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236話【チェックメイト】

………目を開けるが、まだ生きているようだ。

カシャっと音がしたかと思うと、床に無機物、黒い塊、ライフルが落ちている。

痛みも無く、血も出ていないことから攻撃されることは無かったようだ。


「……何故、撃たなかった?弾はまだ残っている筈、撃方も知っているだろ?」


「残りの弾は、3発分。この数じゃ、余程狙撃に自信がなければ少な過ぎる。

つまり、お前は初めから俺を殺す気は無かった、と考えるべきかな?

それなら、こちらが攻撃する意味も無いし。

まだ武器を隠している感じでは無さそうだね、軽装だし?」


雪は残りの弾を数えながら、口の端を吊り上げ、ニッと笑う。

お姐様は呆れた、と言い放ちパンパンと服の上から体を叩き武器が無いことを証明する。

カァアアアア、と顔を赤くして雪は顔を逸らすと咳払いをしている。

こんな顔見ちゃうと、余計に弄りたくなるじゃないか。


「可愛いなぁ、お前」


カアアアア、と赤面した顔を腕で隠しながら腕の隙間からこちらを見ている。

茶色い髪して全然グレてないよなぁ。

あ、もしかして地毛?


「弄らないで、下さいよ……殺して欲しかったです」


足の指でライフルを動かしながら、耳まで真っ赤にしている。

お姐様は黙りこみ、短い髪を揺らしながら少し眉を下げ、ライフルに手を伸ばす。

爪がライフルに当たり、握ろうとした瞬間。

ライフルが目の前から消えてしまい、また雪の手に戻っている。

まるで幻を見ていたかのようだ。

雪も、目を細くして笑っているように見える。


「残念でした。至近距離なら、こちらにも勝ち目がある」


「演技だったのか」


横腹に硬いものを感じて目をやると、銃口はピッチリくっ付いている。

手で避けようにも力で負けてしまう。

くそっ、手もあいつに伸びない。

距離がライフルの所為で、長くなってしまう。


「半分演技、半分本気、かな?」


「ふぅん。まぁ、いいわ。撃ちなさいよ」


「いいんだ?でも、殺したくはないかな、眠って」


頭に強い衝撃を感じてお姐様は、グラリと揺れてベットに仰向きに倒れこむ。

左手を上げ、右手をベットの下に落として半分体が下に落ちている。

ベットのシーツがクシャクシャになり、まるで空き巣にあったかのようだ。

ライフルを肩に乗せてふぅ、と溜息をつくとベットから降りて扉を開けて部屋を出る。やっと、倒せたか。

でも、ちょっと紬に悪いなぁ。だいぶ荒らしちゃったし。


「チェックメイト……やっと」







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