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[序幕.プロローグ]
「もうこんな時期か」
正月が近づいてくる季節になったので彼は不意にそんなことを思った。
「そろそろ片付けるか」
彼は呟くようにそう言うと、掃除を始めた。まず、窓拭きから取り掛かった。気温が低いこともあり水の冷たさに苦戦しつつも硝子は以前よりもピカピカに磨き上げられた。床掃除は他の所を掃除する際汚れて二度手間になる、ということで彼は先に押入れの中から整頓しよう、と和室の押入れへ向かった。
襖を開ける。中は紙袋や箱の山と畳まず入れた衣服が乱雑にしまい込まれていた。
「あちゃぁ……。日頃からちゃんとしとけば良かった……」
後悔をしつつも自業自得だなと彼は思った。「面倒だ」とばかり言っている訳にもいかないので、まず前から順にモノを畳の上に卸してゆく。テキパキとやり退けると後ろの方に小さな缶箱が大事そうにしまわれていた。
「何だ?」
彼は疑問に思いつつもそれに手を伸ばす。やや錆びついていたものの気にせずにパカッとその蓋を開けた。中からはポストカードとほぼ同じ大きさのカードと問題用紙が出てきた。カードには何処かの学校の校歌とその楽譜が載っている。
「あれから20年か」
彼は手を止め、その古びた紙を懐かしそうにジッと見つめた。




