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241話【自転車】

「あ、篠川さん」


篠川は魔法陣の前で立ち止まりクルリ、と振り返る。

白いローブの占い師は、あはは、と笑って後ろで手を組み体を揺らす。


「多分、知っておくべきだと思うんです。

私と、黒はリセットを創った張本人なんです。

もし、軽はずみな行動でリセットを創ってしまったが為に、あなたを危険な目に合わせてしまっていたのならば、どうお詫びしたらいいか___

それに、リセットを使えば簡単に、簡単に………悪いこともできるわけです」


シロはくねくね、と体を揺らしながら話を続ける。


「リセットの、正体というのでしょうか。

それを、オーガマコトに知られてしまい、悪用される可能性もあります。

マコトが悪い事をしないよう、見張り役をお願いできますでしょうか。

我々も精一杯、阻止します。

それでも、力は不足しているのです。

お願いします」


シロはペコ、と軽く頭を下げて最後に、とまた付け足してくる。

占い師狩り、という単語が何回か連発されていた。

しかし、それ自体もハッキリとは分からない。




「リセットを阻止しようとする組織は、大きく分けて二つです。

リセットを阻止し、時空の移動を禁止しているリセット警察。

リセットを止める事だけを目的とし、占い師を惨殺する占い師狩り」


「占い師狩りは、我々を様々な武器を使い、殺してきます。

最近の出没情報では腕の無い占い師狩りと、変装を得意とする占い師狩り。

その二つ。我々はそれを恐れ、大きく活動はしません。

最近は本業の占い活動も出来なくなってしまいました」




シロはそう告げると、何処かへ跡形もなく消えてしまった。

不思議な時間、だった。

まだフワフワ、とする感覚があるが、今居るのはもう、本部。

おかえりなさい、という声が聞こえてくる。

暖かい部屋の中、ホットチョコの匂いがして目を開けるとハーちゃんが美味しそうなホットチョコを飲んでいるところだった。


早く見張りをしないといけないが、ホットチョコくらい良いだろう。

甘い香りに緊張してカチカチになっていた頬が緩んでいく。

キッチンに立ち、鍋に水を入れコンロにかける。

コンロの火も、寒い今日は有難い。

冷蔵庫から残っていたチョコレートを取り出し、ボウルに入れて溶かしていく。


「今日さ、白い占い師に会ったんだよ」


「黒い方に今日は会いました」


知ってる、と呟いてから話を続けていく。


「でさ、頼み事されたんだよね。誠の見張りだってさ」


まぁ、そんなの当たり前でしょうとハーちゃんは呟いてから、飲み干したカップを置いてモニターを見るよう、指図する。

何?、とチョコレートをボウルから白いマグカップに注ぎ、ミルクを入れて砂糖を2つ入れてからかき混ぜてモニターの方へ向き直る。

手の中に暖かい熱が広がり、寒かった今までを忘れていく。


モニターの数は全部で10。

それぞれに被験者の映像が映し出されている。

右から3番目の一番上のモニターに、カップを持つ俺が表示されていた。


「あぁ、で?」


「我々が一度に監視できる被験者は10人。動きがなければ、画面を切り替える、そういう事になると切り替えた瞬間に何かが起きていても一周してくるまで、気づく事ができません。

そうなると、誠だけの見張りを行う事は不可能になります。

しかしながら、誠は何をしているか分かりません。

もしかすると、誠はモニターが映さない間に砂時計を弄っている可能性があります。

一つ目のモニターに帰ってくるまで大体3分はかかります」


「まぁ、3分あったら何でもできる、か」


まぁ、最近は暇だから良いけれど。

本部を出て帰路に着いた時、誠が自転車のカゴに大きな箱を入れて何処かへ行くのが見える。一体……………。

箱は軽そうで、時折籠から飛び出しそうになっている。

な、んなんだ?


自転車は角を曲がり、涼の家の方角へ進んでいく。

けれども何しに?もう、夜は更ける。

こんな時間に用事が無い限り、出かけるはずが無い。

あぁ、嫌だ嫌だ。いつもの癖、直そう。

でも、頼まれたんだよなぁ……。

変な事に足を突っ込んで、また誰かが犠牲になるのでは無いだろうか。


踵を返し、角を曲がってみるともう既に、姿は見えなくなっていた。

もう少し早く行動しておけばよかった。

しかしながら、パタパタと歩いてその辺りの道を隈なく探していく。

すると、一軒の民家に誠の自転車が停められていた。






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