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はじめてのしんじゅくだんじょんにそう

 不要となった薪や枯れ草はそのへんにポイして新宿第二層へと侵入。

「お、いるな」

「どこですか!?」


 食いつきいいなー、エリザベート。


「ほら、あっち。ちょっと茶色い斑のやつ」


 荒野フィールドのうさぎなので茶と白の斑模様の直立うさぎだ。


「ピーターくんだぁ!」


 壊れてるぞリザよ。

 いつものクールキャラはどうした。


「あんまり大声出すと逃げられるぞ」

「そ、そうでした」


 前回仙川二層でも逃げられたのがこの公式名称:エレクトラビット。通称:ピーターラビットだ。

 こいつは警戒心が強く、二足歩行してあたりを確認している。


「三方から取り囲んで、少しずつ包囲網を狭めていくんだ。焦ると逃げられるぞ」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「僕は右翼から行く。千紗は左翼な。リザは正面から。基本的に後ろにいるやつから距離を詰めていく。ほとんど真後ろじゃないとやつの視界に入るから慎重にな」

「らじゃー」

命令受諾(オーダー アクセプト)


 僕と千紗は大きく回ってやつの左右に。

 リザは動かず、やつの注意を引いている。

 見つかったからと言ってすぐには逃げない。

 まず敵の動向を確認して、危険だとわかってから脱兎のように逃げるのだ。

 一応アクティブ系で、攻撃しなくても近寄れば反応する。

 逃げられないと判断するまで攻撃してくることはないけどね。


「さてうまくいくかな?」


 僕は一足先にやつの真後ろに周り、少し接近。

 するとその音を聞きつけやつが振り向いた。

 僕は達磨さんが転んだのごとく動きを止める。

 すでに注意対象になっているリザにも注意を向けるため、振り向き方は中途半端で、ちょうど千紗のいる方角が死角になる。

 そこへ後ろに回った千紗が動く。

 その音を聞きつけまた見る方向を変える。

 今度はリザの方角が死角となり、リザが動く。

 それを繰り返して、とうとうやつの脱兎ラインを超えた。


「突っ込め!」


 いきなり走り出したうさぎに僕たちは一気に包囲網を狭め、逃げられないよう逃走経路を塞ぐ。

 やつは二足歩行なので足が遅い。

 俺は大きく足音を立てて、獲物をリザと千紗の方へと追いやる。


「きゃーっち!」


 執念の一撃。

 リザがやつをダイビングキャッチ。

 千紗もそれに覆いかぶさって、やつを押さえつける。

 完全にフォールの体勢だ。

 二人がかりだけどね!


「そのまま押さえてろ。蹴り足がけっこう強力だから、顔とか目に当てるなよ。逃げる時に顔を狙って蹴ってくるからな」


 金的と同様に目玉も素のDEFが低いしノックバックがあればそれなりに痛い。

 こいつはけっこう頭がいいから逃げるときの駄賃とばかりに顔や急所を狙ってくる。

 それでひるませれば逃げやすいと知っているのだ。

 一応ゴーグルは着けているが防御用の冒険者御用達じゃなく、しょせん防塵対策用だから防御力は紙と変わらない。


「問題ありません。絶対逃しませんから!!」

「おっ、おう。だけど気をつけろよー」


 その気合で、僕が逃げ腰になっちゃったよ。

 まあいざとなれば、僕が確保に加わってもいいけどね。

 逃がす時にちょっと面倒なだけで。

 ボス的存在じゃないのが触らないとどこまでもひっついてくるんだよね。


「お、大人しくなりました」

「もう大丈夫かな? おにいちゃん」


 うん、諦めたっぽいね。


「大丈夫そうだ。存分にもふれ」

「千紗ちゃん、一応確保しておいて! 今準備するから!」

「わかったー!」


 ピーターラビットを千紗に預けると、なぜかリザが自分の荷物を漁る。

 そして取り出したそれは。


「これでどこからどう見てもピーターくんです!」


 うんそうだね。

 デニムのジャケットを着たそれは色合いといい、正しくピーターラビットそのもの。


「導師よ! ちゃんと映像とってますよね!」

「おう、大丈夫だ」


 もう、教師たち一般には開放していないが、僕のPCにはきちんと録画されてるはずだ。


「でも念のため、携帯でも取っておいてください」

「わかったよ」


 懐から携帯を取り出し、二人がポーズを取ったところで写真をパシャリ。

 何枚か取ったあとはビデオモードにして、モフリまくっている二人+ピーターくんを動画に納める。

 ちょっと涙目になってないかピーターくん。

 男の子ならじっと我慢だ。

 男の子かどうかは確認してないけどな!

 男の子なら羨ましい行為だぞ! 僕だってモフられたい。

 なんで僕はもふもふじゃないんだ。もっと毛深かったら……正直引かれるな。

 うん、正気に戻った。

 もふもふと戯れる幼女は癒やされるよなー。正気を失うほどに。


 ぴろん!


 わかってたとも。

 今度はどこが上がった?


 僕はステータスボードを確認する。


 【すきる:めでる いち】


 よりにもよって新スキルかよ!

 しかも愛でるってスキルか? スキルなのか、ダンジョン的に!

 あいも変わらず謎スキルだな。

 効果すらわからん。

 まあ、レベルアップ条件はわかり易いがな!


「その服どうしたんだ? 子供用のでも買ってきたのか?」


 この間出たレアアイテムが意外に高く六千円になったから、一人二千円の収入。

 しょぼい。

 魔石は数が少ないし、スライム討伐数が少なすぎるのがバレる恐れもあるので換金していない。

 換金しても千円とかそんなもん?

 三人で割ったらワンコインにもならない。百円玉以下ならなるけどな!

 そんな小額換金してもしょうがないので、僕が局と同じ値段で買い取り二人に渡している。

 僕が得た魔石はサンプルとして学校側に提出したので、経費として請求した。

 そのお金があれば、まあ買えないこともない?

 いや、子供服って意外と高いんだっけ?

 子供がいないからよくわからん。


「ううん。マザーに作ってもらいました。既製服だと微妙にサイズが合わなさそうでしたので」

「確かに」


 体の大きさは小さい子供並みだけど、胴体の割に手足が短いからね。

 体は合っても袖が長すぎるだろう。

 リザママなら、この手のものは朝飯前か。ロリ専門とはいえ。


「ロリータも作ってくれました。ちょっと持っててください」


 再び、千紗にピーターくんを預け、リュックをゴソゴソ。

 迷惑顔のピーターくんがピーターちゃんになったw

 これはTSタグをつけるべき案件か?


「きゃー! かわいい!!」

「女の子のかっこうも素敵です」


 二人共大興奮だ。

 僕?

 僕は黙って二人と一匹の撮影ですよ。

 存分に愛でた結果めでたく【すきる:めでる に】になりましたとさ。

 女の子たちも無事? レベル五に。ついでに僕も。

 君たち二層で一匹もモンスター倒してませんよね!

 もふもふしてただけでレベルアップするとか、わけがわからないんですが。

 いや一番わけがわからないのは僕の職業とスキルだよ。

 モンスターに触ってもいないぞ。

 女の子達を見守ってただけ、愛でていただけ。

 そういうスキルなんだろうけどさ!


 これらのスキル効果としては経験値増加や、僕が得た経験値の再分配系がありそうだね。

 女の子たちにだけど!

 僕のステータス絶対彼女たちに吸われてるよ!

 平均の半分くらいしかないんだぜ!


 彼女らのステータスは伸びも尋常じゃない。ステータス増大、成長力強化系もありそうか?

 レアアイテムの出現率がめちゃ高いから、あると噂される隠しステータスのLUK系も高いか補正が入ってるかだろう。

 その辺の分析は会長たちに任せるけど、今の段階で想像がつくだけでこれだ。

 今後もスキルレベルが上がったり、新しいスキルが生えたりする可能性もあるから、自分がどうなっていくのか怖いほどだ。

 まあ、今のところ女の子たちに悪い効果は出ていないみたいだしいいんだけどね。

 僕のステータスが伸びないのと、女の子達が経験を積めないのはちょっと問題だけど。

 なにせあっという間にレベルもステータスも上がるし、スキルまで生えるから、これって一種のパワーレベリングだよね。

 プレイヤースキルが上がらないから。将来問題が出るかもしれない。

 現に二層のモンスターを倒せないようだし。

 この分だと二層のボス倒せるか非常に不安だよ。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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