15話 Q.変態ですか? A.変態です
(´・ω・`)この物語はフィクションです
キャラクターの言動は作者の趣味趣向とは何ら関係がありません
この物語はフィクションです……
前回、妾が担当した奴が地味ぃな奴になったのを反省して、今回は真面目じゃが明るい奴を選別対象に加えたのじゃ!
妾は失敗から学ぶ事が出来る、“できる女”なのじゃ!
そうして呼ばれたのは、髪はキチンとセットされスーツをビシッと着こなして清潔感があり、顔はキリッと端整な顔立ちで、見るからに真面目そうな、真面目が服を着たような好青年なのじゃ。
名は吉田景由。
有名所の会社員じゃったが、運悪く交通事故に巻き込まれて死亡した様じゃな。
「あれ? 確か私は車に轢かれて……」
「うむ、ようこそ我が神の間へ。吉田景由、お主は本日午後16時43分に交通事故に巻き込まれ死亡したのじゃ。そこでお主を異世界へ転生させてやろうという話じゃ!」
此奴がその手の知識があるのは分かっておる!
うむ、完璧な仕事じゃ!
「なるほど……では、一つお願いがあるのですが……」
「うむ、何でも申してみよ」
どうせチート能力などをせがむ気じゃろう。
今日の妾は気分が良いからな、1つや2つはサービスしてやろう!
吉田景由は好青年らしい爽やかな笑みを浮かべながら、妾を見据えて口を開いた。
「それでは貴方の指を舐めさせてもらえませんか?」
「へ、変態なのじゃー!?」
爽やかな笑みを浮かべて何を言いだすんじゃ此奴は!?
何ちょっと「書く物を貸してくれませんか?」みたいな感じで聞いて来るんじゃ!
変態じゃ、変態なのじゃ!
「ああ、指が駄目なら小さく可愛らしい耳でも、長い銀の髪の間からチラリと見える項でも、なだらかな肩でも、服の下に隠れたお臍でも、健康的なふとももでも、スラリと伸びた足先でも構いませんよ」
「わ、妾をねっとりした視線で全身を舐めまわすように見るな!!」
ちょっと妥協しましたみたいな感じを出しながらとんでもない事を言っているんじゃ。
寒くもないのに背筋がゾクゾクと凍りそうなのじゃ。
ああ、いつの間にか息も荒くして爽やかな笑みが何かねちっこい物に変わっておるのじゃ……
「自分は愛情表現として、女性の脚をしゃぶり尽くしたいというのは当然の欲求だと思います」
「そんな常識はないのじゃ!」
「何故ですか? 美しい物や愛らしい物を愛でるのは当然でしょう? そして私の愛情表現方法が舐めるという行動になるのですから、愛らしい物を舐めしゃぶりたいと思うのは自然な事じゃないですか」
そんな心外みたいな顔をされても嫌な物は嫌じゃ!
此奴……見た目は真面目な好青年の癖に、何でここまで開けっ広げに変態発言をしているんじゃ。
「変態じゃ……まさかこんな変態だとは思わなかったのじゃ」
「自分は変態なのではありません。女性への愛情が溢れた結果、舐めるという行動で表現するだけです」
「それが変態だというのじゃ!」
「別に私は己が性欲に任せて女性を辱めたい訳ではありません。純然たる愛情を持った行動が舐めるという結果に繋がっているだけです」
純然じゃろうと、純粋じゃろうと舐めるなんて変態のする事なのじゃ!
「何でなのじゃ。生前はそんな性格じゃなかったじゃろうが!」
妾が生前の此奴を見ていた時は、規則正しい模範の様な青年だったのじゃぞ!?
それが一体どこでこんな混線事故を引き起こしたのじゃ!?
「だって私はもう死亡していて、それに貴方は神様なのでしょう? ならば自分を偽り隠す方が恥じ入るべきなのではないのでしょうか?」
む、確かにそれも一理……ないわ!
結局それは変態をカミングアウトしているだけではないか。
あまりにも堂々としているので危うく騙されそうになったのじゃ!
「それに、初めから貴様の全てを知っていたら、妾はこんなに取り乱して無いのじゃ!」
「おや、なるほど。神と言っても全知全能ではないのですね」
一転生神にそんな事できる訳なかろう。
平社員みたいなもんなのじゃ、データはみんな転生神から送られてくるのを読んで処理しているだけなのじゃ。
そこから転送先の世界を調べたり、転生時に付加するスキルがどこまで有用か調べたりと……ハッキリ言って仕事しまくりなのじゃぞ!
「だから、貴様がこんな変態だとは妾は知らなかったのじゃー!」
「……なるほどそういう事でしたか。しかしながら、私がこうなったのには理由があるのです」
「理由?」
ま、まさかこうなってしまったのには、物凄い過去があるからなのか!?
「まだ私が子供の頃、私の両親と祖父母も犬好きで小型犬から大型犬まで5匹以上の犬を飼っていました」
ほほう、それは凄いのじゃ。
散歩する時なんぞ妾だったら引きずられていきそうなのじゃ。
「当時、近所に綺麗なお姉さんが住んでいまして、彼女も犬好きて良く家に遊びに来ていました。思い返してみれば彼女が私の初恋の人だったのかもしれませんね」
「いいのう~、青春じゃのう~」
「ウチの犬たちも彼女が遊びに来るとはしゃいでしまって、彼女に良く懐いておりました」
吉田景由が懐かしそうに笑ったのじゃ。
そういう思い出はいつまでも心の残っている物じゃのう。
しかし、ここからどうこうなった理由に繋がっていくのじゃ?
ハッ、まさかその少女に不幸にあった所為で、それを誤魔化す為に……!?
「その日も彼女はいつもの様に犬と遊ぶ為に遊びに来たのですが、その日が偶然、子供だった私以外が外出していて留守にしていたのです」
「大人が誰もいなかったのじゃな……」
そうか、それで事故に巻き込まれて……
「子供だった私は彼女に喜んで貰おうと、犬たちを一斉に庭に放して彼女と遊ばせてあげようと思い付きました。案の定、犬たちは尻尾を振り切れんばかりに彼女の元へ跳び出して行きました」
ま、まさかその時に犬に飛び掛かられて頭を打って怪我をしたのか?
それとも、犬が脱走して車に轢かれそうになった所を助けてそれを自分の所為だと思い詰めて?
「飛び出して行った犬たちは彼女を押し倒して思いっきりじゃれつきました。何せ大型犬は大人よりも大きく体重もありますから小柄な彼女では飛びついて来た犬を支えられませんでした……」
ではその時に怪我を負って、此奴はそれを自分の所為と攻めたのじゃな。
そして思い詰めた結果、現実逃避の為にこんな変態行動をするように……
「その時、犬に群がれ押し倒されて全身を舐めまわされている時の彼女の表情、そして助け出した後の、散々暴れた所為で荒れた息と着崩れた服から覗く赤く上気した肌、犬の唾液でテカっている首筋やふともも……ふふふ、失礼ですが正直、そそり立ってしましてね。まだ小学校5年生の時でしたよ」
「……何故、妾は変態性癖に目覚めた切っ掛けを聞かされたのじゃ?」
ていうか、壮絶な過去はどこへ行ったのじゃ!?
思い詰めて現実逃避してしまった可哀想な少年はどこへ行ったのじゃ!?
「その時感じたのですよ。舐めるという行為は愛情表現、舐められた後の女性は美しいと!」
「もう此奴は一回人生やり直した方が良いような気がしてきたのじゃ。その方が世界の為じゃ」
「はっはっはっ、生前の友人からも『お前は口さえ開かなければモテるのにな』と、会うたびに言われ続けましたね」
その友人は正しいのじゃ。
「私だって社会人です。程度の分別くらい付きますよ。毎回女性と会うたびに今のような発言をするわけないじゃないですか」
「そ、そうじゃの。そんな訳ない……って、じゃあなんでここでは言ったのじゃ!?」
「そんな私の理性を吹き飛ばすほどの存在が目の前にいたからですよ」
ええい、爽やかな笑みを浮かべおって……
褒められているように見えて、全然褒められている気がしないのじゃ!
「というかそもそもじゃ! 何で貴様は神である妾に欲情できるのじゃ! 普通ならば、ここはそういう欲が一切出せない筈なのじゃ!」
「ですからこれは愛情表現だと何度説明申し上げれば……そうですね、強いて言うならば人間は古来より人外と夫婦に成ったりする話が多いからですかね。天女の羽衣を隠して嫁にしたり、雪女が嫁いだり……うむ、雪女の透ける様な白く冷たい指は舐めたらどんな感じなんでしょうね?」
「妾が知るかー!」
「それに、現代では神様とそういう事をする娯楽なんて秋葉原辺りに溢れていますよ」
ええい、やはりあの国は昔から頭がおかしいのじゃ!
「もういいわ! さっさと異世界でもどこへなりと行ってしまえ! これ以上話を聞いて居ると身の危険を感じるのじゃ!」
「はっはっはっ」
笑うななのじゃ!
急いで妾は転送の魔法陣を展開する。
もうチート能力は基本パックで十分じゃ!
というか、殺してもギャグ補正とかで死にそうにないのじゃ!
「まあまあ、落ち着いてください神様。まだ私は貴方から何も説明されていないのですよ?」
……此奴の変態発言の所為ですっかり忘れていたのじゃ。
くっ、このまま送ってしまえれば良かった物を!
「コホン……先ほども言ったように、貴様は元の世界で死亡したのじゃ。だが貴様は運が良い事に、そのままの状態で異世界へと転生する権利を得たのじゃ」
「なるほど……その異世界とは所謂ファンタジーな世界で間違いないんですね?」
「うむ、そうじゃ」
「なるほど……エルフの耳や獣人の耳尻尾をハムハムするとどんな感じなんでしょうか?一度で良いから妖精を足から口に入れてしゃぶって見たかったんですよね……ああ、叶わないと思っていた夢が叶いそうです!」
見た目だけなら純粋に夢が叶った青年じゃが、言っている事は粉う事なき変態じゃ。
……いかん、段々此奴の発言に慣れてきてしまっているのじゃ!
さっさと説明して送ってしまうのじゃ!
「転生する貴様には幾つかの能力が付加されるのじゃ。所謂チート能力じゃな! 後、金もそこそこやるので冒険者でもやりながら稼ぐが吉じゃ! それじゃあの!」
妾は一気に捲し立てるように説明を切り上げると、改めて転送の魔法陣を展開したのじゃ。
このまま此奴と同じ空気を吸っていたら、此奴の変態がうつってしまうのじゃ!
「やはり最後に指だけでも舐め……」
「アーアー、キコエナイー」
変態が何か言っていたような気の所為じゃな!
全く、次こそはまともな奴を選ぶのじゃ!
この時の妾は、奴が向こうの世界で手に入れたスキルの所為で、この後も何度も奴と会う事に成るとは、思いもしなかったのじゃ……
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
この物語はフィクションです。大事なことなので3回言いました