表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍者の国  作者: ふるか162号
序章 そして俺は……。
1/20

1話 そして俺は殺された。

新作始めました。

一応ざまぁはありますが、基本ほのぼのモノの予定です。


「元、勇者であり、我が国への反逆者、カイルを今処刑する」


 そう高らかに宣言するのは、かつての仲間であり、この国『アロガンシア』の王子であり、俺と一緒に魔王を討伐した戦士『アレス』だ。


 俺、カイルは元はただの村人だったのだが、何の因果か勇者の素質を持っており、そして魔王を倒した。

 勿論、俺一人の力だけではない。アレスを含め、聖女エタ―ナ、賢者イグニス、大魔導オズマ、仲間がいてこそ魔王を倒すことが出来たのだ。

 ただ、国やアレスはそう思っていなかったらしい。

 

 イグニスとオズマは魔王を倒した直後に、自身の研究の為に何処かに行ってしまった。彼等は自身の研究以外に興味を持っていなかった。

 魔王を倒す協力をしてくれたのも、研究の成果を試したかっただけだろう。

 彼等が消えた後、俺とアレスとエタ―ナの三人で国へ帰ったのだが、国に入った瞬間、俺は拘束された。

 とはいえ、勇者の力を使えば振り切ることも逃げることも可能だったのだが、ある事実を聞いた瞬間に俺は抵抗する気すらなくした。


 故郷が滅ぼされた……。村の皆が皆殺しにされたと聞いた。

 両親は元々いなかったが、村の人はみんないい人で親のいない俺に良くしてくれた……。

 そして……。

 俺が魔王と戦っている丁度その時に、王国軍により故郷の村が滅ぼされたそうだ。

 魔王のセリフに『お前は何のために戦っている? 馬鹿な奴だ。騙されているとも知らずにな……』というのがあった。

 魔王はこのことを知っていたんだな。知らなかった俺が馬鹿なだけだったのか?

 アレスになぜかと聞いたのだが、憎しみを込めた目で見下された。


「お前みたいな平民に勇者は似合わないさ、勇者としての栄光は私が貰っておく。お前は反逆者として死んでくれ。あぁ、お前が寂しがると思って、お前の故郷の人間も殺しておいたんだ」


 平民に勇者? そんな下らない理由で俺は……俺の故郷は……そして、アイツは……。



 俺は拷問されたうえで、地下牢に拘束されていた。

 両手足には魔力を完全に封じる鎖がつけられている。勇者の力を使われれば、逃げられると思っているからだ。


 ははは……。逃げ出しやしないさ。

 正直な話、逃げたところでどうなる? 俺にはもう故郷も守りたいものもないのに……。

 復讐したところで意味がない。

 魔王がいなくなった後の世界を作っていくのは勇者でも英雄でもない、国王だ。だからこそ、もう俺は必要ないのだろう。


 しかし、アレスはともかく、エタ―ナもこの件に関わっているとはな。

 いや、アイツなら積極的にアレスにすり寄るな……。

 エレーナは聖女だったが、その本心は強欲で権力を欲しているような奴だった。

 そして勇者の妻としての地位欲しさに、俺に迫ったこともある。

 故郷に婚約者がいた俺は、エタ―ナを拒否した。それが気に触ったのだろう。あの日から、俺に対する嫌がらせが始まったのだ。

 

 彼等は一緒に魔王と戦った仲間だが、俺は仲間を信用したことが無い。

 元々、アレスは平民の俺が勇者だということが気に喰わなかったようだし、女癖が悪いことでも有名だった。

 だからこそ、俺は故郷に婚約者がいることも出身の村の場所すら教えなかったのだ。

 村の人間にはもしもの時の為に、俺は粗暴で嫌われていたと証言するように頼んで旅にでた……が、意味がなかったようだ。


 そんなこんなで、人生に嫌気がさしていたのだが、ついにこの下らない人生を終わらせることが出来る。

 今日が処刑の日だ。


 俺は乱暴に民衆の前に連れてこられた。

 民衆は、俺に暴言を吐いたり石を投げつけたりしている……。

 好きにしてくれ。もうどうでも良い……。

 俺の首に、アレスが剣を当てる。


「何か言い残すことはあるか?」

「特に無いな。殺すんなら早く殺してくれ。故郷も()()ない時点で未練などないよ。それとも恨み言の一つでも言って欲しかったか?」


 俺がアッサリとそう言い返すと、アレスはそれが面白くなかったのか、「エタ―ナは私と夫婦になると言っていたぞ?」と口角を釣り上げさせる。

 あぁ、こいつは俺とエタ―ナがそういう関係だと思っていたんだったな。

 そうだな、最期にアレスを喜ばせてやるか……。


「や、止めてくれ!! せ、せめてエタ―ナだけは!!?」


 俺がそう演技するとアレスの顔がより一層歪む。これでアレスはエタ―ナを手放さないだろう。あんな浪費家で権力しか愛せない女はごめんだ。

 お前が一生養ってやればいい……きっとあの女は国を滅ぼす……。

 ははは……故郷を……婚約者を……メリアを殺してくれたささやかな礼だ。

 受け取ってくれよ? アレス……。

 俺が仕掛けた最期の罠だ。エタ―ナという罠をな。


 アレスの剣が俺の首に振り下ろされる。

 首が落ちる瞬間、最期に思い出したのは……魔王の最期の言葉だった。


『ただでは死なんぞ!! 勇者のお前には死よりも重い呪いをかけてやる!!』


 ははは……死より……お……も……。


 そして、俺は殺された。


他にも連載してますし、もう一本新作を書く予定なので、毎日投稿は難しいと思います。

最低でも三日に一回は更新したいので、これから、よろしくお願いします。


感想などでアドバイスもらえたら嬉しいです。

ブックマークの登録や、評価をもらえたら嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ