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二度目の世界で本当の自分に  作者: 夢辺 流離
9/60

植田 奏

 成長過程と比較して書いていくのがむずかしい!

ここおかしいってところがいっぱいありそう。^^;;

 ヘッドマウントディスプレイに近い頭部を覆う装置から光が失われ、体が感覚を取り戻していくのに比例して鬱屈とした気持ちになっていく。


 最近では逆になりつつある、「あるはずのものがない違和感、ないはずのものがある違和感」に"現実リアル"に来てしまったのだと理解する。最近ではこの世界を"現実世界リアル"、向こうの世界を"真実世界トゥルー"と勝手に呼んでいる。


 装置を丁寧に片付ければ、殺風景な部屋だった。

物が殆どない…というより必要なものを最低限置いてあるだけの部屋で、色も白や黒のばかりで構成され、どこか無機質さを感じさせる。


 トゥルーからの違和感が薄れてきたのを感じ取ってベッドから立ち上がると、姿見の前に立つ。

髪色と瞳の色を除けばリデルと同じはずなのに、別人のようだ。

中世的な顔で、目や鼻のパーツ自体はもちろん、配置も絶妙である。

どちらかと言えば、イケメン、というよりは美人というほうがふさわしいだろうか。


            --だが男だ。


 正確には生物学的には男だ。



 "私"が生まれた時、「珠のような子だ」と両親も祖父母も喜んだと言う。赤ん坊~幼児の内は、むしろかわいい、かわいいと、どちらかといえば女の子のような格好も着せていた。


 それがおかしいことになりはじめたのは3歳頃だったか。

"私"は専ら女の子向けの色の服を好み、男の子向けの服を着るのを嫌がったのだ。その時はまだ上あごに焼き海苔がくっついた程の違和感でしかなかった。

 幼稚園に通うようになって、同じ歳の子どもらと接する機会を経て加速した。仲の良かった美代子ちゃんらと遊んでいて、トイレに行こうとしたとき

「奏君はこっちね」

 と先生に言われた時に何をいわれているのかまるで分からなかった。

ちなみに幼稚園での劇で、女の子からは王子役を、男の子からは白雪姫役で"私"が推され、男の子だから、という理由で王子役になったが、"私"は白雪姫をやりたかった。


 小学生になって、男と女の区別が深まる。

"私"は男の子の粗雑さが嫌いだった。

女の子と遊ぶほうが好きで、そんな交友関係についに我が家で問題が浮上したのだ。

「お前たちが女の子の服を着せたりして喜んでいたからこんなことになったのではないか!」

 祖父はとある方面でそれなりに権威のある人で、家に置いても誰も逆らうことができない。

両親は自分達が"普通"でありたかったし、祖父に当たられるのが嫌で、祖父のいうがままであったから、"私"を男らしくしようと必死になった。

 これまで持っていた服がライオンの縫い取られた服に変わっていたり

青い色のものが増えていたりするのは当たり前。

日ごろの言動で常に叱られた。

"私"はわけがわからず泣いてばかりだったような気がする。


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