表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/194

77.早めの昼食*


 またエスカレーターを登って登って──。


「皆、何が食べたい?」

「ハンバーグ」

「オムライス」

「……フレンチフライ」

「焼き肉でも、ウナギでも()いぞ」


 ──五階に上がって名店街に到達する。


「聞いてた? 気更来(きさらぎ)さん。どこ行けばいい?」

「ムチャぶりしますね?」

「何か言った?」

「いえ、何も……」

「そなた、早うせい」

「は、はい」


 ミヤビ様に気圧(けお)され気更来(きさらぎ)さんが携帯で(さが)してる。


「キョウ、早く~」と皆は食べる口になってしまってた。

「ここなんかどう?」


 五階を()り歩きながら一般的なファミリーレストランに行き当たる。


 それから〝キョウ〟呼びはやめて耳をそばだててる人がいるからね。


「気更来さん、もうここにするから……」

「…………」


 検索の手を止め呆然(ぼうぜん)とする気更来さん。申し訳ない。


 みんなの要求を満たすのは、なかなか無いと分かってるから。


「は~い。皆、なに食べる?」

「ハンバーグって言ったじゃない」

「オムライス」


 ウェイトレスさんに案内され、席に着きもう一度みんなに聴いてみるとタンポポたちがなじってくる。


 まあまあ、そう言わないで。四季折々、新しいメニューを用意してるんだからメニューを見てよ。


「春のロールキャベツ……」

「……(たけのこ)ごはん」

「春野菜てんこ盛りの串揚げ、ですって」

「春の蒼湖(おうみ)牛ステーキとな?」


 メニューを(なが)めて皆が(うな)ってる。そうでしょうそうでしょう。


 でも、なんか「春」ってつけてるだけじゃあ、ってのもあるけど。


「お願いします」

「畏まりました」


 ウエイトレスさんを呼んで注文を告げる。ドリンクバーをもれなく付ける。


 みんな注文がバラけて良かったよ。もしかしたらシェアできるかも。


 ボクの注文? 春の(きのこ)ずくしハンバーグセットだだだっ! 「春」に(きのこ)っておかしくね?


 突っ込まない、絶対突っ込まないぞ。


 と、料理がくる前に……アカウント登録とか携帯を使えるようにしないと。


「そなた、飲み物が来ぬぞ?」

「あ~、その()きコップで()んでくるんです」


 携帯をいじる手を止め、皆のコップを持ってドリンクバーに行く。まあ皆も付いてくる。


「こうやって~」


 ボクのコーヒーで()ぎ方を説明する。


「おお、わらわにもさせよ」

「わたしも、わたしも」

「……やる」

「代わって代わって」


 まあ、そうでしょう、そうでしょう。


「もっと、コップはないのかや?」


 自分のコーヒーを汲んだミヤビ様が不満をもらす。


「飲み終わったらまた汲めばいいから」

「なんじゃと~!」


 うるさいよ、ミヤビ様。店内は静かに。お昼前なので、まだ人はまばらで良かった。


 でも、護衛たちで人口密度は上がってるけどね。


「何度も飲まないと制覇(せいは)できないわね~」


 タンポポちゃんが、もっともなことを言う。まあ、そう思う人もいるよね。


 ソフトドリンクは何種類もあって、飽きないようにしてるから。


「アリサちゃん、コップ貸して」


 え~、と言うアリサちゃんの(から)のコップを使って二段()ぎを披露(ひろう)する。


 例えば、グレープジュースの上にメロンのソーダ、とかね。こうすれば、いろんな飲み物を一度に楽しめる。


「何それ、早く教えなさいよ。早く飲んで二段──いや、三段()ぎをやるわよ?」


 タンポポちゃんが発展させちゃったよ。分かってたけど。


「お~!」

「お~」

「わらわもやるぞ」


 いや、ミヤビ様はやめてね?


「そなたらも、飲め飲め。わらわのおごりじゃ」

「「「…………」」」


 声をかけられて護衛や警護、特殊部隊の人たちが微妙な表情してる。まあ、特殊部隊はマスクしてるので目元しか分からないけど、たぶんそう。


「よし、次じゃ」

「わたしも、わたしも」

「うん、行く」

「負けないわよ~」


 君らね~。さすがに三杯目に行くのを止める。食前に飲みすぎるとご飯食べられなくなるからね。


 幼女たちと張り合ってる姿を見ると、なんかミヤビ様まで子供っぽく見えてきた。マキナと(おな)い年か、それくらいだったよね?


 取りあえず、食事用のお茶や炭酸に変更させて席に着くと続々と料理が運ばれてきた。


(いただ)きます」

「「「頂きます!」」」

「い、頂き、ます? そなたら、簡便な挨拶(あいさつ)じゃのう」

「そう? ミヤビ様は……どんな……あいさつ……なんです?」


 また、皆がボクの口に食べ物を運んでくる。ボクはいいから自分たちで食べてね。


「ふむ。挨拶か?──我らを(つく)りたまいし高祖(こうそ)奉謝(ほうしゃ)せん。日々の(かて)(ほう)ず臣民に──」

「分かった。ありがとう」


 やっべ。ミヤビさま、その(すじ)の人だったのかよ!


 ダメだろ、こんなところで遊んでたら~。


 粗相(そそう)するなって、そ~いうことかよ~ぉ!


 途端に食事が(のど)を……んぐっ、通らなくなったよ。胃がむかむかしてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ