101話【事件3・外へ・】
「え?チッソクシ?」
慌てて篠川から離れると、顔を真っ赤にして咳き込んでいる。
「うわぁ!ごめんなさい!」
「ゲホッ……いえ、大丈夫…………だと思います」
慌てて華山は駆け出し、手にグラスを持って帰ってきた。
そして篠川にグラスを渡すとニコッ、と笑い「仕事の続きがあるから」と言って戻っていった。
グラスに入った水を飲み干すと、魂が抜けたかのように近くの椅子に座り込んでしまった。
「シノ!大丈夫かよ……ちょっと羨ましかったけど」
「………っ、何処がだよ。苦しいだけだったよ」
「そうかな〜本当は?」などと話しながらあっという間に前半は終わってしまった。
篠川は魂が抜けた状態で同窓会をロクに楽しめずに、溜息を吐いていた。
「篠川、大丈夫?」
話しかけてきたのは美和だ。
首を縦に振り、また放心状態のままボォーっと会場内を見渡す。
「じゃあさ、外出ようよ」
美和は篠川の背中を押しながら部屋を出て、エレベーターで屋上へ上がった。
重い扉を開けて外に出ると心地よい風が吹き、都会のビルが目の前に広がっていた。
地面から突き出た大きな四角い箱は太陽に照らされ、ガラスを光らせる。
「どうよ」、と美和は笑い、篠川の横腹に拳をぶつける。
「って!」
慌てて飛び退き、美和を見る。
ニタニタ、と美和は笑いながら屋上から見える景色を眺める。
「ちょっとはマシ?」
「まぁな」
屋上の柵に腰掛け、夕焼けの空を見る。
カラスが飛んで行き、下に見える川はオレンジ色に染まる。
その時、携帯電話が鳴り響く。
二人とも、だ。
「はい!もしもし。誠、どうした?」
「美和だけど、日和?何?」
しばらくの間沈黙が流れ、二人の上を雲が流れていく。
次第に雲は増え、真っ黒に色を染める。
コンクリートの床に雨粒を落としながら、空を移動していく。
足元は水玉模様になり、服にも雨粒が乗っていた。
ピトンッ、と水溜りに服から滑り落ちた雫が落ち、それを合図にザーザー、とバケツをひっくり返したような雨が降り始めた。
二人はその場から動けなくなっていた。
服はびっしょりと濡れ、美和の持っているバックも雨粒が張り付いていた。
「日和………今日はエイプリルフールだったかしら?」
「誠、嘘だよな?」
『瀧本が倒れたって本当?』




