異世界に行きたい②
次に私は転生するのか、転移するのかについてだが、転生というものは大抵現実の世界で死んでしまい、新しい世界で生まれ変わることのことを言う。だけど、私は別に死にたいわけではない。両親と仲が悪いわけではないし、この世界も悪いものとは思っていない。
ということは、私には転移するという手段しか残っていないのだ。なので、転移したときに困らないようにスマホやお菓子、文房具などを毎日持ち歩いている。
(今日も準備はバッチリ、これで、このまま飛んでも、どうにかして生きていけるよね)
こんなに努力をしてきたわけだが、残念なことに私はまだ現世にいる。そうして、思いついた最終手段がこれだ。先日、この噂をクラスの女子が話しているのをこっそり聞いていたのだ。
そろそろ約束の時間が近づいてきた。
今日持ってきた本は読んできた中で一番のお気に入り、つまり、最推しであるレオナルド様の登場するU LOVEという本だ。
この本に出てくる主人公は素朴な村で生まれ、所謂チート能力を持っており、どんな人にも触れるだけで傷を治してしまう。
レオナルド様は眉目秀麗という言葉が似合いすぎるほどの秀才で、爽やかな金髪をしている王太子だ。そんな主人公とレオナルド様は王立学園で出会い、恋に落ちるというよくあるストーリーだ。
特に、最後の舞踏会のシーンなんて、煌びやかな衣装を纏った二人がダンスを踊り、最後にはお城のバルコニーで愛を誓い合い、キスをする。私はこのシーンに何度憧れたことか。
そう、レオナルド様への想いに耽っていると、もう一分もないことに気づいた。こうしてはいられない、早く本を開かないと。早く!
その瞬間、私は足をもたつかせてしまった。
(嫌だ。この、こけ方は痛いやつだ!)
そのとき、近くにあった本の返却棚を倒してしまっていたことに私は気づかないまま、気を失ってしまった。




