3年戦争 エリオス君目覚める。大敗北ののちそして反攻へ その16
「ここは?」
エリオス君は目が覚めた。
長く気を失っていた様だ。周囲を見渡すと
ちゃー様など幾人がエリオス君を見守っていた。
「エリオス殿。
ここは隠れ家であるぞ。
ちゃーと共に伯都の戦いで生き残った少数が合流しておる」
「そうですか。僕らは負けたのですね」
エリオス君はちゃー様に説明を受けて少し理解する。
起きて周りを見ると小さな小屋に数人ほどで、外にも何人かいそうである。
入れ替わりで、何人か小屋に入ってくる。
双子エルフのシルヴィ君とティアナさんが安堵した表情で見てくる。
「エリオス様。良かった。
まずは生き残れた事を神様に感謝致しましよう」
「そうですね。とりあえず情報が欲しいです。
僕が気を失っていた間の情報を教えて頂けないでしょうか」
「ええとですね」
双子エルフのティアナさんが説明する。
伯都陥落、逃亡、そしてジェレール中佐とアーシャネット大佐が消息不明な事。
そしてそれ以外の事も。
「他にも伯爵様とレイモンド大佐が峠で合流したそうです。
敵兵が峠を包囲して戦闘中との噂が」
「・・・一先ず伯爵様は無事ですか。それは何よりです」
「伯爵様と合流されますか?エリオス様」
「時間を稼ぐ僕らの目的は一先ず達成された様です。
次の一手は、そうですね・・・」
エリオス君は話の内容から少し考える。
伯爵様が無事であれば、この伯爵領もまだまだ大丈夫だろう。
であれば次の1手を考える。この戦争はまだ終わっていない。
「あの砦は今は難攻不落の要塞と聞きます。
レイモンド大佐の国境警備隊と合流すればそれなりの戦力。
簡単には落城はしないでしょう。
ですが、この少数が合流しても対して戦力にならない」
「ではどうするのでしょうか?エリオス様」
「・・・北へ。
傭兵を雇用しながら北の港町リヒハイトで物資を運んでくるロザリーナお嬢様と合流します。
そこで物資を補充して戦力を回復します。
この戦いの勝負はそれからです」
エリオス君は考えを整理すると、皆に伝える。
ちゃー様もエリオス君の考えを少し理解する。
「なるほどの。
物資、つまり武器まで魔王国から輸入しておるとは。
エリオス殿はこの戦いを予想しておったのか?」
「ちゃー殿。僕は万能ではありません。
ロザリーナお嬢様にお願いして保険を掛けていただけです。
それに宰相閣下も裏から支援して頂けるはずだと。
初戦の奇襲さえ耐えれれば、大軍相手でも反撃は可能になると」
「つまり時を稼いだのじゃな。
よく戦況を見通しておるの。この絶望的状況で。
ちゃーであれば、小規模による撹乱戦術しか思いつかぬ」
「僕らは初戦において奇襲攻撃と圧倒的な数の差で敗北しましたが、
伯爵様が健在でさえあれば軍をまとめる事が出来て、反攻は可能だと信じています。
決定的なのが、国王軍が様子見をして介入していない事です。
勝手な想像ですが、宰相閣下が国王軍を牽制しているのでは無いでしょうか?と」
「頼もしいの。流石はエリオス殿じゃ。
ちゃーもついていくぞよ」
「では北へ。
ロザリーナお嬢様と合流しましょう」
しかしエリオス君は知らなかった。
すでにエリカお嬢様が帰国して挙兵し、ロザリーナお嬢様と北国のラリオロフ陛下と
合流していたことをこの時点では知らなかったのだ。
そこで合流した時点で、伯爵軍の反抗は始まるのであった。