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ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます  作者: 椎名 富比路
第四章 クレキシュ大渓谷と、魔王の元配下アルラウネ

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第49話 農耕器具作り

「パロンがそこまで、強い発言をするなんてね」

 

「だって、少なからずワタシたちの生活にまで影響しているはずじゃん。でも、ワタシたちは異世界から来た人物は、コーキしか知らない。こちとら、長寿のハイエルフだよ? そんなワタシたちにさあ、伝承が行き渡っていないなんておかしいじゃんか」


 たしかに。

 仮に勇者か魔王、もしくは宗教団体の誰かが転生者だった場合、もっと世間は快適になっているはずだ。

 しかし、その文明は見当たらない。


「勇者か魔王だって、ひょっとしたら転生者だったかもしれない。それなら、変わった文明を持った一族だったって証明になる。しかし、それら文献をワタシは見たことがないよ」


 ボクが思っていたことを、パロンも語った。


 痕跡があれば、ボクにだってわかる。

 どこにもないということは、ボク以外に転生者はいないってことか。

 エルフのパロンが、ボク以外の転生者を知らないって言うなら、そのとおりなのかもね。


 事実、クレキシュ大渓谷の技術は、魔法が中心だった。科学力が使われていたが、それも一部である。文化レベルも、相当低かった。魔法に依存している様子が、うかがえる。


「だから、安心しておコメを育てたら?」


「それもそうだね」


 おコメに罪はない。


 ありがたく、ボクたちでいただくことにしよう。


「ささ、おいしいおコメを作ってくれるんだろ? 作業に戻ろう」


「そうだね」

 

 種モミを苗にしている間、田んぼを作る。ゴーレムにも手伝ってもらい、適当な広さに耕す。本当にアバウトだ。探り探りで。魔物の死体を混ぜた腐葉土を、肥料にした。スライムも手伝ってくれる。


「はあ、はあ、ひい」


 クワを振りながら、思った。ボクたちだけでやると、ちょっと時間がかかり過ぎかな、と。


 広すぎて、全然先に進まないや。パロンが作った農具でも、手間がかかる。


 移民のみんなが手分けして耕してくれても、人力では限界があった。


「麦も大変だけど、コメも苦労するね」


 イチから作るとなると、どんな作物も一筋縄ではいかない。


 牛が(すき)を引いて、がんばっている。

 のっそりのっそりと、田んぼが出来上がっていった。


 それもそれで、癒やされる。


 とはいえ、もうちょっとスピードを上げたいね。

 

「よし」


 ボクは倉庫から、壊れたイスや古くなった馬車を出す。用途をどうしようか、悩んでいたものばかりだ。腐らせてキノコを生やすか、腐葉土に混ぜちゃうかと思って、一応保管しておいたのである。


 今は、トレント世界樹がくれた鉄もあった。これなら、アレが作れるかも。


「ここをこうして、こうだ」

 

 頭の中に機械をイメージして、組み立てていく。

 

「できた!」


 壊れた馬車を、田んぼ用のマシンに改造した。ゴーレムと融合させて、ボクがいなくても動かせるようにする。我ながら、いい出来ではないか。


「コーキ、なにそれ?」

 

「トラクターだよ。ボクのいた世界にある、農作物用の機械……カラクリだね。手早く畑を耕せる、道具なんだ」


 さっそくトラクターに乗り込んで、畑を耕す。


 ハンドルを動かすボクの姿に、アザレアやガルバが羨望の眼差しを向けている。


「やってみます?」


「頼む! 乗せてくれ!」


 ボクは承諾して、みんなの分もトラクターを作った。


 これで、鉄は使い切っちゃったかな。


「一つの田んぼにつき、一台ですよー」


「おーう」


 移民たちが、それぞれ自分たちの田んぼで、トラクターを動かす。


 ボクの魔力で動く木製トラクターが、畑を田んぼに変えていく。


 仕組みもボクはよくわかっていないし、耕運の知識なんてなにもない。


 けど、たしかにトラクターは動いている。他の人が動かしても、十分に働いていた。


「すっごいね。すぐに田んぼができあがったよ」

 

「こういうのって、手でやったほうがいいのかな、って思っていたけど」


 異世界を題材にした作品でも、コメ作りってたいてい手作業だよね。


「ドローンができたからね。トラクターなんかも作れるんじゃないかって」

 

 ボクも手作業にするか迷ったが、結局トラクターなどの農業機械を使うことにした。あと、作れるから、というコトもある。冒険に出る可能性もあるから、誰かに任せたいという考えもあった。


 あっという間に育った苗を、泥に植えていく作業を始める。 


 この調子で、どんどん田んぼ用の機械を作った。


「さて、ボクは田植え機も作っておこう」


 田植え用の機械も、開発する。


「ねえコーキ、ワタシはどうしていようか?」


 パロンたちのおコメは、ボクが作っているからね。クコも、することがない。


「じゃあ、作物用の防虫剤を作ってくれる? 空から撒けるように、道具も作っておくよ」


 栄養がたっぷり詰まっている作物は、虫も大好物だ。また、病気にもなりやすい。


 虫が逃げていき、病気をも防げる薬品は、作っておきたい。


 完全無農薬野菜は、たしかに健康的である。

 けど、他の畑も同様の処置をしておかないと、被害が出てしまう。土から作り直しになっちゃったり。

 そのため無農薬栽培者は、それ以外の農家に嫌われたりするのだ。

 

 薬学に詳しいパロンなら、きっとその問題を解決してくれるはず。

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