第69話 火山帯ダンジョン発見
コラシェル発のトラムが、ネイス・クロトン村に入ってきた。
いよいよ、開通したか。
「ただいま帰ったぜ、コーキ」
「こんにちは」
ガルバとアザレアが、帰って来る。
「コーキさん、久しぶりですね!」
アザレアがボクを見るなり、胸に飛び込んできた。
「あはは。おかえりなさい」
ボクは、アザレアの頭を撫でる。
「コーキさん成分が足りなすぎて、しおれてしまいそうでした」
長旅で疲れているのだろう。アザレアのあくびが止まらない。
「大げさだなあ。まあ、ゆっくりしててね」
「はい。おやすみなさい」
さすがに限界だったか、アザレアはネイス・クロトンに作った新居へ。
父親のガルバも、「オレも休ませてもらうぜ」と帰っていった。
「復路の設計は、後日だな。ほとんど休みがなかったみたいだし」
「そうですね」
ヴェリシモさんが、兵士を指揮してネイス・クロトンの駅を拡張する。
一応、駅は出来上がっていた。が、細かい調整も必要だ。
「コーキ。今日は、行商人が三人も来てくれたぜ」
ボクたちが留守の間、商業ギルドのダンディー・リオンが商人と取引をしたそうだ。
「ありがとうございます」
ボクは、商人たちにあいさつをする。
「いえいえ。珍しい乗り物ですね。王都でしか乗れないと思っていましたよ」
彼らはコラシェルの商人たちで、トラムに乗ってやってきた。ネイス・クロトンに近い村から聞いてこちらにきたとか。
「魔物に襲われないとは。実に素晴らしい。快適な旅でした」
商人さんは、ウチの品物と、日用品とを交換していった。畑の防虫ポーションと、毒消しが売れたという。
「こちらの稼ぎは、珍しい作物の種をすり潰した粉だね? へえ、ニオイも強烈だ。ゴッホゴッホ」
パロンが、特殊な粉の匂いを嗅いで、むせる。
「それ、カレー粉だよ! やった。カレーが食べられ……」
岩山のダンジョン探索は、ナップルに任せている。
ボクが歓喜していると、村に一人のドワーフが駆け込んできた。
「ナップル! スプルスのダンナは?」
「今は風呂だぜ。どうした?」
「急いで一緒に来てくれ! ダンジョンが出てきた!」
とうとう、ダンジョンが顔を出したか。
「私では不満か?」
「殿下! あなたが行くのは危険でさぁ! 中が火の海なんで!」
ダンジョンの入口まで、ドワーフのおじさんについていく。
たしかに、炎にまみれていた。
「コーキ。これは、溶岩だね?」
パロンが、心配げに告げる。
たしかに、赤い液体状の岩が、地面でブクブクと音を立てていた。おそらく、マグマだろう。
ボクは試しに、身体から生えている木の葉をちぎって、溶岩らしきポイントに投げた。
ジュッという音すらせず、溶岩は葉っぱを溶かす。
「おおお。これはなんとも」
クコならびに、全員が総毛立つ。
「こんな中を、コーキに進ませるわけにはいかん。やはりここは私が」
ヴェリシモさんが先走ろうとした。
ボクらは必死で止める。
「危ないよ、ヴェリシモさん! 炎を抜けても、なにがあるかわからないんだ。少し考えよう」
いくらレベルが高いからと言っても、無策で突っ込んだら全滅は必至だ。どうすればいいか、手を考える。
「足場はあるの?」
「一応は。しかし、帰ってこられる保証はありませんぜ!」
重いドワーフが乗っても壊れない、頑丈な足場があるという。ダンジョンとして、攻略自体は可能らしい。だが内部がかなり熱いため、ドワーフでさえ一〇分が限界だとか。炎が渦巻いているせいで、酸素もないだろう。
「難関だね」
「今まで調べてきたダンジョンの中でも、かなりの難易度だよ」
まず、入れないなんて。
「水をぶちまければいいんじゃないか?」
ナップルが提案してきた。
そんな水なんて、どこに……あるには、あるんだよな。
「でも、水はダメかな? 爆発するよ」
そういう実験動画を見たことがある。ペットボトルの水を溶岩にかけたら、燃えていた。水蒸気爆発を起こすためらしい。ここで、そんな実験をするわけにはいかないよね。
「とはいえ、やってみたいことがあるんだけど?」
あの方法なら、炎くらいはなんとかなるかもしれなかった。
これも、動画で見た作戦なんだけど。
「氷魔法で水を冷やして、溶岩に当ててみて」
ボクらは、氷結魔法を使って水の柱を大量に作る。
「いい? いくよ」
凍った柱を、溶岩の中へ。
「うわ。泡立ってきた!」
溶岩に溶けた氷は、水にならずすぐ気化しようとする。そうやって、溶岩から逃げようとして泡になるという。
しかし……。
「これじゃあ、出入り口を塞いじゃうねえ」
泡が、ダンジョンを閉じてしまった。
なにか、間違っている。他にも、方法があるはずだ。もしくは、ここはダンジョンの入口ではない?
「コーキ様。さらに地下深くに、風穴を発見しました。それも氷穴が」
マグマは噴火すると、表面が外気で冷えて固まった状態になる。しかしマグマは高温なので、その表面を抜けてさらに移動するので、表面は残って空洞化してしまう。これが風穴だ。
「え、つまり、氷が張っているってこと?」
「そうです。出入り口は他にあるようです」




