ロイスター帝国大学の産業開発会議と伯爵様 その③ 通商、国内問題
中世では普通にあるであろう問題を定義してみました。
各国は近代化に向けてこれらの問題を解決していきました。
事例がイギリスであり、フランスであり、プロイセンでしょうか。
改革を断交した国が経済的に先んじて大国化していきました。
もちろん軍事的な勝利や人口的な有利不利はありました。
産業育成の話も必要。
通商の改革もしたいですね。
教授とトーマス殿下と伯爵様で討議する。
「まずは街道の整備ですかね。
交通の便が良くなれば短時間で送り込めるので
荷馬車がガタツキなく高速で運搬したい。」
「軍事上の意義は平時には足かせというのは、
分からなくもないのだが・・・」
「もはやそういう時代では無いのかもしれません。」
教授が答える。
中世は軍隊を移動しにくくする為に意図的に街道を整備していない。
盗賊が増える一因にもなったりしたそうだが・・・
古来のローマ街道みたいに中央へ繋がる街道があれば。
蒸気機関の次は将来鉄道を敷くから良いけど。敷きたい。
「国内関税も緩和して欲しいです。
都市間の物流に金と手間が掛かりすぎて。
あと郵便制度を国家が運営するのが良い。」
「都市に物流する際には関税がかかるのだが。収入源になっている。
各都市も簡単には合意出来ないだろう。
郵便は良いかもしれない。」
「領主間で関税同盟を締結しましょう。
産業を促進させるのです。輸出競争力をつけるために。」
「これまた大胆な話だな。
果たして同意する領主がどの程度いるのか?」
67の中小連邦国家だったドイツ諸国は、お互いの国家で重関税を取っていたので
物価が高く貿易を劇的に妨げた。
ドイツ関税同盟は経済学者フリードリッヒ・リストが提唱し1833年に成立した。
市場の統合と外国製品に対抗する目的があったのだ。
結果はドイツ統合に向けて経済的統合が進んだ。
「大体的に農地生産量と人口調査をすべきですね。
税収がちゃんと支払われているか、
少なすぎないか、取りすぎていないか。」
「それは確かに疑わしい所は沢山ある。
国家や領主としても介入が難しい領域。」
「教会の非課税も、私腹を肥やすだけ。
教会の聖域に入り込んで課税対象に。」
「それは大事だな。
過去の先輩方が挫折した難題だ。」
この当時は税収はピンハネされるのが常識。
国王のみならず領主としても頭の痛い所。
秀吉が太閤検地をしたのは非常に有意な事件だが絶大な権力がいる。
国内関税はみかじめ料扱い。
商業ギルドが独占しているのも流通の妨げになっているのかも。
特権を持ち得る人が放棄する事は無いのである。
「国境を超える物流には海運。
紅茶、コーヒーや砂糖などの入手だけでなく
金属やゴムなどの材質も。
海外に打って出る必要がある。」
「海外貿易は列強や魔王国に比べると弱い所。
国内では砂糖や香辛料もとんでもない値段になる。
貴重品だ。」
貿易はどうしても海軍力に左右される。
この国はどうしても海軍力は弱そうだ。
陸路だと国境や関税を超えるたびに物価が上がる。
特に砂糖は亜熱帯〜熱帯地方しかサトウキビが取れなかったので
ヨーロッパ輸入金額のかなりを占めた。
現実は17世紀の砂糖革命と呼ばれるカリブ海の島々でサトウキビが
取れる様になるまで高嶺の花だった。王侯貴族のみ口に出来た。
そしてカリブ海で奴隷貿易で砂糖のプランテーションが作られる。
中世にとって砂糖は麻薬と同じだな。
「化学技術開発。
化学はまだ未開の時代。」
「錬金術の応用かな。
実用という意味では疑問視があるが。」
化学はボイル・シャルルの法則と質量保存の法則からだからな。
体系化されるのが意外と遅い。
溶けないビーカーやフラスコとかも欲しかったり。
「農業分野もじゃがいもやテンサイが欲しい。
寒冷地方でも生産できるライ麦や放牧も進めて
農業生産力を上げないとカロリーベースで課題が。」
「まあそこは農学で研究してもらうしかないかも。」
農業の方は大問題ですね。
堆肥が特に。
リンと窒素の問題は長く続きそう。
「(本音は奴隷売買も停止したい。
奴隷は消費を産まない。非効率だし、維持費のコスト高。
労働意欲が低いので生産性も低い。GDPに寄与しない。
機械化進めば・・・いずれは)」
口には出せないが、GDPを上げるためには人口ベースの
収入を上げないと税収も増えない。
「重商主義とギルドの寡占の問題も。
一部の組織が利益を独占すると、
価格や供給で弊害が出ます。
独占は禁止させる方が経済としてメリットがあります。」
「商人が政治力を持つとな・・・
経済の中心となると難しい。」
独占禁止法というのが存在しない。
むしろ財閥に特権を与える事で国際競争力を高めようという考え。
重商主義に対しては資本主義から自由貿易の考え方が出てくるであろう。
現在のモバイル通信と同じである。
「警察制度を導入したいです。
今は軍人が警察も兼ねていますが、
捜査や逮捕など専門性を追求していくと
専門のエリートが必要。」
「コストがかかるが、軍隊と盗賊は区別しにくい時があるから。
軍隊が略奪を正当化してしまうと、特に。
治安維持は身近な課題。」
「軍隊で盗賊団を鎮圧しても根本的な解決にはならない。」
一同は頭を抱える。
ある種の改革をしようとするとお金がかかるのだ。
特権階級の放漫経営のせいで財源に余裕のある国なんてない。
税収を増やすというのは長年の課題でもある。
それが出来た国がプロイセンの様な軍事大国になるんだろう、と。
課題は潰していかないと。
また国家間で差が出てきてしまう。
経済大国になる国はそれなりの理由があるのだ。




