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第一次囲い込み キルテル村にて

キルテル村に到着すると事態は思ったより深刻な状況になっていました。

抵抗する様であれば、傭兵に対して殲滅する指示が伯爵様より下されます。

この当時、伯爵家は一軍の将軍として王国の一角を担う存在でもありました。

常備軍、国民国家になるのは当分先の話です。

少数精鋭でキルテル村に向かう。

実は急を有する事態であった。

この時はまだ現地の情報がまだ王都にはそれ程伝わっていない。

キルテル村が集合場所に選ばれたのは、囲い込みの影響が無い地域だから。


「伯爵家からは手練の60名程集めるらしい。

 トーマス様からは20名、後は傭兵とギルド、僕らを含め20名程。

 合計100名が現地に合流する見通し。」

「そんなに沢山の・・・。軍を招集するとしたら逆に少ないわね。」

「現地で暴動騒ぎになっていたら抑えきれないから、

 かつ大勢の軍を率いたら現地がパニックになるかも。

 国境警備隊もそれ程減らす訳にはいかない。」

「判断が難しい所ね。

 例えば数千人単位の暴動があったらどの道少数では鎮圧出来ないから、

 総動員するための時間稼ぎになる訳ね。」


ニーナさんと立ち話。

100名と言っても多数が魔法戦士。

例え1000人以上の農民の暴動でも問題はない。

1000人以上の傭兵が相手となると軍隊になるので話は別である。


「ああ、あとあそこのお嬢様と貴族の子弟の方々には内密に。

 一応情報は漏らさないで。」

「それはそうね。」


一応、口裏は合わせておく。

まあ授業にごっそりいなくなるからバレるとは思うが。

それなりの地位の方々には情報は伝わるであろう。



「エリオス様、私の馬の後ろに乗って下さい。」


シルヴィ君が呼んでる。

何故か後ろに乗れと。


「ええと、僕も一応馬に乗れるんですけど、軍事教練で練習しているから。」

「私達と比べたら、そんな程度では迷惑が掛かります。

 第一戦闘になったら足手まといです。」


ええ、君たちと比べたら既に足手まといの気しかしません。

本音は世間の人と君たちを比べないで下さいと言いたい。

でも仕方が無いので後ろに乗ってあげるんだから、プンプン。

いやツンデレじゃないですよ、と。


「なら私の後ろに乗りますか?エリオス様。」

「シルヴィ君の後ろで良いです・・・」


今度はティアナさんが挑発してくる。

後が面倒な事になるので、諦めてシルヴィ君に乗せてもらうか。



「うーん、皆で行くとお父様の繊維工場がバレてしまうな。」

「もうキルテル村の事は有名になっていますよ。」


それもそうかと思ってしまう。

繊維の村だもんな・・・。

仕方が無いかも。


馬でキルテル村に着く。

村長さんが待ち構えていて伯爵様にご挨拶する。


「ようこそおいでになられました、伯爵様。ご隠居様。

 こちらの建屋へどうぞ。関係者揃っています。」

「うむ、村長には世話になる。

 早速だが対策会議を始めよう。

 情報は収集出来ているか?」

「当方の調査と現地からの農民の情報は抑えてあります。」

「宜しい、会議を始めよう。」


建屋の広間の一室に一同が集まる。

村長さんから、情報が共有される。


「まず各地のそれぞれの地主の一部が囲い込みを開始しました。

 その中で一部が今回の伯爵様の呼びかけに応じて

 対話する姿勢を見せています。

 しかし、ごく少数の地主が抵抗する姿勢を見せています。」

「余に抵抗するとは愚か者が。」

「情報によりますと、農民を追い払う為に傭兵を雇っているそうです。

 しかし待遇に不満がある傭兵に地主が拘束されて抵抗しているそうです。

 その数は約1000人と聞きました。」

「きな臭いな。

 たかが傭兵が地主を拘束して領土を奪うとは。

 略奪してとっとと移動するのが賊の手段だ。

 何やら裏があるな。他国の差し金かもしれん。」

「詳細な内部情報までは把握出来ておりません。

 申し訳ありません。」

「いや、村長の情報は助かった。礼を言う。

 これは意図的な明確な盗賊行為だ。

 傭兵と我々との戦闘になりそうだ。

 だが我々100人では戦力としては不足だ。

 警備隊に連絡して手練の騎兵を300名程、現地に向かわせろ。」

「承知しました。」


伯爵様と村長さんが情報共有する。

ここからは早いな。流石伯爵様である。

しかし100人+300人では傭兵たる軍隊に対抗するには少ない。

これは厳しい戦いになりそうだ。


「伯爵よ。

 400人では少なくないか。

 もっと集めてはどうだ。」


トーマスさんが声を掛ける。

皆の心の中の不安を指摘する。


「殿下。

 仰られる事は誠に正しいご指摘でございますが、

 数千人単位の兵力を集めるには領内の総動員令が必要ですがかなりの時間が掛かります。

 当然奴らにもその情報は察知されてしまいます。

 そして仮に奴ら1000人が砦に立て籠もられると我々は万の軍隊が必要になります。

 長期戦になれば他国の介入を余儀なくされます。奴らは先兵です。

 少数を見せて野戦に引きずり出してケリをつける必要がございます。

 幸い、この100人は王都の大学直轄で魔法教練を受けた精鋭中の精鋭。

 敵は歩兵が主体。

 遠距離戦で時間を稼いだ後に、援軍で背後から奇襲して

 包囲殲滅戦を行います。」

「卿は伯爵であり将軍でもある訳だから、勝算はあるであろう。

 だが無理は禁物だぞ。」

「承知しております。

 こちらは騎兵主体なので、交戦を避ける事も問題ありません。

 戦うだけが戦術で無い事は十分承知しております。」

「ならば良い。我らは基本傍観者だ。

 国家の安全を卿に託す。」

「承知しました。」


トーマス様と伯爵様が討議する。

結論は出た様だな。

常備軍は国境警備隊のみで集めると国境に穴が開く。

現場に急行出来る騎兵隊の数は非常に限られる。

まあこれが、伯爵家の財政を圧迫している理由なんだろうが。

 

「では各位、現地に移動する。

 くれぐれも傭兵を警戒させるな。

 抵抗する姿勢を見せる様であれば、

 こちらを少数だと見せて引きずり出す。

 直接の接近戦を避ける形を見せて引きずり込み、遠距離戦を主体に包囲をはかる。

 援軍が到着次第、一気に殲滅する。」

 

伯爵様から命令が下された。

こうして、アナトハイム伯爵領の討伐戦が始まってしまうのであった。

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