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【完結】異世界から勇者を召喚したいのにろくでもない奴ばっかり出てくるせいで世界が全く救われない  作者: ミント


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ろくでもない奴ら③

 どこからか軽快な音楽が流れてくる。


 えっ、ちょっと待って。BGMとか流して大丈夫なの? なんて妙な心配をしていたら眩しいスポットライトとともに、セーラー服をアレンジした華美な衣装を身に纏った美少女たちが現れる。


「夢に向かって一生懸命、頑張る人はみんなアイドル! その乙女'sポリシーを踏みにじるような相手は、例え神であっても許さない! 星の泉の美少女戦士『セーラーマシンガンズ』ここに見参!」


 わざわざ飛行機能を取り付けたライトを背景に堂々と名乗りを上げて、現れたのは戦うセーラー服正統派アイドル。いいこと言ってるように見えてちょっとよくわからないのは、『セーラーマシンガンズ』の一員である相戸流々だ。ツインテールをふりかざし、どこかで見たことがあるような気がするポーズを決める彼女はどうやら戦いに乗り気らしく「なんだコイツ……」と言いたげな顔をしている神たちにも全く動じていない。


 さらにその後ろからさっと飛び出してきたのは、眩しいピンク色の髪の少女とドリルのような髪を持った公爵令嬢。あとついでに美男子3人……あ、よく見れば角が生えた人が1人増えて4人になってる! 前に言ってた魔王ってたぶんあの人だ!


「土曜のナイト騎士ナイトの舞台、『土曜の騎士(サタデーナイト)は君に夢中』! さぁ、今日はここが私たちのステージよ!」


 凛々しくエペを構える美少女2人の後ろで、美形4人も揃って腕を突き上げる。すぐヒロイン&悪役令嬢に「気合が足りない!」どどやされるも一応、彼らも戦う意思があるようだ。


 アイドルグループと乙女ゲーム御一行……暴走族に変態・兵隊が現れてカオスな絵が出来上がっていたのに、ますます凄まじい光景になった。神たちは反撃しようとそれぞれ、武器を取り出すがそこにドワーフさんの低い声が割って入る。


「待て待て待て待てマテバシイ! この者たちは元の世界に影響を与える人間じゃ!  おぬしら神は傷つけることができんはずじゃぞ! オーディンの言いつけを思い出せ!」


 唐突に最高神の名前を出され、たじろぐ神々。そんな彼らに追い打ちをかけるがごとく、アイドルの相戸流々と乙女ゲーム主役のローラ・ベイがそれぞれ大声で叫んでみせる。


「私たち『セーラーマシンガンズ』はまだ売れていないけど立派なアイドル! 1人1人にファンがいるし大勢の前に立つ機会も多い! だからもし誰か1人でも死んだら、それは私たちがいた世界への干渉になるってこのオジサンが言ってるわよ!」


「そう、私やカレンは『土曜の騎士(サタデーナイト)は君に夢中』の世界の中心。つまりサタチューのセカチューなの! そんな私たちに何かあったらそれは物語の世界の崩壊! だからあなたたち神は私たちに手出しができない! ってこの髭の長いオジサンが言ってました!」


 ってどっちもドワーフさんの受け売りかい!


 要するにこの人たちはドワーフさんに唆されてここにいるが、その話す内容によればつまりここにいる神々は彼女たちに攻撃をすることができないらしい。


 考えてみれば、それは当然のことだ。なぜなら私が勇者としてこの世界に召喚されたのは、世界に影響を与えない「ろくでもない奴」だから。逆に言えば、世界に何かしら影響を与えるような人物であれば神々であっても勝手な行いをすることは許されないのだ。だからアイドルのように人前に立つことによって大勢の記憶に刻まれることが多い者、また物語の主役のように世界そのものが本人のために作られたといっても過言ではないような人物であればそれを害することはできない。つまり彼女たちはこの世界の神にとっては、最恐最悪の相手なのだ――


「ヒルダ、おぬしはこの世界の神にろくでもない奴だとかなんとか言われたかもしれない。じゃが忘れるな、おぬしは決して孤独アローンではないのじゃ! ワシもカミラも、そしてヴァルキリーもみんなおぬしを必要としておる! だからこうやって、ろくでもなかろうが何だろうが仲間を搔き集め駆けつけてくるのじゃ! その事実だけは絶対に揺るがん! 例えこの世界にとってろくでもない奴らでも、ワシたちはおぬしのことを必要とし大切に思っているのじゃ!」


 ドワーフさんの言葉は、ナイフのように私の胸へと突き刺さる。しかしそれはロキや私が元いた世界の人間が放つそれのような、冷たく悪意のあるものではない。むしろ柔らかく、温かなもので――泣きたくなるほど、優しいものだった。


 泣き虫な吸血鬼。ナルシストな匠。勝手に仲間扱いしてくる変態や、やたらルビの多い暴走族。

 ……みんな、ろくでもない奴ばっかりだ。でも、彼らは私を必要としてくれる。そのために必死で神に抗い、戦おうとしてくれるのだ。こうやって他の勇者たちを搔き集めてまで……私の心にほんの少し、希望の光が灯る。それに手を伸ばそうとすれば――




「――これ以上、勝手な真似はさせんぞ」



 雷鳴のような一喝が、その場に轟いた。

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