再び月曜日 Ⅲ
校門の側に彼が立っている。警戒するように辺りをせわしく見回して。
彼の目が私を見つけた。直後、彼は硬直したようにぴたりと動きを止めた。
私はその側に寄り、できるだけいつもと変わらない声で、
「こんにちは」
と言う。
「……さん」
彼が何かつぶやくのが聞こえた。
……え? 私は耳を疑う。
「……小笹さん」
滑舌がいい。言いにくいなんて言っていたのはなんだったのかと思うほど。その言葉ははっきりと私の耳に届いた。信じられない。信じたくない。
私はそのときわかってしまった。
「ユウキくん、ですか?」
自分でも意外なほど強気な声が出た。もしかしたら虚勢を張っているのかもしれない。本当の私は、今すぐにでも泣き出してしまいそうな気持ちだったから。
こういうこと……だったんだ。
彼はゆっくりとうなずいた。
「小笹さん、俺との仮の制約を解消してください」
私は……うなずき返すしか、できなかった。
「今まで……ありがとう……ございまし……た」
消え入りそうな声で私が言うと、彼は唇を噛んで、
「……ごめん、それは俺に言われても」
と低い声で言って顔をうつむけた。肩がわずかに震えている。
「あいつはもう、ここにはいないんだ」
「あや……せ、くん……は」
「綾瀬は俺、なんだけど」
目の前にいる人は綾瀬くんにそっくりで、その声も綾瀬くんのもの、だけど……。
私は力なく首を振った。ゆっくりと何度も振り続けた。
「……ごめん」
綾瀬くんの声で謝られて、でもその声のトーンは私の知ってる綾瀬くんのものより頼りなくて。
彼はユウキくんなんだ。綾瀬くんじゃない。彼とは別の、本物の綾瀬結貴。
私たちの秘密の関係は今、終わった―――――――




