番外7‐4 極普通の女子高生の日常 サマーヴァケーション『白河明日香の場合』
(´・ω・`)ふはっはっはっ! 1年の期間を経て華麗に復活!
と言いたいんですが、もう片方の更新で手一杯でこっちはこれしか書き上がってません……
「約1年以上の間、更新されていません」の表記が怖かったんや……
皆さんお久しぶりです。
ちょっとファンタジーが好きな普通の女子高生、白河明日香です。
今回は長期休暇を利用して知り合いみんなで南の島に来ています。
「コポ……」
あ、失礼。
今、私は海の底である物を待っているんですが……あ、来ましたね。
予め用意していた袋から漏れる血の臭いに誘われたソレは、牙を剥いて私に襲い掛かってきた。
しかし、黙って襲われる私ではない。
私は慌てず手に魔力を篭めると、一気に電気へと変換して鼻っ柱をブン殴った。
そして怯んだ隙に、巨体の下へと潜り込んで一気に海の底を蹴ります。
「ごぼ、ごぼごぼごぼぼ!」
憐れ、わたしに襲い掛かってきた巨大鮫はなす術もなく、くの字になって海上へと蹴り上げられる。
そして、これでトドメだ!
「【魔法遅延】解除、【雷の嵐】を【掌握】。秘技《雷華崩山拳》!」
中級魔法を篭めたこの技なら細腕な私でもインド像を一撃で昏倒できる。
これなら夜道で痴漢に襲われた時でも安心だね。
『そもそも、このファンタジー脳に侵された歩く戦略兵器を誰が襲うというのか』
「ぼがぼ……」
『酷くないよ。寧ろ酷いよ! 僕は乙ゲーをモデルにした世界に君を転生させたはずなのに、何で重し付けて海中で巨大鮫とファイトしてるのさ!』
「ぼがぼぼがぼ」
『褒めてない。だからさっさと戻って来てよ。もう30分も上がって来ない君を心配して、お友達が騒いでいるよ』
それはいけません。
事ある毎に絡んでくるイケメン集団は別として、私の大親友である鈴倉亜紗ちゃんや同士のモブ田モブ太郎君に心配を掛けるのは不本意ですからね。
では、折角の釣果を持って帰るとしましょうか。
「サメ捕ったどー」
鮫を持ち上げて叫んでみました。
おや、砂浜でみんながこっちを見てはしゃいでますね。
やっぱりあの映画をリスペクトして、私が海中から持ち上げて鮫の背びれが見える様に泳いだサプライズは大成功です。
『ねえ、なんか君がサメに襲われてるって、みんなが騒いでるんだけど?』
「あらら、それは大変ですね」
もうちょっと泳いでいたかったんですが、鮫は時間が立つとアンモニア臭くなりますからね。
ちなみに私は鮫だって簡単に捌けます。
料理スキルLv10は伊達ではありませんよ。
「サメ捕ったどー」
「ああ、明日香! 『ちょっとヤってくる』ってから30分も戻って来なくて、わたし心配したんだからね!」
「さ、サメ捕ったどー」
「まったく……明日香は運動が得意なのは知ってたけど、まさか素潜りで30分もいるなんて思いもうしなかったよ」
いいえ、単に顔の周りに風魔法で空気の膜を張っていただけです。
ちなみに酸素は海水を電気分解して確保していました。
一回やり過ぎて頭がボーっとしかけたのは内緒です。
と言うか亜紗ちゃん、脇にある鮫はガン無視ですか?
「うっは、見ろよ青柳に紫馬。本物の鮫だよ鮫。ジョーズ!」
「こんなのではしゃぐとかガキかよ。おい赤羽、後ろから押すんじゃねぇよ!」
「はっ、青柳先輩もはしゃいでるじゃねぇかよ」
「全く、船が故障して外部とも連絡が付かない状況なのに、お前らは暢気なもんだな」
「まあ落ち着け黒崎隼人、こんな状況だからこそ非日常を楽しめよ。な?」
「ははは、翠川はいつも通りで凄いなぁ。俺も紫馬のクルーザーが故障したって聞いた時にはどうしようかと思ってたけど、案外何とかなってるしなぁ」
はい、彼らが説明してくれましたが我々は現在遭難中なのです。
夏休みに文芸部の後輩で金持ちの紫馬くんが自家用クルーザーで南の島へご招待してくれるという事で、他の知り合いや親友も誘ってやって来たという訳です。
しかし、途中でクルーザーが故障してしまい、たまたま近くにあった無人島に流れ着き現在に至ります。
『たまたま? 君が水魔法で海流を操作して、ここへ運んだんでしょ?』
「バレなければ犯罪じゃないんですよ。それに故障の方は本当に事故ですし、あのままでは空気がギスギスして居辛かったので」
『その割には生き生きしてるよね。君』
「だってパックン、サバイバルですよ? 日常と言う頚木から解放され、人類の火が届かぬ辺境の地、これにワクワクせずに冒険者は名乗れませんよ」
『ちがう。君はただの女子高生で、冒険者チガウヨ』
なんかパックンの目が虚ろになっちゃいました。
まあ、そんな事は置いておいてさっさと鮫を捌いてしまいましょう。
「というワケで皆さん、鮫を弄ってないでログハウスへ運んでください」
「いやいや。明日香、流石にこれは男数人でも運ぶのはキツイだろ」
「はぁ、そうですか。では先に行ってドアとかを押さえててください」
「アァ? 一体どうするって……マジかよ」
よいしょっと、生き物って運ぶのが大変なんですよね。
さて、この鮫はどう料理しましょうかね?
お刺身は基本として、串焼きにカツや唐揚げとかムニエルや照り焼きでもいいですね。
『いやいや、調味料はどうするのさ』
「それについてはこんな事もあろうかと、私がアイテムボックス内に入れて来ているので心配無用ですよ」
『味噌や醤油を持ち歩く女子高生って……』
ちなみに無人島にログハウスが建っているのは、流れ着いたその日に生えていた木々を使って私が造りました。
いや~、こんな事もあろうかと取っておいた生産系スキルが役に立ちましたよ。
「しっかしスゲェな先輩は。あっという間にこんなの建てちゃうんだもん」
「ふっふっふっ、ログハウスは乙女の嗜みなのだよ。ワトソン君」
「いやいや、仮にそうだとしても建てる方ではなく使う方だろ。確実に」
もう、黒崎先輩は細かいなぁ~。
建てるのも使うのも似たようなもんじゃないですか。
「というか、白河明日香は何でメイド服を着てるワケ? いや、滅茶苦茶似合ってて可愛いけどな」
「奉仕の心は母心、垂れるお腹は包容力ですよ」
「うん、意味が解らん」
翠川先輩はロマンが足りないと思います。
先生ならわかってくれますよね?
「えーっと、何でそこで俺を見るのか分からないけど……うん、可愛いと思うよ?」
ケッ、コレだからトーシローは!
見る人が見れば、このメイド服が防刃防火防寒対魔法の高性能メイド服だという事に気付くというのに!
ワンポイントでスカートに仕込んだナイフとか靴に仕込んだ鉄板とか、色々見えない所にも気を使ってるんですよ。
『うん、世間一般の気の使い方と違うからね。それ』
「失礼な。私だって女の子ですから勿論デザインにもこだわりはありますよ。例えば脇の下、ここには可動域を広げる為に伸縮性の高い材質を使っているんですよ。それに肘には保護パットを入れて防御力を強化しています。他にも刺繍には魔法回路としての役割を持たせて攻撃に対しては自動防御を……」
『もういいよ』
ちょっとパックン。
そっちから話を振っておいて放置って、酷いじゃないですか。
帰ったら洗濯機の刑にしますよ。
そんな風に夢想しながら運び込んだ鮫を捌いていると、モブ太郎くんがやってきました。
「あー、やってるね白河さん。しかもその恰好は……凄いね色々と」
おお!
モブ太郎君はこのメイド服の良さが分かりますか!
「その服……明らかに市販の素材じゃないよね。しかも……うわ、所々が革で補強してある。しかも、このロングスカートもよく見ると傘の骨みたいに革を縦に貼り付けて足に絡まないようにしてるのかな? 」
「ふふん、よく気が付きましたね。ちなみにこの革には最近手懐けたグランドドラゴンの脱皮した革を使っているんですよ。生地の方もエルダーアラクネさんを呼んで糸を分けて貰って自分で織りました。軽く魔力を流すだけでフルプレートも顔負けの防御力に早変わりです」
「ははは……白河さんはこんな状況でも相変わらずなんだね」
おお、ここまで話が分かるとは、やはり彼をアドバイザーにして正解でした。
見た目だけ褒めるイケメン集団とは違いますね!
『ねぇ……もしかして、モブの彼と恋人になるつもりなの?』
「は? パックンはいきなり何を言い出すんですか? 彼とは友好の同士であって惚れた腫れたは関係ないですよ」
『ねぇねぇ、忘れているかもしれないけど、僕たちは恋愛シミュレーションゲームをモデルにした世界に転生してるんだよ? もう少し異性に興味を持ってくれてもいいんじゃないかな』
「そうですよね……」
恋人、結婚……そう言えばネットゲームなんかだとプレイヤー同士で結婚すると、特典が貰えたりしますよね?
この世界もゲームがモデルならそう言うのが……
『ないよ!? 何で結婚した後に特典があるのさ!』
「え~、それじゃあ何の為に結婚するんですか!?」
『互いを愛し合ってるだからだよ!?』
それはリアル話でしょう?
こんなゲームじみた世界だったら、結婚イベント限定アイテムとか特別スキルが手に入ったりしないんですかね。
『ゲームが違うよっ!』
全く、今日日ギャルゲーするカードゲームだのシナリオそっちのけでカジノに耽るRPGだのがあるというのに、それくらいの融通は利かせてくれてもいいじゃないですか。
しょうがない、ここはキャラメイクの時に取得した様々なスキルをフル活用した、『調理魔法』にこのモヤモヤをぶつけるとしましょう!
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。




