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第一次囲い込み

今回はエリオス君抜きの舞台です。

伯爵領の話題です。

第一次囲い込みによって農民が資産を失い、

浮浪者になって都市労働者になっていきました。

資本家と労働者の関係です。

イギリスでは徐々に大規模的に行われる様になっていき

社会問題にもなったそうです。

ここは辺境伯領キルテル村。

最近は繊維の村としても有名になってきた場所である。


「隣町で羊の大牧場を作るらしい。」

「農地から沢山の労働者が追い出されているらしい。」

「食糧より羊が大切とな。」


村内は噂で大騒ぎである。


「村長。噂をお聞きしましたか?」

「ああ、ボッシュさんか。

 どうやら羊の大牧場の件は間違いないらしいですぞ。」


村長さんとボッシュさんが会話する。

どうやら繊維需要の増加に伴い、羊毛を増産するらしい。

そのため、農地を大規模に囲い込んで農民を追い払っている。

職にあぶれた人がこのキルテル村に集まりつつあるそうだ。


「原因の一旦は我が村にもあるのか?」

「村長さん。そんな事を意識しても仕方がありますまい。

 彼らの生活を考えないといけません。」

「衣食住か。

 土地は郊外へ広げるしか無いとは言え、農地は限られている。

 仕事は、食糧は、こんな貧しい小さな村では・・・。」

「繊維業で雇用出来る様にがんばりましょう。

 増産して外部に売りに出かけるしかありません。」

「エリオス君に助けてもらう事は出来るのか?」

「・・・息子は王都で学業です。あの子の生活を邪魔したくない。」


村長さんとボッシュさんが悩みながら会話する。

問題なのは当時の農地は三圃制であり、それぞれの農地が

複雑に入り組んでいた。しかし第一次囲い込みでは

その各所有地を非合法的に奪い取ったのである。

決して全てがジェントルマンの農地だった訳では無かった。


「一旦受け入れるしかあるまい。

 伯爵様にも伝えておこう。」

「土地は開墾するしかありませんね。

 いずれにしろ、エリオスには手紙を書いておきます。」



第一次囲い込みはイギリスで個人経営のレベルにて行われ

多くの農業者が職を失った。

邸宅の共同土地の囲い込みはマートンの法令 (1235)と

ウェストミンスターの法令 (1285)によって承認された事を切っ掛けとし

初期は12世紀からはじまり、15〜16世紀には拡大した。

トマス・モアは1516年、著書「ユートピア」で「羊が人間を喰い殺している」と批判した。

しかし実際では数%程度だったとも言われている。

農地を追いやられた農民が第2次産業に従事する事によって

イギリスでは雇用される労働者が増大。

当時、隣の町まで行くことが無かった時代に人口移動が発生。

現代の資本主義の原型になったとも言われている。

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