第6話:ソドムとゴモラ、火の玉ストレートな裁き。
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
前回、アブラハムさんは神様から「子孫が星の数ほど増える」という、とんでもない契約を受け取りました。最終的には100歳にして授かる「イサク」という後継ぎへ繋がっていくわけですが、その約束が実現するまでの間にも、アブラハムさんの周囲ではかなり物騒な事件が起きていました。
今回は、そんなアブラハムさんのご近所さんのお話。やらかしすぎて、ついに神様の堪忍袋の緒が「物理的に」切れてしまった、史上最大の炎上案件について語っていきましょう。
隠された叫びは、神様のログに残っていた。
それでは、第6話「ソドムとゴモラ、火の玉ストレートな裁き。」いってみましょう。
---
握りつぶされた「叫び」のログ
アブラハムさんが住んでいる近くに、「ソドム」と「ゴモラ」という二つの街がありました。ここ、めちゃくちゃ栄えていたんですけど、中身がもう……地獄絵図でした。暴力と強欲がはびこり、倫理という概念が完全にログアウトしていたんです。
神様は言いました。
「ソドムとゴモラからの叫びが、あまりにも大きい。あいつら、本当にそこまでひどいのか、ちょっとデバッグ(視察)しに行ってくるわ」
この「叫び」って、たぶん街の評判とかじゃないんですよ。そこで踏みにじられ、傷つけられ、声を上げても届かなかった人たちの悲鳴です。地上の社会では握りつぶされた被害ログが、神様のサーバーにはしっかり届いていた。旧約聖書、こういうところは本当に怖いです。隠蔽されたログほど、神様には筒抜けなんです。
アブラハム、正義を問う「値切り」交渉
ここで、アブラハムさんが神様に食い下がります。自分の甥っ子のロトがそこに住んでいたのもありますが、それ以上にアブラハムさんは「神様の正義」そのものに問いを投げました。
「え、神様。いくらなんでも街ごと消すのは極端じゃないですか? もし、あの中に50人の正しい人がいたら、彼らごと消しちゃうんですか?」
神様「50人いるなら消さないよ」
アブラハム「じゃあ、45人なら……?」「30人なら……?」「10人……」
これ、ただの値切りじゃありません。アブラハムさんは神様に向かって「正しい人を悪い人と一緒に滅ぼすのは、正義なんですか?」と聞いている。契約者って、ただ命令を聞くだけじゃない。神様に対して「それは本当に正しいんですか?」と問い返す存在なんです。信仰があるからこそ、彼はここで黙りませんでした。
でも、悲しいかな。巨大な街の中に、正しい人は「10人」すら見つかりませんでした。暴力の構造がシステム全体を汚染しきっていたわけです。
最悪の視察、そして「物理的な強制終了」
神様の使いである二人の天使がソドムに降り立ちましたが、街の男たちが押し寄せて暴徒化。視察ログは「救いようがない」という結論で一瞬にして確定しました。
天使はロトに言います。「もうすぐここを滅ぼすから、家族を連れて今すぐ逃げろ。絶対に後ろを振り返るなよ」
次の日の朝。空から降ってきたのは、雨でも雪でもなく、「硫黄と火」でした。文字通りの「物理的な炎上」です。ソドムとゴモラは、一瞬にして地図からデリートされました。
未練という名の「接続回線」
この逃げるシーンで、またしても人間のバグが発動します。ロトの奥さん、神様に「振り返るな」と言われていたのに、つい、チラッと振り返っちゃったんです。その瞬間、彼女は「塩の柱」になってしまいました。
振り返るって、ただ首を動かすことじゃないんですよね。あの街に置いてきた生活、家、慣れた日常……たとえ壊れた場所でも、人間は「知っている世界」に執着してしまう。奥さんは逃げながらも、まだソドムとの接続を切れていなかった。未練という名の過去への回線を切断できなかったデータは、その場で「固定」されてしまったわけです。
補正の結末:暴力の構造を断ち切る
結局、ソドムとゴモラは跡形もなくなりました。神様は、契約したアブラハム一族を守るために、その周囲で膨れ上がった暴力の構造を、徹底的に断ち切ったわけです。
翌朝、アブラハムさんは煙が立ち昇るその場所を遠くから眺めていました。昨日まで交渉していた街が消え、虚空に消えていく煙を見て、彼は改めて痛感したはずです。「神様と契約して生きる」ということが、どれほどシビアで、どれほど重大なことなのかを。
さて。
無事に生き延びたロト一家ですが、ここからもまた色々あるんですが……。それより気になるのは、アブラハムさんの「その後」です。
いよいよ約束の子・イサクが生まれ、成長した頃。神様はついに、アブラハムさんに「究極の、そして最悪の負荷テスト」を突きつけます。
次回、第7話。
「イサクの件、神様のテストが重すぎる。」
お楽しみに。……次は、信仰心がフルスロットルで試される、涙の山登りのお話です。




