほ、ほんとに死んじゃう」

「ふえ〜ん、おねえさま、いきていてよかったですわーーー。しんじゃうかとしんぱいでしたわーーーー」


 レーチェルに文句を言っていた美羽だったが、レーチェルの様子を見て、倒れたまま頭を撫でた。

 

「心配させてごめんね。私は大丈夫だから」

「ぐす、でも、おねえさま、かみのいろがかわってしまっておかわいそうですわー」

「そう? 私、この髪を鏡で見てないけど、おかしいかな?」


 すると、レーチェルが顔を上げて、美羽を見つめる。

そして、顔を赤くさせて言った。


「さくらいろもすごくすてきでしたけど、ぎんいろのかみとひとみもすごくいいですわ。どっちのおねえさまもすきですわ」

「本当に? 嬉しいよ。レーチェル。ありがとう」

「どういたしましてですわ」


 そこに、騎士見習いのリリとルル姉妹が入ってきた。

普通では騎士見習い程度では、謁見の間まで入ってこれないが、場内は手薄の上に混乱しているので、すんなり入ってこれた。


「ミウ様〜、無事でよかったです〜」

「ミウ様、大丈夫でしょうか?」


 ルルが美羽の手をとりないているのに対して、リリは胸に手を当てて、騎士の礼をする。


「あ、リリとルル。心配で来てくれたの?」

「ハッ、我々姉妹はミウ様の剣であり盾ですので」

「その割に来るのが遅くなって、お役に立てなくてごめんなさい」


 リリとルルは思い立ってから、全力で来たのだが、皇城から離れた場所にいたためになかなか来れなかった。


「すごい汗だね。二人とも一生懸命に来てくれたのはわかるよ。ありがとうね」

「ハッ、ありがたきお言葉。次こそ、お役に立てるようにルルと共に精進いたします」

「次はバッチリ、ミウ様を守りますからね」

「頑張ってね二人とも」

「ハッ!」

「はい!」


 リリが言葉遣いを変えてしまったため、すっかり対照的な姉妹になってしまったが、二人の変わらぬ忠誠心が美羽には嬉しかった。




 ——————————————————————————————————————————————————


 きんちゃんとミレー含む女性たち一行は、奴隷として連れ攫われた仲間を助けるため、鉱山に向けて旅を続けていた。


 そんな中、ミレーがきんちゃんに声をかける。


「ねえ、きんちゃん」

「なんでしょう? ミレー様」

「あのね、美羽ちゃんは、こことは違う世界にいるんでしょ。いつかは会えるのかな?」

「時間はかかるかもしれませんが、なんとか世界を渡る方法を見つけ出したいと思っています」

「美羽ちゃんは5歳でしょ。地球にいた時と同じ年齢。でも、私は転生したのに、もう7歳。これってどういうことだと思う?」

「推測にしかなりませんが、あちらと時間のスピードが違うのか、それか、この世界の時間軸がずれてしまっているのかもしれません」

「時間軸?」

「要するに、ミレー様は亡くなった時に、7年くらい前の過去からやり直したと言う可能性です。それか、私が未来に来てしまったのかもしれませんが。どちらにしても観測者がいない以上、分かりようがありません」

「でも、どの可能性だとしても、美羽ちゃんには会いに行きましょうね」

「ええ、もちろんです」

「あと、もう一つなんだけど」

「なんでしょう?」

「美奈ちゃんがこの世界に来ているような気がして仕方ないの」

「美羽様の妹の美奈様ですか」

「そう。私が来てるし、美羽ちゃんも他の世界だけどきている。そうだとしたら、美奈ちゃんもきてると思うんだよね。少なくともそんな勘がするのよ」

「そうですか、それなら探さなきゃいけませんね」

「え? 私の勘なんか信じるの?」

「ええ、もちろん。美羽様も勘の鋭い方でした。外したことがありません。私がこの世界にいるのは、美羽様の勘を軽視してしまったからです。

もう、こんなことは2度と起こさないようにしなければなりません。

で、あるならば、美羽様の母であるミレー様の勘も信じるべきかと思うのです」

「そっか、そう思ってもらえるなら嬉しい」

「それでは、捕まった人を助けて開拓村にお連れしたら、美奈様を探す旅に出ますか?」

「そうしてもらえると嬉しいわ」

「ご両親はいらっしゃらないのですか?」

「両親はすでに亡くなって、私一人で住んでたのよ」

「そうですか。それなら大丈夫ですね」


 こうして、ミレーときんちゃんは美羽のいる世界に渡る方法を探す一方で、いるかどうかもわからない美奈を探すことも旅の目的に付け加えた。



 ——————————————————————————————————————————————————


 復興の最中、皇族たちの埋葬が済まされた。


 国葬は、帝都が落ち着いたのちに行うことになる。


 ただ、遺体はイザベルのものしかなかったため、棺には故人の愛用して本人の魔力が宿っているものなどを入れることになった。


 美羽は、イザベルと皇族たちの棺の前で誓った。


「イザベルお母さん、ウォーレン、ノーラちゃん、セオドア、アメちゃん、シャルちゃん、いつか必ず魔王を倒して、みんなの仇を討ちます。

その元凶の邪神も必ず倒します。だから、安らかに眠ってください。


 ……お母さん、見守っていてね。愛してるよ」


 全ての力を失った美羽は、この日から新しい目標に進みはじめる。

が、これが波乱の人生の幕開けであることは、まだ本人も気づいていなかった。


 美羽は青く晴れ渡った空を見て、つぶやく。


「フィーナちゃん、できるだけ早く会えるように頑張るからね。

だって、私は女神様の使いだから」


 秋の終わりの風が美羽の白いワンピースの裾をひらりと揺らした。

 


 了

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