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一流企業を辞めた俺は、新しいアルバイト先の年下先輩に恋をする。 〜第二の人生…今度は君が好きだと伝えるよ〜  作者: 夢達磨
第1章 新しい人生編

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第5話 委員会決め


 健康診断が終わった直後、体育館で上級生による部活動紹介が始まった。が、正直どれもピンとこない。

 ――俺は帰宅部でいい。部活するぐらいならバイトしたい。


 紹介が終わると、次は委員会決め。俺がいた元の世界の高校では、体育委員と図書委員を経験している。

 図書委員は週一活動で少し面倒だったが、体育委員は体育祭前後以外ヒマだ。狙うなら体育委員だな。


「委員を決める。まずは学級委員長だ。男1・女1の2名。立候補はいるか」


 星咲先生の声に、1人の女子がすっと手を挙げた。


「私が学級委員長に立候補します」


「東郷か。お前が来ると思っていた。他に女子はいるか? いなければ東郷で決定する」


 東郷さん、堂々としていてすげえな。自分から委員長に行くのは尊敬すらする。


(……いや、Mなのか? 東郷さんはMなのか!?)


「はいはーい! 宝輝ちゃんが委員長するなら俺っちやるー!」


 なぜかノリノリで馬波が手を挙げた。


「いやいや、俺ちゃんがする! 宝輝ちゃん、どっちがいい!?」


 島瀬も負けじとアピール。東郷さんは2人を見て、ため息をつき、おもむろに口を開いた。


「ありえない。お前らみたいなバカと組むなんてごめん。どっちも却下」


「はっはははっ! おもろ!」

「宝輝ちゃんおもろいわー!」


 隣の時末さんがチョンチョンと肩を突いてくる。


「何が面白いのか私には分からんのやけど」

「いや、僕にも分かりませんよ」


「ちぇっ。ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねーの?」

「そうだぜー。俺っちたちを怒らせねぇ方がいいぜ?」


「ふん。バカを舐める趣味はない。バカがうつる。――先生、男子の学級委員長はいりません。私ひとりで十分です」


「いや、男女1名ずつがルールだ。嫌でも受け入れろ。他に男子で立候補はいないか?」


 シーンと静まる教室。誰も手を挙げる気配がない。


「ではこの2人のどちらかを――」


 そのとき、1人の女子がピッと手を挙げた。


「はい! 先生! 推薦したい人がいます!」


 声の主は希羅だった。


 ――あ、三島リーダーかな? なら納得だけど。


「誰を推薦するんだ?」


「私が推薦したいのは……牙城さんです!」


 ……ん? 聞き間違え?


「牙城。やるのか?」


 やっぱり俺かー!!


「いやいやいや、やりませんよ! 俺、まとめ役とか向いてないですって」


「だそうだが……遊凪、なぜ牙城を推薦する?」


「牙城さんは、茶髪で雰囲気はちょっとヤンキーって感じだけど――」


「“感じ”ではなくガチでヤンキー」


 隣の時末さんが即ツッコミ。


「本当は根が真面目で、頭も良くて、仕事もできて……」


「根は腐ってて不真面目で、ずる賢くて、仕事は私よりできない」


 希羅が褒めてくれるのに、横から地味に刺してくる時末さん。比べる相手が強すぎるわ。


「仲間思いで観察力があって、優しい人です」


「興味ある相手だけに優しい。ガン見とチラ見の使い分けに自信がある。変な人です」


 もう刺さる刺さる。

 希羅の言葉は本当に嬉しいのに、時末さんの“俺だけに聞こえる音量”のディスが心にクリティカルヒット。


「ちょっと! 時末さん! 希羅の邪魔しないでくださいよ! 本当のことを言ってくれてるのに!」


「ふーん」


 何その雑な返事! 好き放題言ったくせにぃっ!


 さらに星咲先生が興味を示す。


「仕事ができると言っていたが……中学生の頃から一緒にバイトしていたのか?」


「え、中学生ってダメなんですか?」


「いや、ダメではない。小学生から働く者もいる。この世界では珍しくない。ただ、遊凪がお前を高く評価していたのが気になってな」


 ああそういうことか。よかった、説明しやすい。


「同じバイト先で働いてましたからね。たぶん、その時見てくれてたんでしょう。――ありがとな、希羅。めちゃくちゃ嬉しかった」


 希羅は照れたように微笑む。


「では――牙城で決まりだな?」


「やるとは言ってない!」


 その瞬間、島瀬と馬波が食ってかかる。


「待て! こんなインキャが委員長とかありえねぇ!」

「そうだぜ! ヤンキーもどきに務まるかよ!」


 誰がヤンキーもどきだ……。


「悪いが辞退するよ。クラスメイトがこう言ってるし」


「時間がない。他の委員も決める必要がある。島瀬、馬波、牙城の3人でジャンケンして勝った者が学級委員長だ」


「いや、なんで俺が入るんだ! その2人でやれよ!」


「黙れ。私に指図するな」


 こっっっわ!! 何この先生!


「……もういい。負けてやる」


 俺は深呼吸し、宣言する。


「俺はグーを出す。お前らはパーを出せ」


「その手には乗らねーぜ!」


「いくぜ!」


「「「ジャンケーン……ポン!!!」」」


 俺は宣言通りグー。


 ……なのに、2人はチョキ。


「は? お前らなんでチョキ出してんだよ。パー出せって言ったろ?」


「こ、こいつ……本当にグーを出した……」

「あ……ありえねぇ……」


「ありえねぇのはお前らだあああ!!」


「よし、牙城で決定だな」


「う、嘘だろ……?」


 星咲先生は心底疲れた顔でため息をつく。


 ――こうして俺は、学級委員長になってしまった。

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