事件の後始末。
まるで何も起こらなかったかのようにリデルはひだまり食堂の準備を行っていた。
今日は朝から街の中が騒がしい。
その理由をリデルは知っているはずなのに
「何かあったんですかねぇ?」
なんてのんびりレイダと話していた。
しかしそれもしばらくして入口の扉を叩く音で遮られる。
リデルはレイダと顔を見合わせて首を傾げたが、入口まで行くと、ちょこっとだけ扉を開けて相手を見やる。
のぞき窓はついていないのである。
とまれ、そこにいたのはクララことクラリーチェ様だった。
わお、昨日の今日で来るとは流石に思わなかったわー。
「えっと、まだ営業時間前なんですけど」
とりあえず牽制がてらそう言ってみる。
「では少しだけ出てきてもらえるかしら?お話したいことがありますの」
ああ、これは逃げられそうにない。
レイダさんのほうに顔を向けると、厄介なことはお断りだとばかりに私に対処を求められた。
言っておきますが、私だって貴族様のお相手なんて好きじゃないいんですよ。
はぁ、とため息をついて外へと出る。
一応報復なんかを想定して外の気配を探っていたが、彼女の他には数人の護衛が離れたところにいるだけだ。
「姿を見るなりため息をつくなんて、失礼ですわよ。」
クララの表情が変わり、ここからが話の本題なのだろうと気づかされる。
「今朝、うちの“護衛だった男“が半裸で身動き出来ないようにされて転がされていたのを町の警邏の者達に発見されました。率直に言いましょう、やったのはあなたですか?」
私も真面目な表情で返す。
「クララには私がそんなことができると思う?」
クララはフッと笑みを浮かべる。
「確かに見えないわね。ゼパスは遠縁の親戚で、ゼパスの祖父には大きな借りがあったから、断りきれず私の護衛として雇ったのだけれど、腕はあってもあまり素行が良くない男だったみたいでね。今回の件で捜査してみるといろいろと見つかったわ」
黒い笑みが大変怖いです。
「これからいろいろと事業を行ったりする上で不利益になるような男を事前に辞めさせれたのは助かったわ。だけど、家としては見過ごすことは出来ないとして犯人を探しているわ。」
貴族の矜持てやつだろうか。
ちょっと早まったかなと思わなくもないけど、あんなのに町の人達が迷惑をかけられていたのならまぁ後悔はすまい。
「ふふふ、もし私の護衛兼秘書として働くつもりならいつでもその地位は空けておくわよ?それでは時間外から騒がせて悪かったわね」
うわー、もう確信しているよね。
まぁでも私のことは黙っていてくれるということなのだろう。




