其之肆 闇影剣(ダークシャドウソード)
水晶玉は着物の女性に反応した。
『鬼嫁 Lv.79』
桃太坊は水晶を見て着物の女性を仇だと確信したと同時に、怒りに声を震わせながら言った。
「どうやら、こいつが鬼嫁のようです」
「何じゃと!?」
「見た目は醜い人間だけどね!」
「何故、人間の姿を!?」
「冥土の土産に教えてやる! 一族を再び繁栄させる為に、殺された鬼族の怨念の魂が人間の女に憑依したからさ!」
「何と言う事じゃ…。それじゃあ、その女性の育ての親はまさか!?」
「用済みになったから殺したよ! 私と関わった人間も全てね!」
「何と言う酷い事を…」
「それも全て、貴様のせいだからな!」
桃太坊は堰を切ったように叫んだ。
「何故、太桃王国を全滅させた!?」
「もしや、貴様は王族の人間か? さては貴様だな。この闇影剣と対になる聖光剣の力を引き出したのは。そのお陰で仇を見付けられた訳だが、生き残りも片付ける事が出来るとは正に一石二鳥だわ!」
「闇影剣じゃと!?」
「太桃王族に聖光剣が渡ったら脅威になるから芽を摘んだ訳だけど、小僧1匹だけなら聖光剣を持っていた所で、この闇影剣の敵じゃないからね!」
「子供だからって舐めるなよ!」
「レベルが尋常じゃなく高かったのは、闇影剣のせいじゃったのか!」
「もうお喋りはおしまいだ! 貴様達の顔をこれ以上見続けるのは、実に不愉快極まりないからね!」
「それはこっちの台詞だ!」
桃太坊は鬼嫁に斬り掛かった。
しかし、鬼嫁は桃太坊の剣を受け止めた。
「いくら桃太坊君が強くて剣のレベルが上回ってると言っても、たったの1と僅差じゃからな。お互い僅かな隙で勝敗が決まるから、儂らも加勢しよう!」
「そうだな。綺麗な女子の身体を復讐の道具として利用するなど許せんからな!」
桃太坊と鬼嫁は高速で激しい打ち合いを繰り広げている内に、辺り一面に竜巻が起こって砂埃が巻き上がった。
「これじゃあ、迂闊に近付けん!」
「私らにも、何か出来る事はないのかい!?」
「そうじゃ! 儂がかつて鬼退治した時に世話になった、超不死鳥を呼ぼう!」
「私と出会う前に一緒に旅してた仲間だね!」
「そうじゃ! めちゃくちゃ強くて頼りになる仲間じゃからのう!」
お爺さんは指笛を吹いて超不死鳥を呼んだ。
すると、遠く彼方から全長4メートルはある超不死鳥が高速で飛んで来て、お爺さんの前に静かに降り立った。
『超不死鳥 Lv.74』
「デカい火の鳥だねえ!」
「20年振りじゃな! 来てくれて嬉しいよ!」
「お困りであれば、どこからでも飛んで来ますよ!」
「それは頼もしいねぇ」
「あなたは?」
「爺さんの妻じゃよ。積もる話は後にするとして、早いとこ桃太坊君に加勢しないと!」
「そうじゃな! 頼んだぞ、超不死鳥!」
「分かりました!」
両者とも譲らず激しい打ち合いを続ける桃太坊に、お爺さんが大声で呼び掛けた。
「一旦引くんじゃ!」
お爺さんの声を聞いて、一旦後ろへと大きく下がった。
「逃がさないよ!」
「今じゃ!」
お爺さんの合図で、超不死鳥は鬼嫁目掛けて口から火炎波を吐き出した。
「邪魔するな!」
鬼嫁は炎を縦真っ二つに切り裂いた。
今度は鬼嫁の周りを360度動き回りながら、火炎弾を連射した。
「数射ちゃ当たるってもんじゃないよ!」
鬼嫁は剣を360度振り回して全て跳ね除けた。
「超不死鳥が全く歯が立たんとは! 空から飛び道具を使える超不死鳥なら、遠距離で攻撃出来るから打って付けじゃと思ったのに…」
「やっぱり、聖光剣でないと闇影剣は打ち破れないんでしょうね」
「一瞬でも隙を作って桃太坊君に打ち込むチャンスを与えようと思ったが、全く隙が出来んな」
「私に下手な小細工は通用しないよ!」
鬼嫁は闇影剣を超不死鳥目掛けて縦に振ったら、剣から黒い三日月のオーラが発射されて超不死鳥の身体を真っ二つに切断した。
「何!? 剣から飛び道具が!」
「超不死鳥が!」
「あやつは不死身じゃから死ぬ事はないが、まさか斬撃を放てるとは誤算じゃったわ…」
「と言う事は、聖光剣にも出来ると言う事ですよね?」
「まあ理屈はそうじゃが、ぶっつけ本番でやるのは余りにも危険じゃ? ここは一時、撤退した方が…」
「いや、レベルは1でも聖光剣の方が上回ってますので、ここで仕留めない方が危険ですからね!」
「どうせ言っても聞かんじゃろうから、頼んだぞ! 超不死鳥に乗せてもらって、空中で準備しよう!」
「はい! 我が儘言ってすみません! 宜しくお願いします!」
瞬時に再生した超不死鳥は空中を高速移動しながら、鬼嫁に火炎弾を連射し続けていた。
「空撃だけでも面倒なのに、不死身で速いとかホント厄介な相手だよ!」
お爺さんは大声で超不死鳥に呼び掛けた。
「おーい! 超不死鳥! 儂らを乗せてくれ!」
「分かりました! 火炎息吹!」
「小癪な真似を!」
超不死鳥は炎の竜巻を発生させて、鬼嫁を足止めした一瞬の隙を突いてお爺さん達の所まで降り立って、お爺さんとお婆さんと桃太坊を乗せて空高く飛んだ。
「桃太坊君、今の内に準備するんじゃ!」
「はい! ありがとうございます!」
桃太坊は聖光剣に全神経を集中し始めた。




