その名は「アンジェ」
「リ~デ~ル~!!」
食堂「ひだまり」の入り口の扉が開くと、もっそい勢いで何かが飛んできた。
鳥だ! 飛行機だ!! スーパーウーマンだ!!!
実際は、フライングボディプレス もとい ウル○ラマンダイブした女性である。
スーパーウーマンを選んだ人、はい正解。
「アンジェ、その、毎回飛び込まなければいけないんでしょうか?」
おずおずと私が尋ねる。
アンジェ、ことアンジェリカは食堂「ひだまり」が毎日パンを仕入れているパン屋「げんこつ」の看板娘で、配達を通して知り合い、今ではすっかり仲良くなっている。
アンジェは抱きつき(飛びつき?)癖があり、初めて会った日から遠慮はなかったのである。
あまりの勢いにこらえきれなかった私は、後ろに倒れ(受身はとった)、私に抱きかかえられる形のアンジェはばっと上体を起こすなり、
「おばさま!このかわいい生き物は何!?おばさまたちの隠し子!?」
と鼻息荒く尋ねたのだった。
アンジェの父ガノフにこめかみをグリグリやられ、ようやく落ち着いて自己紹介できたのだったが、その後もアンジェのダイブは繰り返され、事前に右足を引いて構えても耐え切れず、むきゅ~となってしまい、今ではアンジェの身体を抱きかかえ、回転して勢いを殺すことでいなしている。
ちなみにその時のアンジェの様子を文字で表記するならば
ε===( っ≧▽≦)っ
こんな感じだろうか。テーブルや椅子があるので危険だと何度もいっているのだが、
「けがの一つや二つ恐れてたんじゃパン屋の娘はやってられないんだよ?」
パン屋関係ないし。そもそもパン屋なら身体は大事にしなさいっていうか作ってるのもガノフさんだという。もうなんといっていいかわからず、私のほうで怪我をさせないよううまく誘導・コントロールしている。初めて倒れずに受け止めきった時にはガノフさんともども
「初めて耐える人を見た」
と目を驚き開く親子にこっちが驚いたって。
とまぁちょっと困ったところもあるけれど、基本アンジェはいい子で仲良くしている。
明るい茶の瞳に髪でショート。
ちょっとそばかすを散らした頬もころころと変わる表情と相まってチャームポイントになっていて、特に笑顔がかわいい。
一方で、パンの入った意外と重たい専用の籠を余裕で持てたりと健康的な女の子です。
ちなみにガノフさんは…戦士というほうが信じられる体つきで、たぶん力入れすぎでパンが固くなっちゃってるんじゃないかな?と思うほど
だ。強面で近寄りがたい職人らしさが全開なのだけれど、笑うと妙に愛嬌があります。ああ、だから普段しかめっ面をわざとしてるのかもしれませんね。
いろいろあるけど、アンジェは私が"真実世界"でできた記念すべき最初の友達なのだ。




