レコーダー
白くて丸い物体。デュアルカメラになっていて真っ黒の大きな目のようになっている。これがカメラのレコーダー部分。
ミッション全記録を保存するハードディスクは、非常事態の衝撃から守るため、エアバックに包まれている。
カメラ部とハードディスク部は隙間なく接続されているが、ハードディスク部からは4本の太いケーブルが飛び出ている。
俺たち4人はタイムキーパー社最上階にある特別会議室に呼ばれていた。大きな窓の外は地下の世界全体が見えているかと錯覚するぐらい遠くまで視界が広がっていた。
俺たちは広い会議室の真ん中に並べられた椅子に座っている。向かい合って座るのはスーツに身を包んだ5人の役員たちだ。
「君たち4人の事情聴取から興味深い話が聞けた。その話はこのレコーダーに記録されているとのことだが……間違いないね」
広い会議室にこの会社のトップであるオズワルトの声が響いた。
俺は迷うことなく答える
「はい! 一度目の誘拐を目撃現場へ向かうところで、この手でレコーダーのスイッチをいれましたので、間違いありません」
「分かりました。では、レコーダーをこちらへ!」
オズワルトが合図すると、回収されたままのレコーダーが台車に乗って運ばれてくる。その姿はまるで大きな目をした小さな生物を手術台に運んでいるようだった。
「このレコーダーいかなる情報も操作されぬよう、回収時のままの状態で厳重に管理されておりました」
レコーダーを運んできた職員はそう言いうと、レコーダーのケーブルを大型スクリーンに接続した。
会議室のカーテンが自動で閉まり始め、会議室が暗くなった。
「接続完了しました。正常に出力できますので、モニターをご覧下さい」
大きなスクリーンにはキューバ上空の映像が映し出され、C54輸送機をアルと呼ばれる物体が飲み込んでいく映像、そしてC54輸送機からの悲痛な叫びが聞こえてくる。
(こんな映像を見たら、役員のみんなは腰を抜かすんじゃないだろうか……)
そう思いながら、役員たちに目をやる。
役員は真剣にスクリーンに映る映像に釘付けになっていた。しかし、驚くどころかモヤモヤが解消されたかのようなスッキリとした表情で映像を見ていた。
やがて、C47輸送機の誘拐やヒューマン社のタイムディスク追跡の映像となり、最終的には撃ち落とされてスクリーンは砂嵐に変わった。
カーテンが自動で開き始め、窓から日が差し込んできたところで、役員の一人が口を開いた。
「君たちの今回の動きはあまり褒められた物ではなかったかもしれないが、この映像を記録してきたことは賞賛に値する。ありがとう」
映像を見て驚くと思っていた役員たちに、感謝を伝えられた俺たちは一瞬戸惑った。
そして一番驚いたのは、役員たち全員がこの映像から流れた事実を知っていたということだった。




