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雹華(ヒョウカ)お嬢様とロザリーナお嬢様

水と油コンビの遭遇です。

お互いにAクラスではボッチです。特殊な外国人ですからね。

これを切っ掛けに仲が悪くなるのか、喧嘩するのか。

エリオス君を中心に面倒事に巻き込まれる皆さんです。

細かい所はまた宿題にして教授達と別れる。

やはり最初は予算が壁だろうか。

資本金が無いと資材や土地や設備が買えないもんな。


「あ、また見つけた。」


その声は東の国の貴族の雹華ヒョウカお嬢様。

黒髪ロングでお人形さんの様に整った顔の美少女。

実は貴族様は教授とトーマス殿下と伯爵様だけで十分である。

あまり関わりたくない。

しかしここは我慢して大人の態度である。


「雹華お嬢様。ご機嫌麗しゅうございます。」

「心にも思っていない言葉は不要ですわよ。平民。」


ドぎつい反論を頂く。

一瞬心が折れそうになる。

心の中で深呼吸しながら、平静な顔をしつつ、次の一声。


「どの様な御用でございましょうか?」

「あら、用事が無ければ話しかけてはいけないの?

 貴方はたいそう高貴なお方のおつもり?」


刺してくるな。

多分、暇なんだろう。

仕方ないので少しの間、付き合ってあげるしかなさそう。


「僕はこの前の戦いで教授から指摘頂いた宿題を考えている所です。」

「噂では貴方が学業を放棄してど田舎で遊び呆けていた事件ね。」

「一応、伯爵様のご命令ですけど。」

「戦闘では貴方は活躍していないという話じゃないの。」

「・・・仕事は仕事です。」


活躍したのは伯爵軍と双子エルフなので間違ってはいない。

僕の宿題と仕事はこれからの後始末である。

面倒なので細かい説明はしないのであるが。


「それよりこんな所でこのど田舎出身の平民と一緒にいると噂になりますよ?」

「それはあの魔王国のアルビノと貴方の事をさしているの?

 それはそれはたいそう噂になっていますわよ。貴方。

 ある事、無い事。」


ぐぅ。

それも言われたくない一言。

言葉の中身はまあそう、事実だろう。

トーマス殿下と仲が良くて、気難しい伯爵様の内政官で

研究室に入り浸って教授と共同研究していて、

魔王国のお嬢様とよく一緒にいる変人の子供。

そりゃ王侯貴族でなくても噂になりますわな。自覚してる。

目を付けられない様に出来るだけ貴族様の子弟には近寄らない様にしているのだが。

それがかえって気に入らない、逆に興味を持つ子は出てくるだろう。多分。


この娘は見た目通りの精神年齢ではないな。

危険だ。

ひょっとして外見に騙されて無意識に甘く見ていたのは僕か。

よしロリババアと呼んであげよう。


「何やら失礼な事を考えている様ですね。」

「・・・いえ、とんでもございません。はい。」


読心術でもあるんだろうか。

恐るべし。



「参りました。

 で、何用でございましょうか?」

「用事が無いと話しかけてはいけないの?」

「用事は無くても問題ありませんが、一応大学で研究中なので。」

「そう、なら此方も研究中。

 同じね。気が合うわね。

 ふふふ、今日は例の生意気なストーカー幼馴染の娘はいないのね。」



ニーナさんは女性から見たら嫌われキャラですか・・・

男性からみたら頼りがいのある天才委員長キャラなんですけど。



「雹華お嬢様が噂になったら、Aクラスの友達の方と生活しにくくなるだろうと。」

「なによ。あんなAクラスで友達なんていないわよ。

 あの人を見下してくる高慢ちきな連中。

 ただの子供の分際で。」



やっぱり友達いないのか。

王侯貴族クラスも大変だな。

派閥が出来ているのだろう。

貴方も見た目は十分子供ですよ。お互いに。

という不届きな事を考えているとロザリーナお嬢様から声をかけられる。

いつもどおりメイドさんと執事さんと一緒である。



「おーい、エリオス。

 ・・・なんだそのちんまいの。」

「人をちんまいのとは、いきなり失礼な奴ね。このアルビノ。」

「・・・そいつにちょっと用事があるんだ。

 少し借りるぞ。」

「貴方は急に他所からやってきて此方達の邪魔するのね。

 全く失礼なアルビノだわ。」

「・・・」



この2人は水と油だ。

混ぜ合わせる事は出来ないな。

逃げたい。誰か助けて。

とメイドさんと執事さんにアイコンタクトする。

諦めた表情で首を振るメイドさんと執事さん。

そんなぁ。


この2人は同じAクラスだから顔見知りじゃないのか?

・・・友達いなそうな2人ではある。



「何かまた失礼な事を考えているわね。」

「エリオス。妾を侮辱するような発言なら許さんぞ。」

「とんでもございません。

 お二人はAクラスの友達ですか?」

「貴方はこの暴走アルビノ娘と此方が友達と申しますか?不届きな。」

「エリオス、そんな訳がないだろう。

 妾がこのボッチと友達なんてあるはずがない。」



うん友達いないのね・・・

まあこの国の権力者や派閥に素直に従う2人には見えない。

外国人だし。反骨精神ありすぎる。

2人揃うと2倍危ないな。

授業の予鈴が鳴る。

ちょうど良いタイミングだ。逃げよう。



「これから授業があるので失礼します。」

「待ちなさい、どうせ貴方午後は研究室で講義が無いから暇でしょう。」

「妾の用事も終わっていない。待つんだエリオス。」

「いえいえ、では後程。」



逃げるが勝ち。

これが面倒くさい貴族様同士との最初の会合である。

まあ、実はこの2人は敵対している訳ではないので、大したことは無かったのだが。

高貴な方と知り合いになるのは良い事なのか悪い事なのか。

どうしても面倒事にしかならない未来しか見えないかも。

逃げるが勝ちとこの時は思った。

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