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ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます  作者: 椎名 富比路
第四章 クレキシュ大渓谷と、魔王の元配下アルラウネ

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第50話 チェスナ特製おにぎりを食べよう

「で、これは田植機を使ってと」


 同じゴーレムを乗せた田植機で、苗を植えていく。


 こういうとき、ゴーレムって便利だ。手や足だけ作ればいい。


「ヤバイね、コーキ。ウッドゴーレムに、そんな使い方があったなんて」


「前世の知識があっただけだよ」


 開発した人がすごいだけ。ボクは、なにもしていない。


「そうだ、コーキ。ポーションができあがったよ」


 細い瓶に、薄いオレンジ色のポーションが入っている。

 


 竹とんぼドローンで、霧状にした防虫ポーションを撒く。このポーションはボクが頼んで、パロンが作ったものだ。農薬ほど強くはないが、基本無害である。野菜やコメの味も、損なわない。


 ドローン技術ができたことで、いちいち歩きながら撒かなくてもよくなっている。


 完全無農薬といきたかったけど、やめた。周りの畑も無農薬栽培にする必要が出てくるらしい。虫の被害が、広がっちゃうんだとか。


 ドローンには、クコとスライムが乗っている。ブランコに揺られながら、スライムはポーションを散布している。


「こんなもんかな?」


 最後に、コンバインを作成した。ゴーレムをいっぱい作って刈り取るコトも考えたけど、コンバインを使って手早くやったほうがいいかな、と。まだ収穫までには時間があるため、倉庫にしまっておく。



 数日後。



 田んぼに、おコメができていた。


「うわああ、まさかとは思ったけど」


 早すぎる気がするけど、このおコメはボーナスだという。


 やはり世界樹が、成長を促進してくれたらしい。


 今度は、ボクの分の田んぼだけではない。みんなの作物が、等しく促進されていた。スピードはボクのスペースより、わずかに遅いけど。


 パロンが作った石窯で、おコメを炊く。


 さっそく味見を。


「おお、これは!」


 できあがったおコメに、ボクは感動した。


「なるほど。たしかにおいしいね!」


「これが酒になるとは。楽しみでならん」


 クコはそればっかりだね。

 

「チェスナちゃん! あの道具はなんだ!?」


「うちでも、ぜひほしいぜ!」


 行商人と冒険者一行が、またチェスナをナンパしに来た。


「こらこら。チェスナはみんなの財産だよ。帰った帰った」


 パロンが、人払いをする。


「待てって。俺たちはただ、あの竹とんぼが気になっているだけさ」


 防虫ポーションを撒いているドローンに、行商人が注目していた。


「すいません。あれは、売り物じゃないんです……」


 ボクは、行商人さんに説明をする。


 ボクの魔力で動いているから、ドローン単体としては売れない。たとえ魔法使い系の人が扱えたとしても、コントロールを一から覚えないといけないだろう。ラジコンの知識があるから、ボクでも操縦できるのであって。


「あれは、使い魔を動かすのとはわけが違うんだよ。ワタシにも、原理がわからないんだ」


「そうか。残念だな」


 行商人が、肩を落とす。

 

「仕方ない。チェスナ。防虫ポーションだけ売ってあげて」


「はい。パロンさま。では、こちらをどうぞ」


 薄いオレンジの液体が入った容器を、チェスナが行商人に売る。


「ありがたい。これで我が都市も、イナゴに悩まされることがなくなるだろう。俺の名前は、ウィード商会の【ダンディ】・リオンだ。彼らは、俺が雇っている護衛団だよ」


 リオンは、ダンディを自称した。どう見ても三枚目の残念イケメンで、とてもダンディって感じではないけど。

 冒険者たちも、見事なまでに男所帯である。


「コーキです。よろしく」


 リオンたちと、友だちになった。


「あっ。おコメも食べていってください」


「いいのか? よそ者なのに」


「だからですよ。食べて、気に入ったら、購入を検討してください」


「そこまで自信があるなら、いただこう」


 リオンが、食べる気になってくれている。


「待ってください」と、チェスナが商売用カウンターから出てきた。


「コーキさま。せっかくなので、わたしも炊き出しをお手伝いします」

 

 チェスナ自らが、おにぎりを作る。


「コーキさま、こういう感じでしょうか?」


「いいよ」


 ちょっと歪だけど、チェスナの分はちゃんとおにぎりの形になっていた。


「どうぞ!」


「ありがとう! お前たち、チェスナちゃん直々のメシだ! ありがたくいただこうぜ!」


 男子校のノリで、リオンたち冒険者一団がチェスナ特製おにぎりを頬張る。


「いただきますっ。ああ、うめえ。これを商品化してぇ」


 そんなにおいしいんだ。ボクもいただいてみよう。


 リオンのいうとおり、チェスナの愛情こもった手作りおにぎりは、おいしい。力任せに詰め込んだボクのとは違って、優しい味だ。


「おいしいよ、チェスナ」


「ありがとうございます。コーキさま」


 チェスナが、モジモジする。

  

「そういえばキミたち、ウィード商会の人だったんだね?」


 ほっぺをゴハン粒まみれにして、パロンが指のコメ粒を舐めた。


「知ってるの、パロン?」


 ウィード商会は、ツリーイェン、コラシェル、王都ダリエンツォをつなぐ、重要な立場にいる商会らしい。


「クレキシュに行く途中で、小さい街があったろ? そこを拠点にしているんだ」


「ネトルシップ財団とも、やりとりさせてもらっているんだぜ」


 多忙なティンバーさんたちが対処できない案件を、引き受けることがあるという。


「そうそう。この村の情報を、ティンバー・ネトルシップ殿が王都に伝えたらしいぜ」


「ティンバーが、王都に?」


「ああ。あちらの王女、【ヴェリシモ・ダリエンツォ】殿下が、近い内に視察にいらっしゃるらしい」

 



(第四章 完)

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