第10話:ヤコブ、ブラック企業(親戚の家)で14年働く。
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
前回、ヤコブくんは「石の枕」で野宿するというどん底の中で、神様と専用回線が開通するという奇跡を体験しました。「よし、神様がバックについてるなら、これからの人生イージーモードだぜ!」……なんて思っていたら大間違い。
ここからヤコブくんを待っていたのは、神様による「因果応報デバッグ」という名の超ハードな社会人生活でした。人を騙した者は、さらに上手に騙される。
愛の7年、詐欺の7年、粘りの14年。
それでは、第10話「ヤコブ、ブラック企業(親戚の家)で14年働く。」いってみましょう。
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運命の出会いと、最初の「雇用契約」
ヤコブくん、なんとか叔父さんのラバンという人の家にたどり着きました。そこで、ラバンの娘である「ラケル」さんに一目惚れしちゃいます。
ヤコブくん、叔父さんにこう交渉します。「叔父さん、僕、ラケルさんと結婚したいです! その代わり、7年間タダ働きしますから!」
ヤコブにとってラケルは、逃亡生活の中で初めて見つけた「未来」だったんですよ。家も家族も失った彼が、初めて「この人と新しい生活を作れるかも」と思えた希望。だから、期待値が高すぎてコスト感覚がバグり、7年が数日のように感じられたわけです。
納品日に発覚した「仕様変更」
そして7年が経過。待ちに待った結婚式です。当時は夜、花嫁はヴェールで顔を隠しています。ヤコブくん、幸せ絶頂で初夜を過ごしましたが、翌朝、隣の顔を見たら……「……え、誰?」
そこにいたのは、愛する妹のラケルではなく、お姉ちゃんの「レア」さんでした。
叔父のラバンは涼しい顔で言います。「いやー、うちのローカルルールではね、お姉ちゃんを差し置いて妹を嫁に出せないんだよ。ラケルも欲しければ、もう7年働いてくれる?」
最悪の事態ですが、これ、ヤコブくんがかつてお父さんを騙した手口の「完全な反転」なんです。
父イサクを騙した時は「目が見えない父」を「毛皮の変装」でハックしました。今度は自分が「夜の暗闇」で「ヴェールの偽装」にハックされた。自分が投げたブーメランが、そっくりそのまま後頭部に刺さったわけです。これが神様のブーメラン補正です。
レアの悲哀、そして粘りの「逆襲」
ここで忘れちゃいけないのが、お姉ちゃんのレアさんです。彼女も父の詐欺の道具として、望まれない花嫁として差し出された被害者なんですよね。旧約聖書、こういうところで急に人間関係が刺さってきます。
結局、ヤコブくんはラケルを手に入れるため、追加で7年、合計14年間の労働を受け入れました。一人のために14年。もはや執念です。
でも、ヤコブくんもただの被害者で終わりません。14年の契約終了後、自分の財産を築くために叔父さんと「家畜の分配」で勝負を仕掛けます。
「斑模様の羊が生まれたら僕のもの」という一見不利な条件を出しつつ、ヤコブは独自の工夫(バイオハッキング的な手法)を駆使して、強い斑の羊をどんどん増やしていきます。叔父がルールを書き換えても、ヤコブはそのたびに抜け道を見つけて生き延びる。気づけばヤコブくんは、叔父さんを凌ぐほどの大富豪になっていました。
補正の結末:粘り勝ち、でも残る「負債」
結局、ヤコブくんは14年以上の歳月をかけて、富と大きな家族を手に入れました。叔父さんのブラックな搾取に耐え抜き、環境をハックして生き抜くタフさを手に入れたわけです。
神様、この泥仕合をずっと見ていました。ヤコブは「騙される側の痛み」を知り、それでも立ち上がる力を身につけました。いわばラバン家は、ヤコブ再教育施設だったんです。
でも、富を手に入れても、まだ解決していない「最大の問題」が残っています。
そう、かつて殺すと誓ったお兄ちゃん、エサウとの再会です。補正ルートの最後には、必ず「過去のやらかし」との正面衝突が待っています。
次回、第11話。
「ヤコブ、神様とガチでレスリングする。」
お楽しみに。……次は、川辺で謎の相手と一晩中取っ組み合いをする、肉体派デバッグのお話です。




